プロ根性

    ローデンクランツにこの食材が存在するのか・・・

 

街中で、子供たちがわいわいと集まっているのを見かけた。

「ねえ、あれは何かしら」

リオウ「どうやら、子供達に笛の作り方を教えているようですね」

「私にもそう見えるけど・・・・」

 

「せんせ〜、これ食べていい?」

「はしっこならいいけど、本体は終わってからね」

 

「あれって“ちくわ”よね?」

リオウ「“ちくわ”ですね・・・」

材料はどう見ても“ちくわ”だ、吹き口を切り、穴を数個あけた簡単な構造。

子供達は音を出すのが精一杯のようだが、教える方は器用にちくわを曲げ演奏している。

 

「綺麗な音・・・」

リオウ「見事ですね、随分研究なさったのでしょう」

「リオウも出来る?」

リオウ「え?」

「気を悪くしたのならごめんなさい、リオウならもっと綺麗な音色奏でてくれると思ったの」

 

翌日、リオウの部屋

ユージーン「で、何やってんの?」

リオウ「見れば分かるだろ、笛を作っているんだよ」

ユージーン「・・・オレにはちくわを切っているようにしかみえないが?」

リオウ「思ったよりも難しくてね、試行錯誤しているだけさ」

ユージーン「凝ったモン作ったって賞味期限までしか持たないだろう?テキトーでいいじゃんか」

リオウ「姫にお聞かせするのに“テキトー”はないだろう!」

ユージーン「・・・・長老に報告したら何と言うかねえ、“暗殺者らしくない”とか言いそうだぜ」

リオウ「フッ、潜入任務は暗殺者と疑われないようにするのが鉄則、きちんと仕事しているじゃないか」

ユージーン「オレにはお姫さんに現を抜かしているようにしか見えんがね、ところで、この切り刻んだちくわの山どうすんの?」

リオウ「・・・ジーン、夕飯食べていかないか?」

ユージーン「一応、メニューを聞いておこうか」

リオウ「天ぷらと煮物とあえもの・・かな」

ユージーン「“ちくわ”の在庫一掃メニューだろ、それ」

リオウ「なんならお土産として持って帰ってもいいよ」

ユージーン「エンリョしとく」

 

                   2010/06/20