敬語 敬語を図示すると次のようになる。語は異なるが構造は古文編と同じである。
一 常体 敬意がない場合。
二 敬体 敬意がある場合。動作をする者が、上の者の場合上げ、下の者の場合下げる。
1 尊敬 上の者である先生が「言う」ので、その作を上げて「おっしゃる」と表現し、師に敬意を表す。
2 謙譲 下の者である生徒が上の者である先生に「言う」のでその動作を下げて「申す」と表現し、先生を敬う。
記号 ● 動作をする人 ○対応する人 ↓ 敬意
● |
↜←
○ ○ ● |
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○
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←
● 生徒 申す「 |
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先生 おっしゃる |
生徒 |
生徒 |
生徒 言う |
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||||||
一 常体 敬意が無い場合
二 敬体 敬意がある場合
1 尊敬
2 謙譲
3 丁寧 聞き手や読み手を敬う。「です」「ます」の二語。
4 美化語=自分の言葉を上品、綺麗にする敬語。「お」。
敬語練習問題1
次の敬語表を埋めよ。
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7 |
6 |
5 |
4 |
3 |
2 |
1 |
番号 |
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承知する |
借りる |
着る |
尋ねる |
聞く |
食べる 飲む |
知る |
受ける もらう |
くれる |
与える やる |
見せる |
見る |
言う |
来る |
行く |
する |
いる |
常体 |
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なし |
なし |
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なし |
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なし |
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尊敬 |
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なし |
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なし |
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謙譲 |
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17 |
16 |
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9 |
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7 |
6 |
5 |
4 |
3 |
2 |
1 |
番号 |
承知する |
借りる |
承知する |
借りる |
着る |
尋ねる |
聞く |
食べる 飲む |
知る |
受ける もらう |
くれる |
与える やる |
見せる |
見る |
言う |
来る |
行く |
する |
いる |
常体 |
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なし |
なし |
なし |
なし |
召す |
なし |
お耳に達する お聞き及ぶ |
召しあがる あがる |
ご存知です |
ご受納下さい |
くださる |
賜る |
なし |
ご覧になる おめにふれる |
おっしゃる おおせつける おおせになる |
いらっしゃる おいでになる みえる |
いらっしゃる おいでになる おこしになる |
なさる される あそばす |
いらっしゃる おいでになる |
尊敬 |
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承る |
拝借する |
なし |
うかがう うけたまわる |
うかがう うけたまわる |
いただく 頂戴する |
存じ上げる |
いただく 賜る 頂戴する |
なし |
あげる さしあげる ささげる |
お目にかける |
拝見する |
申す 申し上げる お耳に入れる |
参る 参じる お出ましになる お見えになる お越しになる |
参る 参じる 参上する |
いたす |
おる |
謙譲 |
