お毒見役
レオン「何だ、それは?」
テンビン「“ショクカのトロトロ煮込み”や、タウくん今日食事に来いへんかったから、気分悪いなら何か消化にエエもんを・・と思ってな、作ってみたんや」
レオン「別に俺たち月人は死ぬわけじゃない、放って置いても構わんと思うが?」
テンビン「そやけど、ひょっとしたらそのうち氷虎様に作る事になるかもしれんと思うてな」
レオン「・・・・・まさか、半分は毒見か?」
テンビン「別にショクカには毒は無いで?」
テンビン「タウくん〜大丈夫か〜・・・・って!真っ青やん!どないしたん!」
レオン「おい!何があった!」
タウロス「ぐっ・・氷・虎・・様・・の・・」
テンビン「氷虎様に?」
レオン「まさか遅効性の毒か?おい、氷虎様の所に急ぐぞ!タウロス、お前はじっとしていろ!」
タウロス「いや・・ちが・・」
テンビン「氷虎様!大丈夫でっか!」
イクテュエス「うふっ、お褒めに預かり光栄ですわ・・あら、血相かえてどうなされましたの?」
テンビン「あ〜〜〜っ!食べてしもうてるっ!氷虎様大丈夫ですかっ!」
イクテュエス「・・・私の料理を毒だと仰りたいのかしら?」
レオン「お前、タウロスに試食させただろう!タウロスが物凄く苦しんでいるんだぞ!」
イクテュエス「ああ、タウロスなら単なる食べすぎですから、気になさる事はありませんわ」
レオン「イクテュエス・・どういう事か説明してくれ」
イクテュエス「氷虎様に私の手料理を召し上がって頂きたい・・と作ってみましたの、そこでタウロスに試食をお願いしましたの」
レオン「・・・・・お前の事だ、物凄い失敗作を作っていないか?」
テンビン「タウくん、そういうのも真面目〜に試食しそうやもんな〜」
イクテュエス「失礼ですわね、明確な失敗作は最初の一回だけで、あとは美味しくなるように試作を重ねただけですわ」
レオン「(・・・一回は失敗作を食わせたのか)それだけか?タウロスはあんなに苦しそうなんだぞ!」
イクテュエス「さあ?10皿も完食したから・・かしら?」
テンビン「10皿完食?何でや?」
イクテュエス「『こういうのは1皿全部食べきったときの感覚も味のうちだ』と仰っていましたけど?」
レオン「で?10皿も完食させたのか?お前は?」
イクテュエス「別に無理強いした訳ではありませんわ、無理ならそう仰って下されば宜しいのに?」
テンビン「あのな、タウくんが氷虎様の事で手抜きするわけないやろ」
イクテュエス「そんな事月人として当然の事ですわ、私も氷虎様に完璧な物を召し上がって頂く為に何度も作り直しましたもの」
レオン「・・・・お前は元気そうだが、自分で試食はしたのか?」
イクテュエス「いいえ、タウロスがいましたから私は作る方に専念させていただきましたわ」
テンビン「・・・・鬼やな、ほんま」
レオン「お前もあまり変わらんと思うが?」
2010/01/20