忠実なる裏切り者
謀反エンド妄想
ヴィンセント「オースティン様、騎士団及び各施設の制圧は終了しました、・・ただ王子と王女の所在は分かっておりません」
オースティン「逃げられたか?」
エドガー「我々が把握していない脱出ルートが存在したのでしょうか?」
オースティン「その可能性はあるな、教育係あたりが作ったのかもしれん」
ヴィンセント「ジーク殿なら“塔に入った”との目撃情報がありますが」
オースティン「行ってみよう、隠し通路があるのかもしれん」
オースティン「・・・双子達と合流するのが目的かと思ったのだが、まさか塔の頂上にいるとはな・・・時間稼ぎか?」
ジーク「流石はオースティン殿、お見通しですね、・・お二人を渡す訳にはいきません」
オースティン「ジーク・・・カインを王にする訳にはいかない」
ジーク「承知しております、一年の教育期間を設けましたが、残ながら失敗したと言わざるを得ないでしょう・・・・王は玉座の重石ではない、能力の無い者を国王に据えては、本人も国にも迷惑というもの」
オースティン「・・・・私を責めないのか?“身内を追い落として、玉座を手に入れる”“ハインツ様を裏切る”と」
ジーク「貴方はそれで宜しいのですよ、貴方はこの国の重臣であり王族、ローデンクランツという国を守らねばならない存在ですから」
エドガー「それは、あの双子達も同じだ!」
ジーク「・・・・そして私はハインツ様の側近、国ではなくハインツ様とマクリール家に仕える者、国がお二方を捨てるのであれば、私もローデンクランツを捨てます」
オースティン「ジーク・・・」
ジーク「この国に、お二方の居場所が無くなったのであれば、王族としてでは無い、違う生き方をして欲しいのです」
エドガー「そうはいかない!第一位の王位継承者を放置しておけば、担ぎ出す者が出て国の混乱の元になる」
オースティン「ジーク、あの子たちは兄上の忘れ形見、私にとっても甥と姪だ・・・政治の為に王位継承権は剥奪せねばならないが、その後は悪いようにはしない・・・だから、私に任せてくれないか?」
ジーク「・・・・背負わせた私が言うのも何ですが、この一年、お二方は“ローデンクランツの為に”という重荷に苦しんでこられた・・もうこれ以上その重荷に関わりたくない、国を支える器ではない事が証明されたのですから、今後何があっても、お二方が国に・政治に関わることは無い・・それを伝えたかったのです、貴方には気休めにもならないでしょうが」
オースティン「ああ、この国を守る為に、それを見逃すわけにはいかない」
ジーク「『家族を守りたい』というハインツ様の望みは、私が命に代えても果たします、そして、『この国を守りたい』というのもハインツ様の望み・・私共はこの件には関われませんから、それは貴方にお任せします、それでは、これで失礼します」
オースティン「待て!ジークッ!」
エドガー「・・・・・まさか飛び降りるとは」
オースティン「・・・・・遺骸を回収して弔ってやれ」
ヴィンセント「はっ、手配します」
・・・・遺骸は発見されなかった、誰が回収したのか?王子と王女はどこに消えたのか?ローデンクランツ史では謎とされている。