敬語練習問題2
1 次の言葉の尊敬語を記せ。
@ 食べる( ) A 言う( ) B 見る ( )
2 次の言葉の謙譲語を記せ。
@ 与える ( ) A 言う ( ) B 聞く ( )
3 次の言葉を丁寧体に直せ。
@ 寒い ( ) A 静かだ ( )
4 次の文には、敬語の使い方で適当でない箇所がある。二重線部を直せ。また、主語に傍線を引け。主語が隠れている場合( )に補え。
( )
@ 先生が金沢にまいられましたのは、いつごろのことでしょうか。
( )
A 乗りましたら、ご順に車の中程へお詰め下さい。
( )
B 猫にそろそろご飯をあげようかと思っています。
( )
C 佐藤さん、おりましたら、一階案内所までおいでください。
( ) ( )
D 「君のお父さんにうかがってくれ。「はい、うかがってみましょう。」
( )
E ちょっとその書類をご拝借したいのですが。
( )
F 失礼になりますから、私は遠慮なさっておきます。
( )
G ご馳走を用意してくださってありがとうございます。さっそく召し上がってみます。
解答2
1@召しあがる Aおっしゃる Bご覧になる
2@(さし)あげる A申す Bうかがう
3@さむいです A静かです
上 いらっしゃい
@ 先生が金沢にまいられましたのは、いつごろのことでしょうか。
お乗り (客)上
A 乗りましたら、ご順に車の中程へお詰め下さい。
与えよう(私)
B 猫にそろそろご飯をあげようかと思っています。
上 いらっしゃいましたら
C 佐藤さん、おりましたら、一階案内所までおいでください。
下さい 聞いて
D 「君のお父さんにうかがってくれ。「はい、うかがってみましょう。」
拝借し (私)下
F ちょっとその書類をご拝借したいのですが。
下 して
G 失礼になりますから、私は遠慮なさっておきます。
(私)下 いただいて
H ご馳走を用意してくださってありがとうございます。さっそく召し上がってみます。
敬語練習問題3
1 就職試験の面接で面接官から、次のように尋ねられた時の答えとしてふさわしいものを選べ。
@ 「あなたは、お兄さんが二人いますね。」
ア 「はい、私には、兄が二人いらっしゃいます。」
イ 「はい、私には、お兄さんが二人おります。」
ウ 「はい、私にはお兄さんが二人います。」
エ 「はい、私には、兄が二人います。」
A 「今日は、どうやって試験場まで来ましたか。」
ア 「はい、お父さんに送っていただきました。」
イ 「はい、父に送ってもらいました。」
ウ 「はい、父に送らせました。」
エ 「はい、お父さんに送ってもらいました。」
B 「当社を受験することに対して、ご家族は何かおっしゃいましたか。」
ア 「はい、両親とも御社は将来性豊かな企業だから、ぜひ合格するようにがんばりなさいと申しておりました。」
イ 「はい、両親とも御社は将来性豊かな企業だからぜひ合格するようにがん
ばりなさいとおっしゃいました。」
ウ 「はい、両親とも御社は将来性豊かな企業だからぜひ合格するようにがん
ばりなさいと申し上げました。。」
解答3 @エ Aイ Bア
@ 「あなたは、お兄さんが二人いますね。」
ア 「はい、私には、兄が二人×いらっしゃいます。」
イ 「はい、私には、×お兄さんが二人おります。」
ウ 「はい、私には×お兄さんが二人います。」エ 「はい、私には、○兄が二人います。」
A 「今日は、どうやって試験場まで来ましたか。」
ア 「はい、×お父さんに送って×いただきました。」
イ 「はい、○父に送って○もらいました。」 ウ 「はい、父に送らせました。」
エ 「はい、×お父さんに送って○もらいました。」
B 「当社を受験することに対して、ご家族は何かおっしゃいましたか。」
ア 「はい、両親とも○御社は将来性豊かな企業だから、ぜひ合格するようにがんばりなさいと○申しておりました。」
イ 「はい、両親とも○御社は将来性豊かな企業だからぜひ合格するようにがん
ばりなさいと×おっしゃいました。」
ウ 「はい、両親とも○御社は将来性豊かな企業だからぜひ合格するようにがん
ばりなさいと×申し上げました。。」
敬語練習問題4
1 次の二重線部は一般的に見てどう改めるべきか。また主語に傍線を引け。
( )
@ こちらのソファに掛けてください。
( )
A 先生は、次の日曜日にはお宅にいますか。
( )
B 私の言ったことはお聞きになりましたか。
( )
C あなたはコーヒーと紅茶のどちらをいただきますか。
D うわさはかねがね聞いています。
E 母はすぐに帰って参りますので、しばらくお待ちしてください。
F 先生に見てもらえと父が言っていました。
G ご注文は何にしますか。
2 次の文で、言葉の使い方が間違っている箇所に傍線を引き、直せ。
@ こちらへ参りませんか。
A 課長は席を外しております。
B 先生のお話は私が聞いておきます。
解答4
1 次の二重線部は一般的に見てどう改めるべきか。また主語に傍線を引け。
