トラブル・メーカー
コンコン
「リオウ、今日は時間はあいて・・・」
『あの、すみません。リオウは今、ちょっと出かけていて・・』
週末、リオウを誘って外出しようと部屋に行ったら、見知らぬ青年が居た。
「リオウのご友人の方ですか?都合も知らずに押しかけてしまってごめんなさい。私、戻りますね」
『い、いえ!すぐに戻って来る筈ですから! あ、あの、お姫様ですよね、帰してしまっては僕が怒られます! どうぞお入りください!』
お茶、お茶 と慌てる青年につい吹きだしてしまい、勧められるままに椅子に座る。
お茶を飲みながらの話題は、やはりリオウのこと。
用事を急いで済ませ、部屋へ急ぐ。
あいつを待たせると“ヒマだ”の1言で何をしでかすか分かったものじゃあない。
ガチャ
「ただ今もどり・・・」
部屋に戻った僕が見たものは、お茶を飲む姫と・・・・・・ジーンだった。
「お帰りなさい、リオウ」
『お帰りリオウ! お姫様が来てるよ!』
・・・ジーンの猫を被った態度にめまいがしそうになったが、ここで変装を暴くわけにはいかない。
『じゃあ、僕はこれで帰りますね!』
・
・“用件はまた出直してきてから伝える”と言うことか・・
せっかく訪ねてきたお友達を・・・と慌てる姫に「もう用事は済みましたから」と誤魔化し、部屋の入り口までジーンを送る。
『リオウ、お姫さんにコレ飲ませといたから』
小声で言ったジーンが見せた物は、一族が閨房術で使う・・・媚薬のビン
ご丁寧に1回分減っている・・・
「ジーン!お前!・・」
『違うって! お前がすぐ戻ってくるって分かってんだから、オレの為じゃあ無えって! い〜じゃんお姫さんも今日1日お前と過ごす為に来てんだから!』
「だからって、朝っぱらからこんなモノを姫に盛るなんて!」
一応姫の目の前だ、ジーンを怒鳴ったり殴ったり出来ないのがもどかしい。
『あ〜メイワクってんなら受け取らなくていいぜ!でもこのままお姫さん帰したらどうなると思う?コイツの効き目はお前もよく知ってるよな?』
「・・・・・・」
じゃあ〜な〜 と去っていくジーンを見送る。
落ち着け! ジーンは引き上げたわけじゃあ無く、指令を伝えにまた来る。
僕をからかっただけという可能性もある、まずは、姫がアレを飲んでいるのか確かめるのが先だ。
「ごめんなさい、リオウ、 せっかくお友達がいらしてたのに私が来たから帰ってしまったのよね」
・・・姫、その上目使いは、申し訳なさからですか?それとも媚薬の効果ですか?・・・
どうやって、確かめる?