サイの背後で、銃声が響き渡った。振り返れば、丁度撃たれた幼馴染みが崩れ落ちるところだった。
幼馴染みはそのまま割れた薄氷の中に吸い込まれていく。
サイが駆け寄っても、その時にはもう、トッドの体は薄氷の底に沈んでいた。穴は深く暗く、覗き込んだだけでは底辺が見えない。
「トッド?《
呼びかけても、答えが返ってこよう筈もなかった。
おもむろにサイは立ち上がり、ベルトに挟んだレイピアに手をかけた。そしてその切っ先を穴の縁に立っていたアルファードへ向けた。
彼はサイが駆け寄る前からここにたたずんでいた。その片手には先のとがった長い棒――火かき棒にも見えたが、それよりもずっと長い――がある。
サイは直感していた。アルファードがトッドの足元を崩したのだと。そしてサイは叫んだ。アルファードはそれに表情を変えず、だからですよ、と静かに言って、棒を両手で握り直すとそれを振り上げた。