おかけください (あなた)上
@ こちらのソファに掛けてください。
上 いらっしゃいますか
A 先生は、次の日曜日にはお宅にいますか。
下 申したこと
B 私の言ったことはお聞きになりましたか。
上 召しあがりますか
C あなたはコーヒーと紅茶のどちらをいただきますか。
うかがっています (私)下
D うわさはかねがね聞いています。
お待ち下さい (あなた)上
E 母はすぐに帰って参りますので、しばらくお待ちしてください。
見ていただきなさい (私)下
F 先生に見てもらえと父が言っていました。
なさいますか (あなた)上
G ご注文は何にしますか。
2 次の文で、言葉の使い方が間違っている箇所に二重線を引き、直せ。
いらっしゃい (あなた)上
@ こちらへ参りませんか。
A
います
A 課長は席を外しております。
B
下 うかがって
C 先生 のお話は私が聞いておきます。
敬語練習問題5
1 次の二重線部に用いられている敬語の種類を漢字で記せ。また主語に傍線を引け。
@ つまらぬ物ですが、お送りいたします。 ( )
A お疲れになったでしょう。 ( )
B 今度本を書きます。 ( )
C 彼が彼女にあげたプレゼントは本でした。 ( )
D 「どうぞ召しあがれ。」 ( )
E あなたは今日は何を買われるの。」 ( )
F 明日の日程は、今からお話しさせていただくつもりです。 ( )
G 今からそちらに参ることになっております。 ( )
H 佐藤さんがおいでくださった。 ( )
I 愚息がお世話になっております。 ( )
J あなたのお父様がいらっしゃいました。 ( )
K あなたはどちらからいらっしゃったのですか。 ( )
L 先生の作品は先日拝見致しました。 ( )
M 先日は本当にありがとうございました。 ( )
解答5
@ つまらぬ物ですが、お送りいたします。 (謙譲)(私)下
B お疲れになったでしょう。 (尊敬)(あなた)上
C 今度本を書きます。 (丁寧)
D 彼(下)が彼女にあげたプレゼントは本でした。 (謙譲)
E 「どうぞ召しあがれ。」 (尊敬)( あなた)上
F あなた(上)は今日は何を買われるの。」 (尊敬)
G 明日の日程は、今からお話しさせていただくつもりです。 (謙譲)(私)下
H 今からそちらに参ることになっております。 (謙譲)(私)下
I 佐藤さん(上)がおいでくださった。 (尊敬)
J 愚息がお世話になっております。 (謙譲)
K あなたのお父様がいらっしゃいました。 (尊敬)
L あなた(上)はどちらからいらっしゃったのですか。 (尊敬)
M 先生の作品は先日拝見致しました。 (謙譲)(私)下
N 先日は本当にありがとうございました。 (尊敬 )( あなた)上
敬語練習問題6
1 次の言葉を指示に従って直せ。
1 他の言い方で
@ 見る 尊敬語に( ) 謙譲語に( )
A 言う 尊敬語に( ) 謙譲語に( )
2 言葉の上や下に語をつけて
@ 息子 尊敬語に( ) 謙譲語に( )
A 宅(家) 尊敬語に( ) 謙譲語に( )
3 他の語を付けて
@ 書く 尊敬語に( ) 謙譲語に( )
解答6
1 次の言葉を指示に従って直せ。
1 他の言い方で
@ 見る 尊敬語に(ごらんになる) 謙譲語に(拝見する)
A 言う 尊敬語に(おっしゃる) 謙譲語に(申す )
2 言葉の上や下に語をつけて
@ 息子 尊敬語に(ご子息 ) 謙譲語に(愚息 せがれ)
B 宅(家) 尊敬語に(お宅 貴家) 謙譲語に( )
3 他の語を付けて
@ 書く 尊敬語に( 書かれる お書きになる) 謙譲語に(書いていただく )
敬語練習問題7
1 次の各文について、例に倣って、誰が誰を敬っているのかと、敬語の種類を記せ。
例 これが話題の本です。 (話し手 が 聞き手 を敬う 丁寧語)
@ 先生が父に本を貸してくださった。( が を敬う 語)
A 姉が山本さんに本をさしあげた。 ( が を敬う 語)
B あれが五重塔でございます。 ( が を敬う 語)
C 本を御覧になって下さい。 ( が を敬う 語)
2 例に倣って〈 〉の中の語を適切な敬語表現に改めて、次の各文の空欄に書け。
例 ただ今の私の説明で( おわかりになっ )たと思います。 〈わかる〉
@ 先生があのようなことを( )とは思わなかった。 〈言う〉
A お客様、右手の総合案内所で( )てください。 〈聞く〉
B その件につきましては、私は( )ません。 〈知る〉
@ あなたが( )たので、仕事がはかどりました。 〈手伝う〉
A あなたに( )たので、仕事がはかどりました。 (手伝う)
解答7
1 次の各文について、例に倣って、誰が誰を敬っているのかと、敬語の種類を記せ。
例 これが話題の本です。 (話し手 が 聞き手 を敬う 丁寧語)
@ 先生(上)が父(下)に本を貸してくださった。(話し手が先生を敬う尊敬語)
@ 姉(下)が山本さん(上)に本をさしあげた。 (話し手が山本さんを敬う謙譲語)
