はじめての あめまつり
コゼット4歳位・・・
オースティン「グリュックリヒ ターク フェアレーベン シモーヌ」
シモーヌ「グリュックリヒ ターク フェアレーベン あなた」
コゼット「おとうさま、おかあさま、なにをしていらっしゃるの?・・・あ、あめ」
オースティン「コゼット!」
シモーヌ「おや、コゼット、今日はマルヴェイル祭、大切に思う異性と飴を交換することで相手の幸せを願う日なのですよ」
コゼット「たいせつ・・な・・いせい?」
シモーヌ「コゼットには殿方ということですよ、貴女にはまだ早すぎます」
コゼット「コゼットのぶんは?」
オースティン「えっ・・・・・」
コゼット「・・・・・コゼットはたいせつじゃないの?」
オースティン「まさか!そんなことは無い!」
コゼット「じゃ、あめは?」
シモーヌ「・・どう説明すればよいのでしょう?」
オースティン「どうしたものか・・・そうだな」
オースティンが手に取ったのは、数個のキャンディー
オースティン「コゼット、これをあげよう」
シモーヌ「あなた!そんなにたくさん甘い物を与えるのは!・・」
オースティン「まあ、見ていてくれ・・これは全部お前の物だよ」
コゼット「ほんとうに?ありがとう!」
オースティン「でもね、だれかにあげればその人は喜んでくれる、お前が“喜んで欲しいから飴をあげよう”と思ったら、その人はコゼットの大切な人・・と言う事だ」
コゼット「こぜっとのたいせつなひと?」
オースティン「そう・・もし、最後の飴を自分で食べずに、誰かにあげようと思ったら、その人は“特に大切な人”と言う事だろうね」
コゼット「とくにたいせつ・・・いちばんたいせつ?・・わかりましたわ!」
バタン、パタパタパタパタ・・・・
シモーヌ「あの様子なら、ほとんど配って回るようですわね」
オースティン「まあ、情操教育と思えば・・」
バタン!
エドガー「父上、母上、コゼットからマルヴェイル祭の飴を貰いました♪」
シモーヌ「・・・・真っ先に貰ったようですね」
オースティン「まあ、男兄弟とはそういうものだろう・・」
パタパタパタ
コゼット「おとうさま、おかあさま、はい、これ!」
パタパタパタ・・・
オースティン「2番目と3番目?」
シモーヌ「まあ、そういう事でしょうね」
オースティン「・・・・まだ何処にもやらんぞ!早すぎる!」
コゼット「え〜っと、じいやともんばんにもあげたし・・・・あと2こ?・・・いっこはこぜっとのぶんで、あとひとり?・・・あっ!カ〜イ〜ン〜!」
カイン「やあ、コゼット、今日は一人?」
コゼット「うん、あのね、あめあげる!」
カイン「えっ?マルヴェイル祭の?」
コゼット「おとうさまが、みんなにくばりなさい・・って!」
カイン「そう言うことなら・・あ、姉上」
姫「コゼット、いらっしゃい、遊びに来てくれたの?」
コゼット「あっ・・・・」
カイン「叔父上に言われて、飴を配っているらしいんだけど・・・僕のが最後だったかな?・・・・じゃ、これは姉上に・・・」
コゼット「おねえさまっ!これさしあげますわっ!」
パタパタパタパタ・・・・
カイン・姫「「あっ、コゼット!」」
パタパタパタパタ・・・・
コゼット「ふう、ふう、・・さいごのあめ、おねえさまにあげちゃった・・・おねえさまが、コゼットのいちばんたいせつなひと?」
姫「コゼット」
コゼット「きゃっ!お、おねえさま!」
姫「はい、この飴あげる」
コゼット「????」
姫「大事な飴をくれたのよね?だからこの飴あげる」
コゼット「あ、ありがとう・・」
姫「カインからもらった物だから、絶対にナイショ・・ね?」
コゼット「カインから・・・ハイ!わかりましたわ、おねえさま!」
後日“恐れ多くもジペルディ家の姫君に菓子を頂いたから”と数倍どころではない菓子類が届けられた。
コゼットは「ひとにものをあげる・・っていいことなんだ!」と喜び、ジペルディー夫妻は、娘の虫歯対策と今後の教育方針に関してひと悶着あったとか・・・。