バッテリードライブ

不完全対称型DCパワーアンプ
Studyする



・時来たれり。

・故に、我が電池式GOAパワーアンプその2とその3が解体の仕儀となった。

・が、そのまま捨ててしまうのも忍びない。

・ので、可能な部品をリユースし新しくバッテリードライブパワーアンプを組んでみることにした。

・まぁ、こんな感じ。
・要すれば組み直し?

・なのだが、多少の見直しをする。

・初段の動作点は1mAとする。いにしえには0.3mAが決まりだったがやはりちょっと窒息しそう。なので増やした。GOAも最終段階ではもっと流したし。幸い使われていたFD1841と2N3954のIdssを改めて測定してみたら2mAをやや超えている。ちょうど良い。のでリユースする。

・初段のカスコード回路は省略する。いにしえには必要という決まりだったのだが、今は電源電圧が低いので必要ないということになったようだ。

・2段目差動アンプの動作点は変えない。それぞれ3.3mA程度なので、想定出力からして4Ω負荷でも終段への電流供給能力的に不足はない。

・終段は、いにしえには出力トランジスタのエミッタに抵抗を入れない決まりであったが、それで終段が熱暴走したりすることもあった。ので0.22Ωを入れ、併せて電流制限の保護回路も加える。

・半固定抵抗もGOA時代には御法度だったが、今は緩やかになっている。ので勿論使う。その方が大幅に楽。

・仕上がりゲインは22倍とする。この辺は自分の環境での使い勝手。

・そして最後に、最も重要な決まりであったGOA抵抗。これも止める。だから、このアンプはGOAではない。

・不完全対称型である。
  
・何が不完全対称型なのか?

・その辺、シミュレーターで占う。

・今回は、終段素子のアイドリング電流を65mA付近に揃えてシミュレートする。

・先ずは利得−周波数特性。

・負荷4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ωそして50kΩ(負荷なしに相当)の場合のパラメトリック解析。
・最初にGOA型
・オープンゲイン(赤)、従ってループゲイン(青)は負荷の抵抗値にかかわらずほぼ一定である。ループゲインはほぼオーバーオールNFB量に等しいので、要するにオーバーオールNFB量は、負荷の抵抗値にかかわらずほぼ一定である。

・また、オープンゲイン(赤)がDCから20kHz程度まで一定であり、このため
オーバーオールNFB量DCから20kHz程度まで一定になる。

・GOA導入の当初の趣旨は、電源電圧変動の影響を受けないということだったと記憶しているが、最終的にはGOAの特徴はこの2点に集約される。
まぁ、抵抗負荷2段差動アンプの場合もそうかな。(^^;
・次に普通型
・GOAを実現するためのGOA抵抗R13を取り去ってしまうとGOAではなく普通のアンプになる。

・この場合、ゲインを生み出す2段目差動アンプの負荷が、カスコード回路の出力抵抗、カレントミラーの出力抵抗、そして終段ダーリントンエミッタフォロアの入力抵抗の並列合成値と大きいものになるので、オープンゲインは低域において大きくなる。負荷4Ωで72dB程度、負荷8Ωで77dB程度、負荷16Ωで82dB程度、負荷32Ωで86dB程度、負荷64Ωで89dB程度、無負荷では94dB程度である。高域は初段FETのgmと2段目に入っている位相補正Cのミラー効果で決まるので、GOAの場合と同じだ。

・結果、GOAの特徴は2つとも失われる。
・次は完全対称型
・完全対称型は、GOAと連続性はなく、はっきり言うとGOAを否定したものである。

・のは、この特性図を見れば明らかで、オーバーオールNFB量は、負荷の抵抗値に応じて増減するし、オーバーオールNFB量も負荷によってDCから20kHz程度まで一定ではなくなる。しかも、オーバーオールNFB量が負荷の抵抗値に応じて増減することを“速度型モーショナルフィードバック効果”(以下、モーショナルフィードバックと略す。)として、終段のローカルNFBによる過剰NFBの排除とともに、GOAより完全対称型の音が良い理由とされている。

