私は天使なんかじゃない
Survivor
敵意、悪意、脅威。
密林はまさに負の宝箱。
無知は死を招く。
夜が明けて早朝。
私、グリン・フィス、ポールソンは密林を行く。この土地に一時滞在していたというポールソンを先頭に移動中。
それぞれ自分の食料、水入りのペットボトルをフェリーにあったナップに入れて背負ってる。食料と言っても缶詰2個ずつだけ。水に関しては船の浄水装置で真水の確保は
容易なので問題ないけど。グリン・フィスだけは食料と水以外に船から持ち出した物々交換用の物資を背負ってる。力持ちだ。
サラとシーは居残り組。
一応別プランとしてフェリー船で脱出。その為、シーが修理中。もちろん修理に必要な資材がないので可能な範囲での修理です。私らは私らで収容所にあるとされる通信機器で
キャピタル・ウェイストランドのBOSに救援要請、ベルチバードを呼び寄せるプラン発動中。駄目なら駄目で、そこにある資材の確保が目的。
まあ、その前にマルグリットだかマルガレーテだか知らないけど密造酒おばさんのところに向かってる。
何故?
その人、どういう伝手か知らないけどスワンプフォークとも取引出来てる人。住んでる場所が密林の中だし取引相手がスワンプフォークだから貨幣よりも物々交換を好んでいるらしい。
まあ、そうね、密林のど真ん中じゃキャップは使えないよね。
なのでその人は大量に物資を持っているらしい。どうもスワンプフォークから密造酒の見返りをたんまりと頂いているらしい。どうやらスワンプフォークには酒を作る技術はないようです。
物々交換なら望むところ。
キャップは遊ぶには困らないけど、この状況下だ、物資調達となれば吹っかけられるに決まってる。手持ちには限度がある。
物資ならまだ何とかなる。
あの大型フェリー船が誰のなのかは知らないけど、取引可能であろうものはいくつかあった。
核バッテリーとか。
シーもマルグリットって人を知ってるらしい。シー曰く、マルグリットの密造酒は核バッテリーを隠し味にしてるとか何とか。
何だそりゃ。
こえー(汗)
……。
……えっ、スワンプフォークのあの容姿ってそのせいじゃね?
キャピタル・ウェイストランドは核戦争の影響で放射能入りのものがあるけど、ここはわざわざ放射能入りにしている模様。
キャピタルよりも怖い地のようです。
おおぅ。
「ふぅ」
ため息交じりに私は息を吐く。
足取りは重い。
冒険をしに来たのは確かだけどリアルな冒険がしたかったわけではなく観光の一環としての冒険がしたかっただけ。
密林を歩く私は心底めんどいと思ってた。
疲れるー。
今のところ何の障害もない。
そう、スワンプフォークとかスワンプグール、ルズカとかいう熊も出てきてない。
ただ日中とはいえジャングルは木々が密生し過ぎているので太陽のほとんど光が届かない。薄暗くて鬱蒼としている。陰鬱です。鬱、鬱、鬱っ!
「ふぅ」
一歩一歩前に進む。
ぶらぶらしている最中のスワンプフォーク襲来だったのでライリーレンジャー製の強化型コンバットアーマーはモーテルの中。現在の服装はサファリジャケット。
既にドロドロで気分最悪です。
着替えないのも痛い。
「主、大丈夫てすか?」
「気分は最悪だけど体調は問題ないわ」
「なんでしたらお姫様抱っこしますが?」
「……遠慮しとく」
「主は本当にツンデレでいらっしゃいますね」
「……ははは」
「ユーモアです」
「……ははは、笑えるー……」
「あの、大丈夫ですか?」
「まあねー」
グリン・フィスの軽口にも答えられず。
疲れたのです、疲れた。
一歩一歩が重い。
足場が悪い。
多少、というか結構水分を含んでる。ドロドロしてて足が取られて、非常に重い。体力の消耗が半端ない。一番多く荷物背負ったグリン・フィス君は頑丈ですね。
私は駄目だー。
「ミスティ、休憩するか?」
「まだ、いい」
歩きながら私は力なく呟いた。
さっき休憩したばっかだし。
距離は、まあ、問題じゃあない。キャピタル・ウェイストランドでもパパを探して歩き続けてたしエンクレイブ絡みでも歩いてた。だから足腰は強いつもりだ。問題なのは泥濘。
地味に体力を奪ってく。
歩き始めて1時間ってところかな。マルグリットの小屋までは直線距離で15キロほど。タートルダヴ収容所はそこから15キロほど。つまり私たちの出発地点だった災害救済
キャンプと最終目的地のタートルダヴ収容所の中間にマルグリットの小屋はある。そこで物資を調達し、私たちはスタート地点に戻るってわけ。
このままいけば最終目的地まで楽?
