Epitonium(Gyroscala)sp.
イトカケガイ科
長さ70ミリ
第三紀始新世後期
北海道夕張市真谷地
(幌内層)
*1958年12月4日に採取された標本。イトカケガイとしては大型。
先端部を少し欠いているので実寸は75ミリほどか。
種類の多いイトカケガイの中でもGyroscalaの形に最も近似。
裏側は破損していて原形をほぼ留めていない。
この標本にはつぎのような古いネームが付随している。
ポンクルキ排気立坑の幌内層 F zone(F帯)と記載している。
HOKKAIDO COLLIERY & STEAM-SHIP CO., LTD.とあるので
北海道炭鉱汽船株式会社の旧蔵標本であろう。
かつて真谷地に同社経営の大規模な北炭真谷地炭鉱があり
同社の調査によって幌内層の分層・分帯図が作成された。
1987年の炭鉱閉山以降に関係者から流出した標本か。
COLLにあるTANIGUCHIが誰かは不明。
幌内層は1,000m以上の層厚を有し、F帯は中〜上部に該当。
海生貝化石を多産する泥質岩が主体を形成している。
下部のE帯からもEpitonium類の産出がみられるという。
浦幌層群舌辛層中部の始新世中期からも未定種が産出。
母岩側面には「ポンクルキ排気立坑 10M.00」の記載がある。
真谷地ポンクルキ坑は1950年の開坑だという。
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