・オープンゲイン(赤)は、低域において負荷4Ωで52dB程度、負荷8Ωで58dB程度、負荷16Ωで64dB程度、負荷32Ωで69dB程度、負荷64Ωで74dB程度、無負荷では85dB程度である。負荷の4Ωから64Ωまでの16倍(24dB)の増加に対しオープンゲインの増加は22dBであるが、これが完全対称型の特徴となっているモーショナルフィードバックをもたらす特性である。
・ここでちょっと一つ前の普通型に戻るのだが、その特性は、GOAからGOA抵抗を取り去っただけの普通型にもしっかり現れている。

・完全対称型も普通型もともにGOAを否定したものであるから、特性がある種似てくるのも当然か。

・結果、この普通型でもモーショナルフィードバックはしっかり掛かる。

・勿論、オープンゲイン(赤)やループゲイン(青)が水平に移行する利得がやや大きいし、負荷に応じる利得の増減が、負荷の4Ωから64Ωまでの16倍(24dB)の増加に対して17dBとやや少ない、という違いはある。

・が、これだけあれば単なる程度問題だと思えるし、完全対称型の音をもたらすものとしてモーショナルフィードバックの効果が大きいのであれば、普通型でも良いのではないかなぁ。(^^;
・そして不完全対称型
・不完全対称型はGOA型のGOA抵抗の接続先をアースから完全対称型のようにアンプ出力点に変えただけのものである。しかも、その抵抗値でオープンゲインが水平になる利得を調整できる。

・結果、その特性は完全対称型にうりふたつ。

・オープンゲインは低域において、負荷4Ωで55dB程度、負荷8Ωで61dB程度、負荷16Ωで67dB程度、負荷32Ωで73dB程度、負荷64Ωで78dB程度、無負荷では91dB程度であるから、負荷の4Ωから64Ωまでの16倍(24dB)の増加に対しオープンゲインの増加は23dBであり、極めてリニアにいわゆるモーショナルフィードバックが掛かる特性になっている。この場合、上の完全対称型より理想的特性だ。


・が、コンプリメンタリ素子の特性は非対称であるから、同種素子で構成する完全対称型のような対称動作はしない。ということになっている。

・ので、不完全対称型。
 
・その辺定量的にはどうか?

・ということを次にFFTで少しばかり推測する。

・まずは、電源電圧±15V、負荷8Ωで出力1Vr.p.m(0.0655V入力)の場合。基本周波数は1kHzである。
・GOA型
Total Harmonic Distortion:0.016656%

最もオーバーオールNFB量が少ないのに歪率はこの中では最小である。また、高調波は、高次へ向け素直に逓減している。

師おっしゃったとおり、終段エミッタフォロアのドライブ条件が良いということだろうか。
・普通型
・Total Harmonic Distortion:0.017265%

・オーバーオールNFB量が多いのに
歪率はGOA型より多少大きい。

・のは、やはり終段のドライブ条件の問題と解すべきか。あるいは、ローカルNFBの方がオーバーオールNFBより質が良いためである、と解すべきか。

・完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.027693%

・歪率はこの中では一番大きいと出た。が、まぁ、NFB量(ローカルNFBも含めて)の問題かな。

・が、高調波が高次に向けて逓減する中で、2次及び4次の偶数次高調波が押さえられているという感じはする。特に2次はGOA型及び普通型以下だ。が、逆に3次、5次高調波が大きく、結果トータルの歪率が悪くなっている。
・不完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.027527%

・歪率は完全対称型とほぼ同じであるが、僅かに小さい。比較すると、2次、4次は完全対称型より大きく、逆に3次、5次が小さい。

・悪くはないのでは。(^^;
  