そうねー。
楽です。
問題はシーがタートルダヴ収容所までの道のりが過酷とのこと。
スワンプフォークの小さな集落がいくつかあり、またスワンプグールと呼ばれるフェラルの集団が徘徊しているらしい。なのでマルグリットのところで物々交換して食料を
確保したい。充分な量の弾丸もだ。最悪弾丸だけでもね。食料は狩りでも釣りでもすればいいけど、弾丸の確保は密林ではまず無理だ。
長期戦に耐えうる状況にしたい。
そして長期戦になれば居残り組にも充分な物資が必要になる。
面倒くさいけど往復は必要不可欠だ。
サッ。
何かが先頭を歩くポールソンの肩に落ちてきたけど、彼はそれが何かも見ずに手で払いのけた。
昆虫ぽかった。
「ミスティ、あんたも気をつけな。密林の昆虫は毒を持っている種類が多い」
「毒? 今のも?」
「さあな」
「さあなって……」
「毒持ちの種類を諳んじてるわけじゃない。とりあえず虫は全部払いのけた方がいいってだけさ。這い回られて気分がいいものじゃないしな」
「まあ、確かに」
密林を行く私たち探検隊。
汗だく。
どろどろ。
気分は最悪です。
背の高い木々で密閉されたような空間だ。妙にじめじめして、暑苦しい。空気が重苦しい。視界は一応利くけど待ち伏せされたらすぐに対応できない。
面倒。
面倒な展開です。
嫌だなぁ。
「グリン・フィス、敵は近くにいそう?」
「気配が沢山すぎて何とも」
密林には攻撃的な思念が充満しているらしい。攻撃的、いや、正確にはテリトリーに入り込んだ私たちが異物なのだろう。
虫であれ動物であれミュータントであれその異物に敵意を向けているのだ。
敵意は、まあ、いい。
それをこちらに剥き出しにしてこない限りは別にいい。
「近くに小川がある。そこまで出たら休憩にしよう。あとは川沿いに北上すればマルグリットの小屋だ。あんたはタフな女だろ、ミスティ。いやいやキャプテン・コスモス殿」
「はっ?」
含み笑いをするポールソン。
やたら馴れ馴れしい。
初対面なのに。
だけど不思議と腹が立たない。
うーん。
不思議な関係ですね、私ら。
「主、キャプテンコスモスとはなんですか?」
「戦前のアニメだったような」
「あにめ? 何ですか、それは」
「娯楽」
「なるほど」
そう呟き返したもののグリン・フィス、よく理解していない様子。
まあいいんですけど。
ポールソンの発言はグリン・フィスに通じるものがある。向こうは意味分かって言ってるつもりなんだろうけど私にはチンプンカンプン。下地になるそのネタを知らないからだ。
「さあ、さあ、元気出していこうぜタフガールさんよっ!」
「……善処します。グリン・フィス、頑張ってこー……」
「あの、本当に大丈夫てすか?」
「……無理」
その頃。
大型フェリー船が停泊している砂浜。
サラとシーの会話。
「ねえBOSさん。いい加減打ち解けようよ〜」
「それは任務の許容範囲を超えているわ」
「感じ悪い奴ぅ」
「相性ってものがあるのよ。……いえ、ごめんなさいね。展開がハードすぎて自分以外には注意が払えないのよ」
「まあ、別いいっすよ。あたし心が広いし」
「……」
「うっわ無視っすか?」
「待って。何かこっちにくる」
