父のアンモナイト

父のアンモナイト


 

 2015年8月の父の死去にともない、同年12月26日付けで、父がおよそ37年間所有していた北海道産のアンモナイトを某博物館に寄贈した。このアンモナイトは石好きだった父が知人から買ったもので、購入以来、父の家の玄関にずっと鎮座していた。生前、「いい引き受け先があれば譲ってもいい」と語っていた父の言葉に沿い、同館に寄贈の打診をしたところ、「とても魅力的な標本ですので…」と受諾の回答があり、このたび納入の運びとなった。

  
(職員さんたちによる搬出の様子。大きさと重さに手こずりつつ…)

 パキデスモセラス(Pachydesmoceras)の一種だろうか。直径は約55センチ、重量が推定で60キロほどあると思われる大型種だ。北海道は世界的に知られている良質なアンモナイトの産地で、このような大型種も見つかる。詳しい発掘地は不明だが、父の前に所有していた人からの伝聞によれば、北見市の相内(あいのない)町に住む人から入手したらしく(入手時期は不明)、土木工事中に重機が砕いた岩盤から転がり出てきたとのこと。ただし、現在まで相内町ではアンモナイトを産出する地層が見つかったことはないので、他の地域から相内町に持ち込まれたということだろう。

 発掘から少なくとも40年前後は経過しているとみられる。やや古めの標本で、大きな割れの接着痕があるものの、風雨や河水による破損をまったく受けておらず、ゆがみもほぼ無い。いずれその博物館で展示されることになる。来館する子供たちの人気者になってくれれば幸いだ。 (2015年12月28日・記)



             
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