A あれが五重塔でございます。 (話し手が聞き手を敬う丁寧語)
B 本を御覧になって下さい。 (話し手が聞き手を敬う尊敬語)
2 例に倣って〈 〉の中の語を適切な敬語表現に改めて、次の各文の空欄に書け。
例 ただ今の私の説明で( おわかりになっ )たと思います。 〈わかる〉
@ 先生(上)があのようなことを(おっしゃる)とは思わなかった。〈言う〉尊敬
C お客様(上)、右手の総合案内所で(お聞きになっ)てください。 〈聞く〉尊敬
D その件につきましては、私(下)は(存じ上げ)ません。 〈知る〉謙譲
E あなた(上)が(手伝ってくださっ)たので、仕事がはかどりました。〈手伝う〉尊敬
下
F あなたに(手伝っていただい)たので、仕事がはかどりました。(私)(手伝う)謙譲
「手伝ってもらう」の謙譲「手伝っていただく」
敬語練習問題8
( )組( )番氏名( )
1 次の各文には、敬語の使い方に不適切な箇所がある。例に倣って、その部分に二重線を引き、不適切な理由をア〜カから選び符号で記せ(同じ符号は二度と使わない)。また、その部分を正しく改めよ。
理由 正しい言い方
例 花に水をあげる。 ( エ )( やる )
@ お客様、昼食はここでいただいてください。 ( )( )
A 山本は席を外していらっしゃいます。 ( )( )
B すみませんが、おソースを持ってきてください。 ( )( )
C 先生はそのように申されました。 ( )( )
D お求めやすい価格です。 ( )( )
E 先生がお着きになられました。 ( )( )
理由
ア 尊敬語のつもりで謙譲語を使っている。
イ 謙譲語に尊敬語を付けて、全体を尊敬語にしたつもりでいる。
ウ 敬語を重複して用いている。 エ 敬語を使う必要のない対象に敬語を使っている。
オ 必要のない接頭語を使っている。 カ 敬語が不完全である。
解答8
謙譲
例 花に水をあげる。 ( エ )( やる )
謙譲
@ お客様(上)、昼食はここでいただいてください。(ア )(召し上がる)
尊敬
A 山本(下)は席を外していらっしゃいます。 (エ )(い おり )
外来語、漢語、自然現象には丁寧語の「お」はつけない
B すみませんが、おソースを持ってきてください。 (オ )(ソース )
謙譲 尊敬
C 先生(上)はそのように申されました。 (イ )(おっしゃい )
D お求めやすい価格です。 (カ )(お求めになりやすい)
動詞 形容詞 求めるの尊敬 形容詞
求め やすい →お求めになる+やすい
尊敬 尊敬
E 先生(上)がお着きになられました。 (ウ )(お着きになりました。)
敬語練習問題9
( )組( )番氏名( )
1 次の敬語の質問に○か×で答え、その理由を説明せよ。
@ お母さんが「おコーヒー」とか、何にでも「お」をつけたがるのは、いいのかな?
( ) ( )
A お父さんが友人に出す手紙で、息子のことを「愚息(ぐそく)」と書くのは、いいのかな?
( ) ( )
B よその人に「父は来週、海外へいらっしゃいます」というのは、いいのかな?
( ) ( )
C 食堂で「ご注文の品はおそろいになりましたでしょうか」と聞かれたけど、いいのかな?
( ) ( )
D 改まった場面で家族について話す時は「父・母」と呼んだ方が、いいのかな?
( ) ( )
E 「僕」と「わたし」は使い分けた方が、いいのかな?
( ) ( )
F 駅のアナウンスで「ご乗車できません」と流れるのは、いいのかな?
( ) ( )
解答9
1 次の敬語の質問に○か×で答え、その理由を説明せよ。
@ お母さんが「おコーヒー」とか、何にでも「お」をつけたがるのは、いいのかな?
(×) (美化語の「お」がなじまない語もあるからつけすぎは不自然 )
A お父さんが友人に出す手紙で、息子のことを「愚息(ぐそく)」と書くのは、いいのかな?
(○ ) (自分に関するものを小さく表すことにより、友人に対する配慮を示しているから )
B よその人に「父は来週、海外へいらっしゃいます」というのは、いいのかな?
(× ) (父に尊敬語を使っているから
○ 父は来週海外へ行きます。 )
D 食堂で「ご注文の品はおそろいになりましたでしょうか」と聞かれたけど、いいのかな?
(× ) ( 「ご注文の品」という物に尊敬語を使っているから
○ ○ご注文の品はそろいましたでしょう か? )
D 改まった場面で家族について話す時は「父・母」と呼んだ方が、いいのかな?
(○ )(改まった場面ではこの方がよいから )
E 「僕」と「わたし」は使い分けた方が、いいのかな?
(○ ) (日常生活では僕だが、面接試験の時は私のほうがよい )
F 駅のアナウンスで「ご乗車できません」と流れるのは、いいのかな?
(× ) (「ご・・・」だけなら尊敬語だが「ご・・・できる」は謙譲語になる。
乗客の行動には尊敬語を使う。
○ 「ご乗車になれません。」
○ 「ご乗車いただけません。」 )