ひろきと障害の話

<脳性まひ>

◆脳性まひとは

 ・脳性まひは英語でcerebral palsyといい、その頭文字を取ってCPとも呼ばれる。

発達途上に脳に損傷を受けたため起こる運動発達の障害

       →脳に損傷を受ける三大要因@新生児仮死

                    A新生児重症黄疸

                    B低体重未熟児

・大人の脳卒中や、子どもの脳炎、事故などでの障害との違い
→一番の違いは、まだ生まれて発達をほとんどしてない段階までの脳損傷だということ
である。第2に症状は姿勢や運動の異常が永続して残ること、第3に、筋肉疾患、進行性疾患や一時的な運動障害は除くこと、第4に症状は多様であることである。

・脳の損傷が起きる時期として一番考えられるのは生まれる前後の期間(周産期)。しかし、現在では新生児医療の進歩によってずいぶん様相が変化してきている。

・生まれる前からの原因としては、胎内感染症(サイトメガロービールス感染症、トキソプラズマ感染症など)、薬剤や化合物の影響はかなり判明しているが、それ以外を確定するのは難しい。

・全体としての脳性まひの発生率→1,000名あたり、2.0名程度はあると言われている。

・損傷により運動の獲得に異常がではじめた段階、すなわち異常が固定化する以前に訓練などの適切な治療をする事によって、症状の改善、脳性まひに至ることを防ぐのが可能である。                               

 

◆病気の分類と特徴

・脳性まひの症状と病型……脳の損傷の部位によって異なる

<病型>

★痙直型…脳の錐体路(主として運動をつかさどる神経経路)を中心とした障害。

      この部分に損傷をうけると末端の筋の伸張反射が高まり、筋は持続して縮まった状態になる。(痙性)痙直型脳性まひは、障害のあらわれる部位によって症状がかわる。

@片まひ−体の右又は左側の腕、躯幹、脚に障害があらわれる。脚よりも腕に障害があらわれやすい。まひ側は、股、膝が伸びきらず、つま先が床につき踵が離れる尖足歩行となりやすく、腕は肘を伸ばし、指を開き、手のひらで支える状態がとりにくくなる。

   A両まひ−腕、躯幹、脚の左右にまひがあらわれる。片まひと比較すると脚に障害があらわれやすく、障害の程度は幅広い。座位がとれない段階から独歩が可能な場合がある。全体的に、まげる筋が持続的に縮まった状態にあるため、各関節を伸ばしきれず、関節の拘縮や変形が起こりやすくなる。

★アテトーゼ型…不随意運動型ともよばれ、脳の錐体外路(主として無意識におこる運動をつかさどる神経経路)を中心とした障害。一つの運動をするとき持続した筋運動をすることが難しく、運動の調節、協調、コントロールが障害を受けることになる。
ふつう、腕をのばすときにはのばそうとする筋がはたらき、それと同
時にまげる筋がゆるまなければならないが、アテトーゼの場合、たとえば肘をのばそうとするとき途中でまげる筋も収縮し、その結果不随意運動が生ずる。首を振る、顔面が細かく動く、舌が出たりひっこんだりする、指先がふるえるなどの症状が特徴の一つである。

★失調型…小脳や大脳皮質の平衡を調節する神経経路の障害であり、多くの子は歩行をするのがバランスを保ちにくく、筋力の弱さと筋緊張が低く、言語のイントネーションがなくスローであることが多く見られる。

★強剛型…錐体路系の障害で、筋の屈曲・伸展にいずれも緊張があり、のばそうとするときも、まげようとするときも、抵抗があるけい直型の子もいるが、典型的な障害は失調型とともに少ない。

★混合型…以上のタイプのものがいずれか合わさったもので、多くの場合、痙直型とアテトーゼ型の混合型であり、どちらかの型が優位を示している。           

<症状>

★知的発達障害:大脳皮質が広範囲にわたって損傷されていたり、形成が不充分であったりする場合に生じる。知的に関連のある部分に損傷がない場合でも、運動障害のために様々な体験をする機会が得られないままであったり、感覚情報が正しく伝わらないままでいると、2次的に知的発達障害になっていく場合もある。特に早産低体重出生児で痙直両麻痺を併発した場合にしばしば2次的な知的発達障害が見られる。

・視知覚認知障害
主に視覚情報を処理する脳の機能に問題を生じやすく、大小の比較等目で見たものを正しく理解し組み立てるといったことが苦手になる。

★視覚障害:
○大脳皮質盲

早産定体重出生児に発生する未熟児網膜症などによる。情報を受け止め
る大脳後頭葉視覚野が損傷されていた場合に、目には問題がなくても情報をうけとれないために見えない状態になる。

