マンドラゴラ
(注:ギャグです、ジークのキャラが壊れてしまっています。ファンの方すみません)
ある昼下がり、必死になって探し物をしていると突然声をかけられました。
『な〜に探してんの?アタシも手伝ってあげましょうか?』
「フッ、フラン!あ、あ、い、今は入らないでください!!!」
『ちょっと、どうしたの?まさかあの秘薬がなくなったとか?』
「イ、イエ、ア、アレではなく・・・」
フランの目が不審者を見る物になっています。・・・
『まあジーク、落ち着いて説明してくれる?(にっこり)』
・・・逃がしては・・・くれない様ですね・・・。
『マンドラゴラって根っこが人間の形してて、引っこ抜くと悲鳴上げるやつよね?』
「悲鳴を聞くと死ぬので犬に引抜かせますね」
『持ってると異性を好きに操れるのよね?』
「手順を踏んで加工すればそうなります」
『・・・作ったの?』
「いえ、エシュ−テで見かけまして」
『・・・アンタそんな物、金儲けの嘘っぱちに決まって・・・』
「私だってまさか本物だとは思いませんでしたよ」
『・・・試したの?』
頬が赤くなっていくのが自分でもわかります・・・。
『なに乙女のフリやってんの!カイン様にバレたら確実に死罪よアンタ!』
・・・・イエ、あの、男の浪漫ということで・・・
『とにかくアタシも探してあげるから!どんな形をしてるの?』
「これくらいの水色の香り袋に入ってます。ゼラニウム、ネロリ、薔薇のポプリと一緒に」
手で大きさを示して説明すると、
『レースの飾りがついてるヤツ?今朝お姫様が持ってるのを見たけど?ジークに貰ったって』
「え?・・・・!」
そういえば今朝、姫に“この香り袋貰ってもいい?”と聞かれたような・・・
『早速やられたワケね、アンタ最初からそのつもりだったんでしょう?』
「うっ・・・」
『一緒に入ってるポプリ女性の月の物に効くのよね、女性に持っていてもらうのが目的としか思えないんだけど?』
・・・どうして知っているんですか、フラン。
「とっ、とにかく早く回収しないと!」
今日はカイン様と視察だったはず。
そろそろ帰ってくる時刻だと二人で城門の方に向かうと、すでにお二人は部屋に戻られた後で、護衛に就いていた騎士が噂話をしていました。
[フラン!今日は凄かったぞ!男二人のケンカを姫様が“おやめなさい”の一言で止めたんだ!カイン様が出番無しだった]
[おとなしい方だと思っていたが、ああいうところもあったのか、王族の威厳とでもいうのか]
・・・・・・・・
『なんか、問題は無いんじゃ?』
「いけません!むやみに人の心を操るような事を続けては姫の人格に悪い影響を与えてしまいます。教育係として・・・」
『ア・ン・タ・が、一番、教育上よろしくない事やってんでしょうが!』
夜、勇気を出して姫の部屋に行く事にしました。
こ、恋人同士なのですから大丈夫、なハズ。
とにかく、アレを回収しなくては。
「姫、夜分遅くに失礼します」
・
・
翌朝
・
『で?いいところまでいっといて“あっ、ダメ”のセリフで帰ってきた、と?ブツも回収せずに?』
・・・追い討ちかけないで下さい。フラン
『アンタ、そこで帰ってくるなんて逆に失礼でしょ』
・・・だから私の意志ではないんです。
『一刻も早く回収しないとマズイわね』
「?昨日と言ってる事が逆ですよ?」
『放って置いてお姫様が欲求不満になったらどうなると思う?』
「そ、そんな姫に限って・・・」
『そーゆーこと何回も繰り返したら分からないでしょ!誰が相手になってもお姫様が悪いんじゃないからね!流石にカイン様ってことはないでしょうけど。でもエドガー様とか神官様なんかそういうオイシイ気配は察知しそうだし!団長だったら一度引っかかったら止まらなさそうだし!ロデルって子も見張りに気付かれずに出入りしてるって噂よね!ああ、エミリオって子なら何時でも姫様の部屋に入れるわよね、それが仕事なんだし!』
ダダダダダダダ、バーン、「姫!」
『!ジーク?』
「姫、申し訳ありませんが、昨日お渡しした香り袋を返して頂けませんか?ポプリに危険な薬草が混ざっているのです」
『ええっ、ごめんなさい。私が強引にもらってしまったのよね』
「いいえ、私の不注意です。食べたりしなければ死ぬということはないのですが、申し訳ございません」
『あの、私を心配して走ってきてくれた・・のよね』
昨夜のこと嫌われたのかと思っていたの。とつぶやく姫を可愛いと思って気付いてしまいました。
マンドラゴラは今私の手の中に・・・この状況もまずいのでは。
「処分してまいります、後で代わりの香り袋を届けますので」
部屋に帰りマンドラゴラを燃やし灰になるのを見届けてようやく安心出来ました。
『やれば出来るじゃない』
「フラン・・心配かけましたね」
『いいのよ〜これくらい。
それで?お姫様に何をして貰いたかったの?教えなさいよ』