自己紹介、といっても紹介するほどたいしたことはありません。
高校生の頃に金田さんのDCアンプに出会い、以来その呪縛から逃れられずに今に至っています。(笑い)
電子工学的な専門知識はありませんし、「テスターひとつで製作できる」、「オッシロを買うならスピーカーを買って欲しい」、などという金田さんの言葉を真に受けて測定器類も備えていないので、いくらDCアンプを製作してもいわば物まねで発展性がありません。
したがって、あらかじめお断りすれば、このHPも知的好奇心を刺激するような高度な内容にはなり得ません。あしからず(^^;

ここのところ、完全対称型を中心に立て続けにDCアンプを製作してしまいました。
「それがどうした」なんですが、この際、製作記でも中心にインターネットに乗せ、同好の方に参考になるものならしていただこう、と考えた訳であります。

趣味というものは、やはり日常と違う知恵を使わされ、かつそれが奥深いというところにその本質があるとでも言えましょうか。余り分かってしまっては趣味になりません。
金田式DCアンプは、継続的に、そして時に爆発するように進展する回路の秘密・奥行きが私にとって尽きない興味の源泉であり続けてきました。
しかも、異論もあるでしょうが、世の幾多のアンプに比べても音楽再現の道具として抜きん出たものと評価されています。音楽に目覚めて以来、これを聴く手段はずっと自作の金田式DCアンプだけでここまで来てしまいましたが、私としてもその音に不満を覚えたりすることはありません。
市販のアンプや他方式のアンプをじっくり比較したという経験はないし、評論家の皆さんのような秀でた耳もないと思うので自信を持って言えるものではないのですが、このアンプが時間と空間を超えて再現する音の世界は、あえて求めるに相応しい価値と奥深さがあると思うのです。
金田式DCアンプは、優れた逸品を手なずけ使いこなす喜びがあるような気がします。

さて、最初から手の内を全て明かしてしまうのも何ですから、この辺にしておきましょう。
おいおいアンプ以外の装置や良く聴く音楽のジャンル、愛する人など、私の勝手で書いていこうと思います。

HP開設とともに掲出できたコンテンツはわずかですが、当分は「製作の記」を順次埋めていきます。

同好の皆様には、よかったら感想などをメールしていただければ嬉しいです。(都合により返信が遅れた場合はお許し下さい。)

2000年6月22日

1年半の日に
 by konton

最近、DJブームとかのお陰でしょうか、時にCD屋に新譜のレコードが飾ってあることがあります。
DJブームとかのお陰ではレコードプレーヤーの需要もそれなりにあるのか、TechnicsのSL−1200も生き残り、お陰で私もMK4を最近購入し使っているのですが、それはどうでも良いとして、2か月ほど前に、あるCD屋で3枚シリーズらしい新譜レコードの1枚を買ったのでした。
その後どうなったかなと思って昼休みまた同じCD屋に行ってみたら、見事に残りの2枚は売れ残っていました。

まあ、そんなに需要はないよな、と思いつつ、SL-1200MK4-K
しょうがない、また1枚買ってやるか・・・。

山下達郎の「ON THE STREET CORNER 3」、1999年の新譜です。
早速、完全対称型プリとパワーで聴いてみます。
プリアンプでは真空管式の評価が各所で非常に高いようで、私も気持ちは無視できない程度にはなってきていますが、これは半導体式です。

手前味噌のようで恐縮なんですが、この音の出方の自然さはなんなんでしょう。その直前にはCDをいい音だな〜と思って聴いていたのに、これに比較してスピーカーが急に意思を持って歌い出したといった感じを受けてしまいます。と言うと違いますか。スピーカーを通して演奏者の気持ちが伝わって来るという感じになるのです。音自体が伸びやかで、彫りが深く、素直なエネルギー感で空間を伝わってくる。だから、実在感が自然で、言うなれば実像といった感じなのです。
さっきまでのCDが、いかに高精度で高効率な鏡であってもやはり鏡を見ているという虚像感がどこか払拭できないのと同じ、といった表現をせざるを得ない感じになるのです。

アナログとデジタルの差などと言うつもりはないし、その差は大きいと言う気もありません。ほんの少しの差だと思います。我が家のCDプレーヤーは安物だからそのせいかもしれません。
しかしながら、金田式DCアンプで生み出されるこの音は、少なくとも私にとって、まだレコードを聴きたいという思いを抱かせるに十分なものです。

達郎の一人アカペラ。マルチトラックで重ねた人工ハーモニー。なのに実在感を感じる、なんていうのは嘘のような気がするのですが、
あしたの昼、残りの1枚を買ってきてやろう・・・か。