「双眼鏡双眼鏡……うっわスワンプフォークかよっ! それもたくさんいるっ! まさか場所が特定されてるってわけっ! 何でよっ!」
5時間後。
マルグリットの小屋に到着。
小屋は1人暮らしには多少広い程度の外観、隣接している納屋の方がはるかにでかかった。
途中で小休憩を繰り返し、小川に到着後は小川を沿うように移動。途中で木製のボートが打ち捨てられているのを発見、ボートで流れに合わせて蛇行しながら目的地に到着。
かなり疲れたけどオールを漕ぐのは男性陣が受け持ってくれたから体は休まった。
贅沢な理由としては座りっぱなしでお尻が痛いです(泣)
まあ、贅沢ですね。
船で移動中、ヤオ・グアイってのを初めて見た。
クマというか完全にただのモンスターだろ、あれ。岸辺からこちらを見てただけで何かをしてくるわけじゃなかったからお互いにスルー。あれがルズカってクマかぁ。
他には何の支障もなかった。
原住民も歩く死体も出てこなかった。
シーめ、脅かし過ぎじゃね?
「うっぷ」
船で移動中に食べたから酔った。
……。
……いや。もしかしたら食あたりか?
その可能性は否めませんな(汗)
ともかく。
ともかく到着。
早朝から移動開始したからまだ日は高い。この辺りは空が開けてて太陽が降り注いでる。
ポールソンが小屋の入り口の前で叫ぶ。
ドンドンドン。
「マルグリット、俺だ、ポールソンだっ!」
交渉は任すとしよう。
そう考えながらふと納屋の方を見る。扉は木製で両開きの引き戸との扉だ。両の取っ手が南京錠ではなく鎖でぐるぐる巻きにされている。倉庫ってわけか。物長者なのかな?
スワンプフォークとの取引は儲かるらしい。
まあ、向こうに造酒技術がないのであれば言い値で取引できるのだろう。
たぶんね。
何度かポールソンは叫んでみるとげ応答はなし。
出かけてる?
無駄足は嫌だなぁ。
「主」
「何?」
「この小屋からは気配がしません」
「……マジで?」
「御意」
グリン・フィスの気配を読む能力は半端ない。
その彼がいないというのであればいないのだろう。私は入り口から離れて窓から中を覗いてみる。
「……」
厄介キターっ!
中は血の海。
その海の中で女性が仰向けで沈んでいる。
あれがあの女性の血であるならば、100%死んでるわね。
「ポールソン、扉開けて。ノックする意味はないわ」
「何? ……何だこりゃっ!」
彼は確認する。
死体はマルグリットであってるらしい。
私たちも中に入る。
人を殺すことはするけど、検分はまた別物だ。気分のいいものではない。検分するのはあまり好きではないけど……死体を見てみる。
死因は分かり易かった。
胸に数発撃ちこまれてる。
スワンプフォーク……ではないかな。これ単発じゃないな、アサルトライフルを掃射されたような感じだ。いやあいつらが実はアサルトライフル系を使う可能性もあるけど。
壁にレバーアクションライフルが立て掛けてある。
手に取ってみた。
「ふぅん」
古臭い武器だ。
南軍か私は?
持ち主が既にこの世にいないので使っても構わんだろうか。ポールソンを見ると軽く頷いた。今は銃の絶対数が足りない。使うとしよう。
棚を探すと弾丸があった。
銃口の下にある弾倉に弾丸を次々と放り込む。残りの弾丸はポケットに入れた。
他に使える物はないかな?
