宮中典医
カイン「奥方が病?」
貴族「はい、出入りの医者に診せても一向に良くならず・・」
カイン「それは心配であろう」
貴族「陛下、お願いがあるのですが、典医のジーク殿に妻を診て頂けないでしょうか?」
カイン「ジークに?」
貴族「ジーク殿なら宮中・・いえこの国一番の名医かと、妻もジーク殿に見てもらうのを望んでいる次第で・・」
カイン「そうか、わかった、ジークの都合が付き次第そなたの家に遣わそう」
貴族「はっ、ありがとうございます」
カイン「・・・・・という訳なのだが」
ジーク「かしこまりました、明日にでも診察してまいります・」
カイン「そうか、ではその旨を知らせておこう・・・ジーク、十分気をつけてくれ」
ジーク「???お伺いした限りではそこまで重篤ではないと思うのですが?」
カイン「いや、何と言うか、あの奥方は素行に少々問題が・・・」
ジーク「陛下、相手は病人ですよ」
カイン「まあ、そうかもしれないが・・・ジーク“据え膳から脱兎の如く逃げ出す”と言う事も時には必要だから」
翌日夕方・・
フランシスカ「アハハ!それで“二人きりになった直後にベッドに引きずり込まれて、色仕掛けで若さを保つ方法を聞かれ”て逃げ出して来たと!」
ジーク「笑い事じゃありません!・・・全く、ひどい目にあいましたよ」
フランシスカ「まあ、10年以上同じ場所にいればそうなるわよね・・・50年よりは可愛いもんよ」
ジーク「それはそうですが・・・とりあえず“体に良い物をお届けします”と逃げて来たのですが、どうすればいいのか・・・・陛下の顔を潰すわけにはいきませんし」
フランシスカ「ん〜〜あの浮気が趣味の奥方に色々吹聴されても困るしね・・・・そうだ!ジークこういう手はどう?(ごにょごにょ・・・)」
ジーク「それは・・・少々・・いやかなりマズイのでは?」
フランシスカ「い〜から、上手くいけばジークも煩わされないし、浮気奥方の餌食になる人も減るし、一石二鳥じゃない!」
1か月ほど後の、宮中の噂・・・
「最近、浮気奥方の武勇伝を聞きませんわね」
「そんな事よりも!最近お若くなられましたよね、ご主人とも上手くいっていると惚気られましたわ!」
「ホント、夫婦揃って若返った感じですよね」
「私聞きましたわ!何でもジーク様に“若返りの秘薬”を貰ったんですって!」
「え〜〜〜〜、私が聞いた時は“特に秘訣は無い”と仰っていたのに!」
フランシスカ「まあ、上手くいって良かったわよね」
ジーク「本当に良かったのでしょうか?“夫婦同時に媚薬を盛る”なんて事をして」
フランシスカ「良いんじゃないの?あの奥方が浮気しなくなれば旦那の嫉妬に苛められる者も居なくなるわけだし、『恋をすると若返る』って本当だったのね〜」
ジーク「・・・・・・“あの夫婦に渡した薬を自分も欲しい”と言う方が急増しているのですよ!」
フランシスカ「あらら・・ちょっと拙かったかしら」