2000年7月5日
konton

1000アクセスの日に

このHPも立ち上げて4ヶ月になりました。当初予定していた製作の記もなんとか中身を埋めることが出来てホッとしています。
この間、当HPへのアクセスもカウンターによれば1000件の大台に達しました。どの様な方がご覧になってくれたのか分かりませんが、私の勝手で書いているだけのこのオーディオのページを多少でも楽しく読んでいただいた方がいらっしゃれば幸いです。逆に期待外れでアクセスしただけ損したと思われた方には勘弁していただくしかありませんが、まあ、今のところさしたる苦情も頂いていないので、取りあえずもうしばらく続けたいと思っています。

The Paris Concert(BILL EVANS)このHPを立ち上げたおかげか、わたしの趣味のオーディオもやや進展しているというか、多少変化の速度が早くなったようです。貧乏人の自作オーディオですから10年1日の如きの基調は変えようがありませんが、めずらしくオーディオに対する志向が継続し続けているので、この分だと十年来の懸案であるターンテーブルの製作が進展するなんてこともあるかもしれません。

さて、このところ、GOAなアンプ達で新たに作ったオールFETGOAパワーアンプの不思議な魅力にちょっとはまっています。製作直後は特に目立った特徴もなく、UHC−MOSの完全対称型を前にすれば過去のアンプかな、と思っていたのですが、その後乾電池電源でこれを聴き続けて何となくこれの良さも感じるようになってきました。トランジスターGOAパワーアンプで感じる鋭さの代わりに滑らかさがあって、その割に空間の見通しが良いので暖かみのある雰囲気が出るように感じます。心臓を鷲掴みされるようなと彼の方が表現された完全対称型のメリハリ感、アタック感が弱い分FETの特徴がそんなところに現れるのかもしれませんが、これはこれでいい感じに思えるのです。

また、ここのところアンプばかり作ってしまったので、これを使う意味でもちょっとラッパづくりでもしてみようかな、などとも考えていて、スピーカーの頁に黙って予告を載せてしまいましたが、果たしてどうなることやら・・・

いずれ暇なし金なしのオーディオ三昧ですから遅々とした歩みですが、その進展にあわせてこのHPもゆっくりと更新していきたいと思っています。今後ともよろしければ気の向いたときに覗いてやって下さい。

ところで、右はBILL EVANSの“The Paris Concert”です。
この中の“I do it For Your Love”は絶品だと思っているのですが、今日は久しぶりにこれを聴いてみることにしようかな。(^^)


2000年10月21日
konton


おお!これは紛れもなくテクニクスの“SP−10MKU”。キャビネットはこれまた純正のSH−10B3。純正SP−10MKUプレーヤーシステムじゃないですか。
何故ここに?


どこかで見たような・・・と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、実はそのとおりで、WEB上で見つけてしまって我慢できずにオーディオクラフトのAC−3300&AP−300とともに譲り受けてしまったのです。

まだろくに調整もしないで聴いてしまっているのですが、さすが世界に誇る(誇った?)DDプレーヤです。安定感、エネルギー感とも並みではなくどっしりと落ち着いた鳴らしぶり。こんなものが25年も前にすでにあったとは、なぜもっと早く手にしなかったのかと本気で思いました。

純正制御回路もなかなかに強力です。この制御回路も金田さんによれば実はパルス制御で、実際ターンテーブルを外してモーターだけで回してみると6角形とか10角形を描く感じで回りますが、それが実に制御されているという風で規則正しくカッカッカッカッカッカッカッカと一糸乱れずという感じで回りますから、これはこれで大したものです。また、対負荷能力もさすがですね。TT制御アンプ製作記のページで金田式制御アンプで回したSP−10MKUモーターの対負荷能力に驚いたばかりですが、こちらのオリジナルも何ら引けを取りません。もしかするとこの点ではこちらの方が上かなという感じさえします。

う〜ん、オリジナルでこんなにイイ音がするのに金田式TT制御アンプで回すと本当にこれよりイイ音で鳴るんだろうか?なんて心配になるぐらいですが、金田式TT制御アンプで回すSP−10MKUレコードプレーヤーの製作がますます楽しみになってしまいました。

取りあえず可能だったらこいつのモーター部にあちらのモーターを心臓移植してヤドカリ式で試してみるか、との目論見もあっての行動だった訳ですが、果たしてどうなるか。もし可能で上手くいったら金田式と純正のTT制御アンプの聴き比べなんてものを報告できるかも知れません。

と言っても今となっては歴史的名器のSP−10MKUのオリジナルを壊してしまう気はないので、不可能な場合は木製キャビネを製作するか入手するまで比較はお預けです。


我ながらTT制御アンプの製作ですっかりアナログにはまってしまって、SACD(これも欲しい)の時代に何やってんの、という声も聞こえてくるのですが、まあいいじゃないか(^^;、と今日は右の中島みゆきです。この方も得難いシンガー・ソングライターですね。天才です。

