夢の中で

     (実弟独白)

 

「姉上・・・」

『カイン? カイン・・・なの?』

・・・よかった、もう会えないかと思った・・・

 

「約束・・・守れなくてごめん。・・・でも大丈夫・・・」

・・・そう、姉上には“新しい僕”がいる、だから寂しく無いよ、“今までの僕”とは違ってもやっぱり“僕”だから、・・・まあ、今は少し・・・かなり頼りないだろうけれど、姉上がどんどん鍛えてあげてね。

 

『カイン!・・・貴方が死んだこと誰も知らないわ!』

「いいんだ。姉上は僕のために泣いてくれた・・・・だから・・・」

・・・本当はね、新しい僕のことは良く思って無かったんだ、僕が存在しなかったことになってしまうって・・・でも、姉上は僕のために泣いてくれた、凄く嬉しかった、誰もが僕の事を忘れても、姉上だけは覚えていてくれる、ふふっ“姉上を泣かす者は絶対許さない”って言っていたくせにね・・・

 

「いつまでも僕の好きだった姉上でいてね」

もちろん今でも大好きだから、

いつまでも笑顔でいて欲しいから、

 

だから

 

貴女が“こちら側”に来るのが少しでも遅いことを願う。

どうか、幸せに・・・。

                          2009/02/05