「主、気配がします」
「気配?」
「納屋からです」
「おいミスティ、この侍何言って……」
グリン・フィスの言葉は大概正しい。思えば納屋の扉、鎖でぐるぐる巻きっていうのも変だ。普通は錠を使うだろ、鎖だと簡単に開けられてしまう。
まあ錠だろうが銃使えばお終いだけどさ。
外に出て納屋の扉の前に。
耳を澄ませば中から何かがダンダンと叩いているような音だ。
「グリン・フィス」
「御意」
鎖を解き始めるグリン・フィス。
私とポールソンは一歩下がる。私はレバーアクションライフルを構え、ポールソンはレバーアクションショットガンを構えた。一撃のダメージは私のは低いけど銃は銃だ。
どんな敵だろうと頭に叩き込めば殺せる。
まあ、機械系の敵を倒すには威力不足だけど、この地にそんなのはいないだろ。
たぶんね。
ジャラジャラ。
鎖を解き、地面に捨てる。グリン・フィスは扉を開いてそのまま横に体を引いた。
瞬間飛び出してくるスワンプフォーク達。
数は5。
私とポールソンは銃撃。
敵は鉈や斧といった類の白兵戦使用。図体でかいのが5体。しかし飛び出してきた瞬間には頭を撃ち抜かれてその場に転がる。数秒の勝負だった。敵が沈黙するとグリン・フィスが
真っ先に倉庫に入り、そしてこちらを見て頷いた。隠れている敵はいない。そして生きていた奴らは全て沈黙した。
制圧完了。
倉庫の中にはたくさんの棚があった。
棚がある。
それだけだ。
倉庫の中には何もない。
正確には多少はあるけど取り残したって感じかな。誰かが既に持ち去った後のようだ。その証拠に一部床に散乱している。整理整頓がなっていないのではなく乱暴に奪ったのだろう。
誰が?
何の為に?
くっそ、手持ちのピースは増えていくけどパズルの全体像がまるで見えない。組み立てるのは不可能だ。
ポールソンが毒づいた。
「あの化け物ども、マルグリットを殺りやがったっ!」
「それはどうかな」
「どういうことだ?」
「スワンプフォークがやったとして、どうしてあいつらが閉じ込められてたのかなって」
「……別の奴らがいるってことか?」
「密輸商人って奴らは?」
相手が誰であろうと敵にしかならないだろうな、きっと。
とりあえず物資は誰かに奪われた後みたいだけど私らが飢えない程度にはある。ナップに少しずつ食料を詰めながら銃火器の類を探すけど……なさそうだ、探せばあるかな?
「主っ!」
警告の声。
倉庫の中には私ら以外はいない。となると外からか。
グリン・フィスにレバーアクションライフルを手渡し、弾丸も渡す。デズモンドに貰った彼の持つ45オートピストルは強力だけどこの弾はここでは手に入らないだろう。少なくとも
キャピタル・ウェイストランドでは手に入らない。弾丸が流通していないのだ。モイラが特注で作ってくれたのがあるだけ。
出来るだけ温存しておくとしよう。
私の44マグナムは特に珍しい種類ではないので多分あるだろ。
倉庫の外にスワンプフォークがちらほらと現われる。
奇声を上げてこちらに攻撃開始。
さっきとは違い単発銃をこっちに向けて撃ってくる。外での戦闘ならともかく、こっちは隠れる場所が沢山ある。攻撃が飛んでくる方向も決まってる、出入り口からだけだ。
防御はし易い。
「こんのぉーっ!」
能力行使。
トリガーを連続で引き、時が動いた瞬間に全弾が視界にはいるスワンプフォークすべてに叩き込まれる。吹き飛んだ。
空の薬莢を捨てて装填。
その間にポールソンが援護。彼の腕もかなりのものだ、スワンプフォークはこちらに近付けないでいる。
ただ、グリン・フィスはというと。
「あの、主。これはどうやって撃つのですか?」
撃ち方を知らないらしい。
まあ、キャピタルでは流通していないタイプの銃だし。
「装弾レバーを動かして装填、排莢、撃鉄の動作をするの。……そう、それでいい。で撃つ」
「御意」
外れ。
外れ。
外れ。
射撃はまだまだのご様子。
その間にも私とポールソンはスコアを伸ばしている。スワンプフォークは死を恐れないようだ。次々と的になって果てても全く動じずに攻撃を仕掛けてくる。
何故前面から来る?
