ゲーテ作 『ファウスト』 “魔女の九九”より
汝、会得せよ
一を十となせ
二を去るにまかせよ
三をただちにつくれ
然らば汝は富まん
四は捨てよ
五と六より七と八を生め
斯(か)く魔女は説く
斯くて成就せん
乃(すなわ)ち九は十にして
十は無なり
是(これ)を魔女の九九と云う也 (中央公論社『世界の文学』5巻p.472 昭和39年7月刊)
〔解釈〕
一は始まり、起源
二は転変の発露・進行、未だ主客の混沌とした状態
三は表象・思惟・作為・自我の確立
四は倫理・道徳理念に準ずる社会規範のしがらみ、苦悩
五と六は我欲より出ずるもくろみと行為
七と八は自己存在の精神的および物質的充足
九は帰趨、終焉
十はゼロ、無為、世界の創造者の意志、完いなるもの
魔女の九九……留まらざる川の流れ、涸れる事なく永遠に喉を潤す泉、輪廻転生、因果応報
(1989年5月19日・記 解釈…きまぐれ睡龍)
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