アルバイト募集
求む!隠しボス!
肉体的魅力で人間共を惑わせる事の出来る魔物募集!
勤務地:当方が経営するダンジョン
給料:勤務内容に応じる、ヴェリスでのお支払いも可
勤務時間帯:随時(冒険者が勤務エリアに侵入したとき)
住み込み可(お望みなら、勤務エリアの隣に住居エリアをお作りします)
経験不問
随時連絡下さい
連絡先・・・・・・・・・
とりあえず、当ダンジョンの目玉として、隠しボスを用意することにした。
人間を釣るには“色と欲”、欲に関しては(戦闘にしろ戦利品にしろ)元手がかかるので、手っ取り早く色気で釣ることにした。
問題は、色気に溢れる魔物がこの求人で応募してくれるかどうかだろう。
まあ、暫く様子を見よう。
数日後、応募者がいたので面接を行った。
オイルを塗った筋肉美を披露するために、ポージングをする新種(珍種?)のデーモン?どう見ても、パンツ一丁の裸の男である。
面接の場にパンツ一丁というのもどうかと思ったが、鍛え上げられた筋肉は見事なものだ、彼にはこれが正装なのだろう。
(本当は色っぽいサキュバスのお姉さんを期待していたのだが)彼でも筋肉を愛するお嬢さん方には魅力的かもしれない・・と採用することにした、住み込み希望との事で居住エリアを用意する。
今日からバイト君の仕事が始まる、(隠しボスのことは、噂を流すよう手配してある)。
勤務エリアに様子を見に行くと、バイト君は全身にオイルを塗っているところだった。
暫くすると、冒険者の1団が現れた・・・・。
屈強そうな筋肉の集団で、新品の鎧には傷一つ付いていない・・・・・
ま、まさか、上層のゾンビ共を無傷で倒したのか!
上層の死屍累々(元々奴らは屍だが)と再建Boneを考えると頭が痛くなってきた・・・イヤ、バイト君を避難させるのが先か!
と、リーダーらしい屈強の男が鎧を脱ぎだし、パンツ一丁になってポーズをとりはじめた!
周りの仲間達も、“ダンジョンの中で防具を脱ぐ”という行為を咎めるどころか
「兄貴!切れてます!」
「ナイス血管!」
等、良く分からない声援をかけている・・・。
バイト君も対抗(?)してポージングを始める・・・。
一体どういう勝負だったのかは分からないが、しばらくのポージング合戦の後、彼らは帰還した。(知名度の上がり方から見て、バイト君の負けかもしれない)
ちなみに、ゾンビ共は全員無事だった。
どうやら、物凄い屈強そうな1団に恐れをなして、ゾンビ共は“モーゼの十戒”の如く道を開けたらしい。
そして彼らは腐った筋肉には用は無かった。
1ヶ月後・・・
バイト君は大忙しだ、どうやら、隠しボス部屋は『筋肉美の殿堂』として認識されているらしい。
先日、日光浴をしているバイト君を見かけた。
何でも色が白いと筋肉の凹凸がぼやけて見えるので不利になるらしい、ダンジョンの中では日焼けも難しいだろう、今度ボーナスとして人間共が使っている『日焼けマシーン』を支給してあげるのもいいかもしれない。
資源稼ぎは出来なくとも、知名度アップには地道に貢献しているのだから。
雑学:ボディービル用の衣装(?)は、横脇の幅が3センチ以上あれば何でも(水泳用でも)OKなのだそうです。