その2 たかき屋に登りて見れば 腹の立つ、あっちもこっちもビルばかり 2008年は子年ですが、この「子」年にちなんだ噺に、「高津の富」があります。 |
|||
地下鉄谷町9丁目の駅の北西300m、歩いて5分ほどのところに高津宮があります。 「仁風敷宇宙 徳化洽乾坤」と書いた石の門の向こうに石段が見えております。頭の二文字で「仁徳」でございますね。仁徳天皇をお祀りしている神社でして、高津の富のほかに、大家の若旦那が、一目惚れの恋患いに陥る「崇徳院」の出会いの場も高津さんです。 石段をトントントンと登って、正面が本殿。お参りをして右側を見ますと、絵馬堂があって、かつて、仁徳帝が、高台から「民の竈に煙が立っていないのは、貧しく、餓えているからだ」と看破して、3年間徴税を停止したという故事を偲んで建てられたというのですが、残念ながら現在はビルだらけで、民の竈どころか、工場の煙突も見えません。 |
|||
この辺りに、茶店があって、「あそこの羊羹、ぶあつぅ切ってあってうまい」と「崇徳院」で、若旦那の見舞いに来る熊はんは、のんきなことを言っております。
さて、このお宮さんは、戦国時代に大阪城あたりにあったのを、豊臣秀吉の時代にこの地に移したそうです。 そうすると、仁徳帝の 「たかき屋に登りて見れば煙立つ民のかまどは賑わいにけり」 というお歌も、別の高台だったのでしょうね。 |
|||
仁徳さんという方、なかなか、色好みのお方やったとも記紀には記してあります。
吉備の国から来た「黒姫」を寵愛していたところが、葛城の「磐之媛」が悋気して、 |
|||
遠ざかる船を見つめて 「沖方には 小船連らく くろざやの まさづ子吾妹国へ下らす」 え?だれです、仁徳さんのお宮さんの階段・・・? そら、三角関係とちゃうか、なんて言うてるのは! 相合いの坂は、高津さんの西側、絵馬堂の裏にあります。 |