■ 簡易空撮気球 「ひばりは見た!」
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1 | 空撮気球は、機体部とカメラ部からなっています。機体部は、大型ポリエチレン袋(2.1m×1.2m×0.05mm厚)にガス注入コック、ハトメ、水平翼をつけ、袋の口を熱でシールし、ヘリウムガスを充填したものです。大きさは1.8×0.8×0.6m、体積は0.96立米、最大積載重量は600gで、リールに巻いた投げ釣り用糸で係留します。折り畳めば65×45cmになり、重さはカメラ、リール、送信機も入れて1.5kgなので、持ち運びも簡単です。 | ||
2 | カメラ部は、小型デジタルカメラをゴンドラに入れて気球につり下げ、ラジコンにより、撮影方向を変えてシャッターを押します(総重量271g)。気球は、高度150m程度まで上げることができ、撮影できる範囲は、28mm広角レンズで高度の1.27倍になります(横位置)。なお、ラジコンを使わない場合は、係留索を上下に動かしてその振動でゴンドラを回転させる簡単な装置とカメラのインターバルタイマーで撮影します。 | ||
3 | この気球を使った雑草調査の例を紹介します。左の写真は、リビングマルチという、生きた草で雑草を抑える栽培法の大豆畑です。広さは100×42mです。地上からの撮影では、雑草が奥の方に生えているのがわかりますが、畑全体の分布は全くわかりません。 | ||
4 | しかし、空撮装置で上空37mから撮影すると、左半分の小麦を使ったリビングマルチと右半分の大麦を使った場合の雑草(シロザ)の発生量や分布の違いが一目瞭然でわかります(うすい緑色の部分がシロザ、濃い緑が大豆)。このような画像があれば、畑全体を代表する調査地点を簡単に決められるので、試験の精度が上がります。 | ||
5 | 左右の雑草量の違いを数値で表すことも可能です。画像解析ソフト(フォトショップLEとImageJ)で雑草部分だけを黒色に変換して、雑草が区画に占める面積割合を測定してみました。すると、左が7.4%、右が15.9%で右の方が2.1倍多いという結果が出ました。 このように空撮により、地上調査の支援だけでなく、上空からの調査も行うことができます。なお、左右の雑草の生え方の違いは、大麦の方が小麦より早く枯れて、雑草の抑止力が弱くなったためと考えられます。 | ||
● | 関連文献 | 上の方法に関連する発表論文および参考文献。 | |
● | 空撮気球作製マニュアル(東北農研センターのHPにリンク) | 空撮気球の作り方や画像の分析の仕方を紹介したマニュアル。写真多数、3.8MバイトのPDFファイル(読むにはアクロバットリーダーが必要です)。 |