ある日の珍事
<前フリ・・・と言う名の状況説明>
王宮媚薬企画が飛び出したチャットにて・・・・・
このネタで7時間ほど盛り上がりました、夜が明けるころは皆さん出来上がっていて・・・
「コゼットが、媚薬の効き目を試す為に、補佐に一服盛ったら・・」
「補佐ならいくらでも調達出来るんじゃ・・」
「でも・・・もし鼻血を出してしまったら?」
悠発言:団長「エドガー殿!おい!誰かジーク殿を!」
補佐「やめろ!呼ぶんじゃない!」
・・・かなりウケたようです。
で、今頃その辺の話を作ってしまいました。
のどかな昼下がり、王宮の廊下を移動していると見慣れた赤い服・・・が、どうも様子がおかしい。
普段は傲慢・・とも言われるほど胸を張って廊下の中心を歩いている人物が、今日は俯き加減に壁に添うように歩いている、・・・もしやお加減が。
団長「エドガー殿、いかがなされましたか?」
補佐「!ヴィンセントか、私に構うな」
・
・・なぜか、鼻が詰まったような声・・・一体どうしたというのか?
団長「エドガー殿?一体・・!そのお顔は! おい!誰か!ジークど・・」
補佐「やめろ!呼ぶんじゃない!・・・大した怪我ではない」
前に廻った自分が見たものは、顔の下半分を血で染めたエドガー殿・・確かに、鼻血だけなら重傷ということは無いだろうが、顔を手で覆っていた為ものすごいことになっている。
団長「と、とにかく、私の部屋が近いですからそちらへ」
この顔をあまり人に見られたくは無いだろうと、すぐ近くの自分の部屋へ移動する。
団長「一体何があったのですか?」
補佐「・・・・な゛ん゛て゛も゛な゛い゛」
・
・・・・鼻に血止めの為の布を入れた状態では何とも様にならない。
こういうエドガー殿を見るのも一興・・・などと本人には言えないが・・・というか様子がおかしい、どうも何か隠しているような・・
団長「エドガー殿・・」
補佐「私に構うな!・・・転んでぶつけただけだ」
団長「そのようなありふれた言い訳を」
補佐「(だ〜〜〜〜っ、少しは誤魔化されろ!・・・コゼットに媚薬を盛られたなど知られて堪るか!)・・・本当に転んだのだ」
団長「はっ!まさか・・・誰にやられたのですか」
補佐「(なっ、まさかこの状況を知られた?)・・何の事だ」
エドガー殿には敵が多い、誰かに殴られたのを不様にまともに喰らってしまった事を恥じているのでは?・・・ありうる
団長「泣き寝入りは良くありません!鼻血とはいえ王族に怪我をさせるなど言語道断!すぐに見つけ出してしかるべき処分を!」
補佐「(・・・・頼むから泣き寝入りさせてくれ)別にそういう訳ではない、大した事ではないのだから構うな」
ますますおかしい、不正や卑怯な事を黙って見過ごされる方ではないのに・・
団長「何もなしで鼻血が出るわけではないでしょう!血管が損傷するだけの衝撃があったはずです、一体何があったのですか?まさか女性に欲情してなどではありませんよね!」
この方ならいくらでも女性は寄ってくる、鼻血を出すほど処理に困るなど(普段の行動からいっても)ありえない。
補佐「(くそっ!おれの状況を知ってて言ってるのか?)だから転んだのだと言っている」
この様子では大人しく口を割るとは思えない・・・まさか言えない相手が下手人?・・国賓が相手でも大人しくはしていない方・・・考えられるのは彼よりも身分が上の父君かカイン様・・・ありうる。
団長「もしやカイン様か父君ですか?」
補佐「はあ?なんのことだ?」
これは本当にハズレらしい・・・ひょっとして・・・
団長「コゼット姫ですか」
補佐「なっ、転んだと言っているだろう!」
やはりそうか、プライドの高さ故“女性に殴られて鼻血を出した”などとは死んでも言えないだろう・・・母君が激高して殴るなど考えられない、コゼット姫ならまだ子供っぽい所が残っている方、感情を高ぶらせてつい兄君に手を出してしまったというのも考えられる。
団長「ご心配なく、この事は決して他言はいたしません、もちろんコゼット姫にもなにも申し上げませんから」
補佐「・・・・そうしてくれ(誤解かなにか分からんが、頼むから放っておいてくれ)」
団長「は、他に必要なことは」
補佐「・・・・頼むから一人にしてくれ(大体どうして媚薬を盛られた状況で屈強な男と部屋に二人でいなければならないんだ!)」
団長「かしこまりました、何かあればお呼びください」
血塗れのエドガー殿の顔を見たときは『すわっ!一大事か?』とも思ったが、ほほえましい兄妹喧嘩だったのか、ここはそっとしておくのがいいだろう、コゼット姫も今頃は淑女らしくない行動を反省し、深く落ち込んでいるに違いない。
エドガー殿には知られたくないことを色々質問してしまったが、これも王宮の平和を守るため・・エドガー殿も分かってくださっているだろう。
補佐「ヴィンセントの奴、天然なのか気付いてわざとからかっているのか、どっちだ」
王宮は今日も平和です。