@   甃のうへ                              三好達治

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語釈

                  音数律    母音

 

あはれ1花びらながれ          3 7     ア音  韻

をみなごに花びら4ながれ        5 7     ア音  韻

をみなごしめやかに語らひ5あゆみ      7 7     イ音

うららかの跫音空に7ながれ       5 7 3       韻

をりふしに8瞳をあげて          5 7

翳りなきみ寺の春を10すぎゆくなり   5 7 6

み寺の11甍みどりにうるほひ       7 8     イ音

廂々に                  7 

C   12風鐸のすがたしづかなれば     5 9

13ひとりなる              5

わが身の影をあゆまする14甃のうへ    4 8 5   ア音

 

(注)@甃 屋根の瓦。A風鐸 仏堂や塔の軒の四隅につり下げられている、青銅製の鐘

形の鈴。

 

一 次の語の読みを記せ。

 

  1 甃 2 跫音 3翳り 4 甍 5 廂々 6風鐸 

 

二 詩について空欄を埋めよ。

 

  (   )月  どこで(     )  空は(    )  誰が(   ) 歩く(   )

 

三 傍線部1〜14とA、Bの問に答えよ。

 

1 何の花か。

  

2、4,7 この語の繰り返しはどういう効果をもたらしているか。

 

2,4,5,7 品詞名、活用形を記せ。こういうとめかたをなにというか、また、その効果を記

せ。

  

3 (1)辞書で意味を調べよ。 (2) その様子を延べよ。

 

6 誰のか。

 

8 主語を記せ。「眼」でなく「瞳」を使っている効果を記せ。

 

9 (1)辞書で意味を調べよ。 (2)後の何と呼応しているか。

 

10 主語を記せ。

 

11 どんな様子か。

 

12 どういう様子が分かるか。

 

13 なぜ一行で表記したか。どの行と対比しているか。

 

14 何を案じしているか。

 

A 前半と後半に分けよ。

 

B 詩の形式を記せ。

  

 甃のうへ    同人誌「青空」(大正十五年七月)発表 二十七歳  『測量船』

 

       

構成 

               描写         特色

 

 前半  花びら       語らひあゆみ     美  色彩      動

      =         

     をみなご      うららかの跫音    明るい 話

 

               瞳

 

               翳りなき

 

 

 後半  わが身       しづか        孤独 影  しずか  静

 

               ひとり        暗い

 

               影            

 

主題 作者の孤独感

 

 

特徴

 

  1 修辞法 @音数律(五,七)

 

A用中止法

 

        B体言止め

 

        Cリフレイン

 

        D母音の響き 

        

 2 語の特色@「あはれ」「をみなご」「しめやかに」「うららかの」「をりふしに」

         

         しっとり落ち着いた印象

 

       A「甃」「甍」「風鐸」

 

         重厚で荘重な古い寺の雰囲気を出している。

 

 

 

甃のうへ    解答

一 1 いし  2 あしおと   3 かげ   4 いらか   5 ひさしびさし  6 ふうたく

二 四  寺  青空  二人の少女  わたし

三 1桜   2、4、7桜の花を散らす風の流れと次官の推移を表す効果。

 2、4、5、7 動詞  連用形  連用中止法  流動感、持続感を表す

    3 (1)「をんなご」(2)二人の少女が静かに話しながらゆっくり歩いていく。

 6「をみなご」  8 「をみなご」 大きなつぶらな感じで透明感がある。

 9(1)雲などで日がかげること。(2)「わが身の影」  10 「をみなご」

 11 苔が生えて水を含んでいる様子。  12 風の流れがわずかである様子。

 13 孤独感を窅徴する。 14 わが身の孤独。

  A み寺の〜  B 文語詩 口語詩

 

 

 

*二人のかわいい少女に孤独な自分を対比させた。ロリータ・コンペレックスの詩だ。