的になるだけなのに。
その時何か焦臭くなるのを感じた。
「おいおい、勘弁してくれよ。バーベキューはごめんだぜ」
そう。
あいつら倉庫に火を放ちやがった。前面にいたのは時間稼ぎか。おそらく倉庫を包囲していて、火を放っているのだろう。壁が燃え始める。ガソリンか何かかけた?
用意周到なことで。
見かけに騙されると痛い目に合う典型的なケースだな、これ。未開の連中と侮った結果か。こいつら頭は悪くない、戦略を知ってる。そして死を恐れない。
戦いようによってはエンクレイブより厄介かも。
しかもこっちは武器の縛りプレイ中だし。
面倒だ。
カチ。カチ。カチ。
グリン・フィスはトリガーを引きまくってる。
弾丸切れか。
「あの、主。これはどこに弾倉があるのですか?」
「銃口の下部を見て。でそれをぐりっと捻って……そう、そのチューブ式弾倉を取り出して装填するの」
「御意」
講義の時間終了。
私たちは銃を構える。だけど前面からの攻撃はやんだ。そして視界からスワンプフォークも消えた。
「主、これは誘っているのでしょうか」
「多分ね」
そう。
あいつら私らを誘ってる。
このままここにいれば焼け死ぬし、かといって出て行ったら多分ハチの巣にされる。
さて、どうする?
建物を背に戦えば装填している44マグナムの弾丸分は敵を殺せる。私の能力で視界に入る限りは敵じゃあない。さすがに私の能力は知らんだろ。
だけど数が多いと撃ち負ける。
とはいえ交渉できる相手でもない。
……。
……それにしてもこいつらどっから出てきた?
たまたま?
それともこっちの場所が分かってる?
別行動しているアンクル・レオは無事だろうか?
心配だ。
リィンっ!
甲高い音が突然響く。
何回も。
外で銃声が始まった。突然スワンプフォークが視界に入り始める。走り回って逃げ惑っている。
何だ?
「誰がいるのか知らんがここはワシに任せてさっさと逃げろっ!」
冒険野郎の声だっ!
断続的に甲高い銃声が響き渡る。
何だか分からないけど援軍は助かる。私はポールソンとグリン・フィスを促して倉庫を飛び出る。ポールソンは少し遅れてから飛び出してきた、ナップサックにはち切れんばかりに何か詰まってる。
食料をゲットしたのか。
そうでした、それが目的でした。
冒険野郎の姿は見えない。密林から狙撃しているのか。甲高い音の意味も分からないけどスワンプフォークたちは右往左往している。こちらに構ってくれない。
何体か打倒してから包囲を脱出。
少ししか食料をゲットできなかったけどこれで3日ぐらいは死なないだろ。
「ありがとう、冒険野郎っ!」
「ああ。赤毛の冒険者だったのか。ここはこのワシ、冒険の先輩に任せとけっ!」
密林のどこから攻撃してるのかは知らないけど私は彼に感謝してこの場を後にする。
ここは逃げといたほうがいい。
戦ってる最中に別部隊が来たら厄介だ。冒険野郎は単独行動だし身軽。いざとなったら単身で脱出できるだろう。
私たちは南下。
元いた場所に……。
『ミスティっ! サラよ、こっちは攻撃を受けてるっ! 戻ってきちゃ駄目よ……ちょっと、無線機返して……っ!』
『あたしがこいつら連れて逃げまわるから、BOSそっちに行かすっ! 収容所近辺で合流しなよっ!』
『あなた正気っ!』
『あたしはここに精通してる。逃げるのはあたしの方が可能だし。ほら、行動開始っ! ばいびー☆』
突然PIPBOY3000から流れたメッセージ。
私のしているタイプは受信は出来てる送信は出来ない、なので交信ができない。一方的な受信のみだ。
やっぱりスワンプフォークはこっちの行動を呼んでる。
何でだ?
何で分かるんだ?
「主、どうしますか?」
「収容所に向かうわ。サラを迎えに行きたいけど……行き違いになる可能性もある。現地で集合した方がいい」
「異議はないぜ。さあ行くか」