似た者・・・

文化ごちゃ混ぜバージョン

 

「もう!真面目に言ってよ!」

カイン「だ〜か〜ら〜、大丈夫だって、みんなもそう思うよな?」

    ・・・頷く厨房の職人達・・これがお世辞ではないと断言出来たら・・・

カイン「ジークなら“姉上が作った”って枕詞が付けば何だって喜んで食べるって!」

    ・・そこが問題なのに・・・

 

エドガー「何をやっている」

カイン「あ、エドガー、姉上の手料理の試食だよ」

エドガー「お前が試食?誰に作っているのだ?」

「ジークによ、最近忙しくて大変そうだから・・・」

 

 今年は悪い風邪が流行っている、ジークの所は多くの患者であふれ休む間も無い・・・“王子や姫に感染しては大変ですから”と手伝うのも断られ、せめて体に優しい食事でも・・・と思ったのに・・・

 

エドガー「カインもジークも“姫が作った”という枕詞が付けばゲテモノでも危険物でも喜んで食べると思うが?」

「あ・の・ね、疲れた体にそんなものを食べさせる訳にはいかないでしょう!・・・・!そうだわ、エドガーも味を見てくれないかしら?」

エドガー「どうして俺が試食などせねばならんのだ」

「エドガーなら“悪いところは悪い”って言ってくれるでしょう?」

エドガー「まあな、・・・・・・・これは何だ?」

「“おかゆ”よ、ジークが以前“東方には胃に負担をかけないように、穀物を柔らかく薄味で煮たものがある”・・って聞いたことがあるの」

 

・・・・・・・・・・

「どうかしら?」

エドガー「・・・・ほとんどお湯だな、まだ倒れたわけでは無いのだから、もう少し腹にたまる物がいいと思うが?」

「そうよね・・他には?」

エドガー「まあ、こういうのは慣れない物より“食べ慣れた物を食べやすく”が良いと思うぞ」

カイン「って!エドガー!何で完食してるんだよ!」

エドガー「作り直すのだろう?料理を無駄にしないでやっただけだ」

カイン「くっ・・・試食だから遠慮してたのに・・・」

 

「じゃ、これからが本番ね、何にしようかしら?」

カイン「あ、姉上、僕の分も作ってよ」

エドガー「俺の分も頼もうか、あんなのでは余計に腹が減る」

料理長「あのう、私共で何かお作りしましょうか・・」

<ジロリ>×2

カイン「何か言った?」

エドガー「何か言ったか?」

料理長「いっ、いえ、差し出がましい事を・・・

 

ふう、本当に料理人達に作らせた方がよかったのかも・・・でもここまでやったんだし・・・。

「ごめんなさい、もう暫く作らせて下さいね」

                        2009/12/01

 

<文化ごちゃ混ぜバージョン>

ジークの自室

    ・・コンコン・・・

ジーク「はい、どちら様ですか?」

「私よ」

ジーク「姫!どうされたのですか?」

「おかゆ作ってみたの、疲れているだろうから消化に良い物をと思って」

ジーク「姫が私の為に・・・・ありがとうございます、どうぞお入りください」

「今回のは自信作なの、これ食べて元気になってね」

ジーク「おや、いつもは“本当に美味しいの?”と何度も訊ねられるのに、随分勉強されたのですね」

「ええ、カインとエドガーに試食してもらったの!・・主に意見を言ってくれたのはエドガーだけど」

ジーク「・・・・・・・(あの二人、私よりも先に・・)・・・姫、申し訳ありませんが気分が・・横になっても宜しいでしょうか?」

「えっ!大変!早く寝台へ!・・・」

 

「大丈夫?おかゆ食べられる?なにか薬はあるのかしら?・・・・・・・どの薬がいいのかしら?」

ジーク「休めば体力も回復すると思いますから、申し訳ありませんが、おかゆを食べさせて頂けませんか? 最近猫舌気味なので冷まして頂けるとありがたいのですが・・」

「ええ、いいわよ」

 ふうふう・・・

「はい、これで食べられる?」

ジーク「ええ(・・“はい、あ〜ん”は無理でしたか)

 

   バタン!!

エドガー「姫!王女ともあろう者がふしだらな!」

カイン「僕だってそんな風に看病してもらった事無いのに!」

ジーク(・・・・チッ、やっぱり邪魔が入りましたか)お二人ともお見舞いに来られたのでしょうか?それともお風邪を召されましたか?」

エドガー「陣中見舞い・・といったところか?どうやら急に病人になったようだし、我々がいるとゆっくり休めないだろう?今すぐ退散する。・・姫、帰るぞ!」

「えっ?だって・・・」

カイン「病気の時はゆっくり休むのが一番だよ、姉上がいるとジークはテンションが高くなるし、ゆっくり出来ないって!」

「・・・ごめんなさい、ジーク」

ジーク「いえいえ、お気持ちとこのおかゆだけで十分です。本当にありがとうございます、姫も風邪にはお気をつけ下さい」

「ジーク・・・また何か作ってお見舞いに来るわ」

ジーク「ありがとうございます・・そういえば先日頂いたティラミスは本当に美味しかったですよ、あれをお願いしても宜しいですか?」

「えっ?いいわよ、あれが気に入ったのなら・・・」

エドガー「絶対駄目だ! おいカイン!お前も止めろ!」

カイン「どうして?姉上僕も食べたいな」

エドガー「(コイツは)・・・私の分も作ってもらおうか」

「?いいわよ。(みんなそんなに食べたいのかしら?ティラミス?)」

 

ティラ(伊)→上げる、スゥ(伊)→上

“私を上に連れてって”という“大人の”意味合いがあるそうな

 

                              2009/12/15