小景異情                              室生犀星

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語釈

 

ふるさとは遠きにありて思ふもの

 

そして2悲しくうたふもの

 

よしや

 

うらぶれて異土の乞食となるとても

 

帰るところにあるまじや

 

ひとり都のゆふぐれに

 

ふるさとおも涙ぐむ

 

そのこころもて

 

遠きみやこにかへらばや

 

遠きみやこにかへらばや                  (『抒情小曲集』)

 

この詩の形式を記せ。

 

一 次の語の読みを記せ。

 

  1 小景異情  2 異土 3 乞食

 

二 次の語の意味を調べよ。

 

  1 小景

 

  2 異情

 

  3 よしや

 

  4 うらぶれる

 

三 傍線部1〜6と*の問いに答えよ。

 

  1 帰郷した金沢が作者にとってどうであったかが分かるか。また、「ふるさと」と対立する言葉を二つ抜

 

き出せ。

 

  2 他の表現を抜き出せ。

 

  3 この表現に込められた作者の心情を述べよ。

  4 この表現から想像される作者の東京での生活状況はどうか。

 

  5 指示内容を記せ。

 

  6 「遠き都」はどこのことか。また、そこへ「帰らばや」と言っているのでどこで作ったことが分かる

 

か。

 

  *1故郷を拒絶する情、思慕する情が強く表れている行はそれぞれ何行か。

  

*2詩の形式

 

構成

構成

 

遠くで思う

悲しく思う

 

 

都に帰ろう

 ふるさと

 

 

 

乞食になっても返らない

都の夕暮れに涙ぐむ

 

 

 異郷

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主題 故郷を思う強い気持ちと拒絶する強い気持ち 

 

 

 

 

小景異情  解答

一 1しょうけいいじょう 2 いど 3 かたい

二 1 ちょっとした情景。 2 風変わりな情緒をうたったもの。 3 たとえ・・・でも。

  4 おちぶれて。

三 1 どうであったか=安住を拒むつめたさに満ちていた。 対立する語=異土 都

  2 「ひとり都のゆふぐれに」 3 憎しみと懐かしさという屈折した感情。

  4 孤独。 5 ひとり都のゆふぐれに/ふるさとおも涙ぐむ

  6 どこ=東京。どこで=金沢。

  *1 拒絶=帰るところにあるまじや 思慕=ふるさとおも涙ぐむ

  *2 文語詩 自由詩

 

 

 室生犀星 金沢市出身 9歳で実父死亡、生母は行方不明になる。

 

小学校中退。 金沢地方裁判所に勤務。21歳で上京。以後、東京と金沢の往復を繰り返す。

 

      詩集 『小景異情』 『抒情小曲集』 小説 『少年時代』『あにいもうと』