○斜視・眼振
目の位置や動きの異常。程度によっては両目で見ることによって獲得
される学習に大きな影響を与える。     

★聴覚障害:核黄疸による脳性麻痺の場合に生じることがある。

★てんかん:脳、特に大脳皮質に損傷がある場合に、その周辺の神経組織で異常な興奮が発生しやすい。それが強くなったり広汎に広がったりした場合にてんかん発作が起きることがある。その可能性は脳性麻痺の40%といわれている

★緊張:アテトーゼ型脳性麻痺の場合、緊張の高まりによる反り返りが強く、身体に不随意運動が出現することが多い

★摂食障害:
   ・身体の不自由に起因する症状
→手でスプーンなどをうまく握ることができず口まで持っていくことができない
   ・口まで来てもうまく取り込めない、吸えない。
   ・咀嚼活動の障害→口の中で食べ物を移動しながら細かく砕くことが困難。

   ・嚥下活動の障害→細かくした食べ物を口の奥に送り込み飲みこむことが
困難。

★嚥下障害:口に含んだ食物をうまく飲みこめない状態のことをいう。時には誤嚥(食道ではなく気管に入ってしまうこと)が生じることもある。

★呼吸障害:通常、吸った息は鼻・口から喉頭部経由で気管を通って肺に至るが、重度障害の場合に上気道閉塞(舌が後ろに落ち込み空気の通り道をふさぐ)や、上体の緊張が高すぎたり低すぎたりすることによって、うまく胸を膨らませて空気を吸いこみ、肺を十分に膨らませることができないといったことが生じることもある。


<てんかん>

◆てんかんとは

種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射から由来する反復性の発作(てんかん発作)を主徴とし、それに変異にとんだ臨床ならびに検査所見表出がともなう。(WHOてんかん専門委員会および国際抗てんかん連盟)

◆原因

てんかんの成因はいろいろある。たとえば、出産時のトラブル、脳炎・髄膜炎といった生後の脳損傷、遺伝性素因、その他多くの原因が上げられる。しかし実際は、原因の分からない事が最も多い。(7〜8割は原因不明)脳に原因があること、症状が一過性であること、繰り返し起こってくること―この3つがそろった時、てんかんと診断される。発作が一過性で繰り返し起こってきた時は全ててんかんというと、そうではなく、発熱によって起こる熱性けいれん、心臓の異常、精神的原因であるヒステリー、泣き入りひきつけ、腎臓疾患など、いろいろな病気で、同様のことが起こってくる。治療法は原因によって異なるため、原因を十分に調べることが大切である。

<てんかんの原因>

 外傷…5%、脳血管障害…5%、腫瘍…4%、先天異常…4%、感染…3%、不明・突発性…51%、器質性…28%

◆てんかんの症状 

 運動症状(徴候)としては、四肢の突っ張り(強直性)、がくがくするといった間代性、頭部が左右をむく回転性、姿勢が 一方向へ向く姿勢性、の他に、口をもぐもぐする、笑う、手をこする、歩くなどの動作(精神運動発作)、眼球固定、顔色 変化、頭部の前屈・後屈、脱力(倒れる)、などがある。

◆てんかんの分類

1989年に国際てんかん連盟によっててんかんの分類がされた。この国際分類の基本となるものに、てんかん発作の分類がある。発作には、大きく分けて以下の二つの症状がある。(発作像と脳波所見をもとに分類)

 @部分発作…大脳半球にある限局した脳神経細胞の異常放電に由来する。その原型は発作開始時には意識が残っていて、発作は体の一部にとどまるもの。

 A全般発作…両側大脳半球に同期した発作放電に基づいている。その原型は発作開始時から意識が消失し、発作像は両側対称性。

この二つの発作から、てんかんの国際分類は二つの基準から考える。一つの基準は上記に述べたように発作を持つ全般てんかん、部分発作を持つ局在関連性てんかん、どちらとも分類できない未決定てんかんである。この未決定てんかんは、なかなか理解しにくいものであるが、乳幼児にとって難治性で発作のコントロールに苦労する乳児重症ミオクロニーてんかんがこれに含まれる。もう一つの基準は、原因の有無による分類である。遺伝的要素以外には明らかな原因を持たない特発性てんかん、既知の原因による症候性てんかん、現在の医療技術でその原因を明らかにできないものを潜因性てんかんという。