オリジナルSP−10MKUで聴く中島みゆき。こんな音がするならやつだって許してくれるはず・・・です。

2001年1月28日
konton


私のメインのスピーカーシステムです。

見てのとおりのホーン&15インチウーハーによるシンプルな2wayシステム。金田式パッシブチャンネルデバイダーでクロス600Hzでつないでいます。

ホーンの大きさからしてドライバーは当然2インチでしょうな、と言うとこれが1インチのTD−2001であるところが可愛いところ(^^; ですが、たかだか10畳程度の部屋でそれに相応しい音量で聴く分には1インチで何ら不足はなく、低域からきちんとロードが掛かって低音楽器の質感を上手く醸し出しますし、高域まで素直にスッと伸びて繊細さも上々となかなかのバランスです(^^)←負け惜しみ

こんなシステムにしているのは、かつてMJで盛んにダブルウーハー&2インチスロートドライバー&ホーンを取り上げていたことに影響されたに違いありませんが、広帯域と高能率によるビックマウスの余裕たっぷりの音はやはり魅力的ですし、低音もなんやかんや言っても口径が大きなウーハーでなければ体を振るわす空気の揺れは出ませんから15インチも必然だなという感じで、しかもこの組合せだとその世界の音がシンプルな2wayシステムで組めてしまうので、こうなっている訳です。

このビックマウスはラフトクラフト製です。見かけはビックマウスですが再現する口元は前後左右にくっきりとピンポイントで結びます。新世代ホーンですから(と言ってももう大分前からあるモデルですが(^^;)、音抜けも抜群ですし非常に素直な音がします。優秀なホーンです。

勿論これで完璧という訳はないので、この方向は、更にダブルウーハーにしたり、2インチドライバーにしたり、ツィーターを加えて3wayにしたり、ミッドバスを加えて4wayにしたり、と、究極のオールホーンまで発展する場合もありうる訳ですが、それも色々な意味で容れ物次第ですので、我が容れ物の場合はそれこそ色んな意味でこれで目一杯、この最小システム以上に進むことはありますまい(^^;



さて、左は未だ数少ないDSDレコーディングの1枚。

すでに15kHz位が可聴限界の耳では100kHzまでの録音周波数帯域をどうこう言われてもしょうもないのですが、それでも120dbのダイナミックレンジとDSDによるデジタル記録方式が提示する音は、24bitなんとかや96kHzかんとかでかなり良くなったと思わせていた従来のPCM方式のCDと比較してもちょっとものが違うという感じを受けます。

一番の違いは“空の密”が出るか出ないかとでも申しましょうか、気配まで伴った自然な音、音場を感じさせてくれること。これに比較してしまうと従来のCDは音ははっきりすっきりと綺麗でも“空の密”が希薄でちょっと寂しい“空疎”感を抱いてしまうんですなぁこれが(^^;。そして、これこそ、あれ!アナログの“実像”感。どうしても“ハイビジョン”感が拭えなかったデジタルが遂に実像になってきたように思うのですが、どうでしょう?

ただ、この差は次元が違うと言えば次元が違いますが、微妙と言えば微妙ですから、最近の若者が聞くような装置じゃあ何も分かりますまい。となるとマスが出ないので、なかなか普及せず、結果、タイトルも増加しないのでますます普及しないという悪循環なのですが、SONYさん、是非頑張って下さい!とお願いしましょう(^^)


で、次は綾戸智絵。無論デジタル、ですがこちらはハーフインチ・アナログ・マスター・テープからのDSDマスタリングだそうでして。

この方、生きてますねぇ。上手い下手なんてことはもとより超えて、怒哀を秘めながら喜楽で魂を込めて弾き、歌い、聴衆を楽しませ、泣かせる。実に素晴らしいエンターテナーです。と言ってライブを聴いたことは無いんですけどね(^^;

ジャズといえばジャズなんでしょうが、そんなジャンルを超えた独自のエンターテイメントの世界にぐいぐいと引き込んでいってくれます。時に魂の濃さが眩しすぎるように感じることもありますが、どこぞの演歌のような媚びたものとは違って、自ら詩に共鳴し曲に傾倒して心のありったけを込めて訴えてくる、ある意味無垢で純粋な魂の叫びにはやはり体の震えがやって来て素直にジーンと感動してしまいます(^^;

しかもDSDで“気”が上手く表現されて“生”感も上々なので、ライブに行くよりよほどライブな彼女がここに現れているかも知れません(^^; My Funny Valentine のハモンドオルガンなんかも実にゾクゾクです。

なんて戯言。なので気にしないで頂きたく(^^;


2002年2月3日
konton