武勇伝?
(ヒロイン名はデフォルトの日向 朔乃です)
朔乃「う〜ん、どうしたものか」
一度くらいはあの“孤高の王子”をギャフンと言わせたい、が、何をやってもあっさりかわされ『何をやっているんだ、馬鹿め』といわれるのがオチのような気がしてくる。
いっそ、料理に思いっきり香辛料を入れようかと考えたこともあるが、一応料理の腕は認められているのに、それを壊すのは惜しいし、第一、食べ物でギャグをやる根性が元から無い。
朔乃「う゛〜 何か弱点とか突ければ・・・弱点、弱点、・・・・・これだ!」
翌日・・
朔乃「よし、ここね、失礼しま〜す」
1週間後・・
克幸「なあお前最近、手芸部に入ったんだって?大丈夫なのか?ただでさえ人の分まで飯作って大変だろ?」
朔乃「あ、入ったわけじゃなくて作りたいものがあったから教わっているの、ちょっと家においとけなくて、もうすぐ完成するから」
克幸「そっか?あんまりムリすんなよ」
さらに数日後、貴人の教室・・
早河「貴人、日向さんが来ていますよ、君に用があるようですよ」
貴人「朔乃が?わかった」
・
・・・・・・・
貴人「おい、何か・・・・」
朔乃「あの!これ貰ってください!」
貴人の目に飛び込んできたのは、1mを越す大きさのうさぎのぬいぐるみ。
貴人「うっ・・・」
目の前にはかわいい兎のぬいぐるみ、つぶらな瞳が貴人を見つめている、が、高校生男子がこれを持って学校から帰宅するというのは・・・・
(ふふっ、勝った!)
心の中で朔乃がほくそ笑む、・・何も本当に受け取って貰おうとは思っていない、ただ、大好物とプライドの間で葛藤する“孤高の王子”が見たかっただけである。
(よし!目的は達成されたし後は“逃げるが勝ち”よね)
朔乃「あの・・急にこんな事を言ってすみません!私帰り・・・」
早河「わあ、かわいいぬいぐるみですね、抱いて眠ったら気持ちよさそうだ、貴人は要らないようだから僕が貰って・・・」
貴人「誰が貴様に譲るといった、貰ったのは俺だ!」
・
・・・何か、空気の割れる音が聞こえたような気がする・・・
朔乃「あ、あの迷惑じゃあ・・・」
貴人「誰が迷惑だと言った!ほら、さっさと帰るぞ!」
早河「はい、また明日」
大きな兎のぬいぐるみを抱えて帰宅する“孤高の王子”の姿は、帰宅中の生徒も凍りつかせ、学園の伝説となった・・・日向 朔乃 の名と供に・・・
後日談
貴人の場合
貴人「おい、ぬいぐるみの礼だが・・・」
朔乃「ひぃ〜、結構です!お礼参りなんて!」
貴人「馬鹿め、人がせっかく礼をしようと言っているんだ、素直に受け取れ」
朔乃「・・・・何をくれるんですか?」
貴人「またテスト前に慌てなくてもいいように俺がみっちりと勉強を仕込んでやる、次のテストでは泣いて喜ぶような成績を取らせてやる、うれしいだろう?」
朔乃「また鬼軍曹が〜結局お礼参りじゃないですか〜」
蓮の場合
蓮「朔乃ちゃん、うさぎさんを貴人にプレゼントしたらしいですね、貴人だけずるいですよー、僕もうさぎさん欲しいです」
朔乃「?蓮さんもうさぎ好きだったんですか?いいですよ、また作り・・・・」
蓮「ありがとうございます、あ、そのときはぜひ胸の谷間から取り出したライターでタバコに火を点けて下さいね」
朔乃「タバコって・・・え、胸の・・・」
蓮「バニーガールさんの接待といえば胸の谷間から取り出したライターでタバコに火を点けてもらう事でしょう!例えタバコが吸えなくても!」
2008/05/03
月夜の彷徨に戻る