こころ                            萩原朔太郎

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語釈

 

 1こころをばなににたとへん

 こころは2あぢさゐの花

 3ももいろに咲く日はあれど

 4うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。

 

 こころはまた夕闇の@園生の5Aふきあげ

 6音なき音のあゆむひびきに

 こころはひとつによりて悲しめども

 かなしめどもあるかひなしや

 7ああこのこころをばなににたとへん。

 

 こころは8二人の旅びと

 9されど道づれのたえて物言ふことなければ

 わがこころはいつもかくさびしきなり。

 

(注)@園生 庭園。Aふきあげ 噴水。

 

一 詩の形式を記せ。

 

二 次の語の読みを記せ。

 

1 夕闇  2 園生

 

三 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

1 せんなし

 

2ふきあげ

 

3かひなし

 

4されど

 

5 道づれ

 

四 傍線部1〜9問いに答えよ。

 

1(1)ひらがな書きの効果を記せ。

 

(2) 詩中から「こころ」をたとえているものを抜き出せ。

 

2 (1)特徴を述べよ。

 

  (2)どんな点が「こころ」につうじるのか。

 

3 人生におけるどのような日か。

4 象徴するものは何か。

 

5 どのようなものか。

 

6(1)どんな音か。

 

(2)「音なき音」をたてる「ふきあげ」にたとえられた「こころ」の状態はどんなものか。

 

7 この効果。

 

8 (1)この場合の「旅」とはどういうものか。

 

  (2)旅の縁語を抜き出せ。

 

(3)「こころ」のどんな状態を表すか。

 

9 (1)口語訳せよ。

 

  (2)「道づれ」は何を指すか。 

 

 

構成

 

第一連 こころ  あぢさゐ       うつろいやすい

 

第二連 こころ  夕暮れの庭園の噴水  悲しくはかに

 

第三連 こころ  二人の旅人      道連れが寡黙

 

主題 こころ=実態のない、目に見えないもの たとえで表す

 

修辞法 隠喩 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

一 文語詩 自由詩

二1 ゆうやみ 2 そのふ

三 1 しかたがない

  2 噴水

  3 無駄である

  4 しかし

  5 一緒に連れ立って行くこと。

四 1 (1)柔らかい印象。

    (2)あぢさゐの花  ふきあげ  二人の旅人

  2 (1)梅雨に咲く。色変わりする。

    (2)色が変わるー心が変わる

  3 心楽しく幸せな日

  4 つらくはかない思い

  5 涼感をもたらすもの

  6 (1)かすかな音の響き

    (2)ひそやかながらも情熱や真情の発露

  7 詠嘆。詩のクライマックスを」もたらす。

  8 (1)人生

    (2)あゆむ 

    (3)「こころ」が二つに分かれる

  9(1)しかし同行者が全く口をきかないので

   (2)分裂した「こころ」の他方