・出力をもっと大きくしてみる。

・負荷は8Ωと同じだが、出力は10Vr.p.m(0.655V入力)とする。出力12.5Wとなる。電源電圧が±15Vでは飽和するのでここでは±20Vに上げる。基本周波数は1kHzと同じである。
・GOA型
・Total Harmonic Distortion:0.054500%

出力が大きいので、高調波はかなり増加する。

・で、特徴的なのは、高調波が高次に向けて逓減する中で、奇数次高調波が比較的に小さく押さえられていることである。
・普通型
・Total Harmonic Distortion:0.042227%

・この場合歪率はGOA型より小さくなった。

高調波が高次に向けて逓減する中で、奇数次高調波が小さく押さえられているのはGOA型と同じだ。
・完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.028032%

・完全対称型の面目躍如か。この大出力では今回の4種の中で最低の歪率となった。

・FFTの結果を見るとちょっと信じがたい気もするが、それは2次、4次、6次の偶数次高調波がGOA型や普通型に比して低いことによるものだ。

・が、高次の奇数次高調波が比較的に大きい。ここは上の二つとは実に対照的だ。
・不完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.062518%

歪率はやはりこの中では一番大きい。この辺はやはり終段がコンプリ素子であるが故か。が、この程度に収まるのなら悪くはないのではなかろうか。

・高次の奇数次高調波が比較的に大きいのは完全対称型と同じであるが、完全対称型に比すと2次,4次といった低次偶数次高調波の低減が今ひとつであるところにコンプリの限界が現れている、と言えるかも知れない。

・なので、不完全対称型。
   
・と、妖しい占いをしているうちに基板類が出来上がってきた。
   
・が、ケース加工には時間が掛かる。

・ので、それを待つ間、しばしまた妖しいシミュレーター占いをする。(爆)
   
・何事もそうだが、検証には多数のデータが必要だ。

・から、今度はトランジスタを全て現行で入手可能なものとしてみる。

・まずは、上と同様に電源電圧±15V、負荷8Ωで出力1Vr.p.m(0.0655V入力)の場合。基本周波数は1kHz。
終段のアイドリング電流はこの場合も65mA程度に揃える。
・最初にGOA型
・Total Harmonic Distortion:0.001683%

・素子、すなわちデバイスモデルが異なるだけなのに歪みが1/10になった。オープンゲインが20dB増えた?いいえ、殆ど同じです。何ともシミュレーションとは妖しいものだ。(爆)(^^;

・上の場合と違って、2次、4次高調波が小さく、3次、5次高調波の方が大きいという、まぁ、こちらの方が正しいのではないかという結果である。
・普通型
・Total Harmonic Distortion:0.000836%

・上の場合とは違って、GOA型より普通型の方が低歪みになった。まぁ、理屈としてはこの方が正しいかな。

・完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.023355%

・う〜む。。。この場合は、GOA型や普通型の14倍〜28倍の歪みという結果だ。。。

・対称動作により2次、4次の偶数次高調波が抑えられ、3次、5次の奇数次高調波の方が大きくなるのは理屈だろうと思うが、ローカルNFBを含めたトータルNFB量の差によるものとしても、ちょっとレベルが大きいか。

・不完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.007246%

・これもGOA型や普通型素子より歪みは多いが、なんと、完全対称型より歪みが小さくその1/3だ。

・高調波の分布状態は完全対称型に似ているが、完全対称型より低歪みになるとはこれ如何に?
   
   
・次に出力を10Vr.p.m(0.655V入力)とし、出力12.5Wの大出力時を観る。

・電源電圧が±15Vでは飽和するので±20Vに上げ、基本周波数が1kHzであるのは同じ。

・GOA型
・Total Harmonic Distortion:0.037104%

・2次、4次が良く押さえられ、3次、5次高調波が大きいのはそれらしい感じだ。が、3次高調波が大きいためにトータル歪率が悪くなっている。

・また、10次以上の奇数次高調波が相対的に大きく出てきた。が、まぁ、−120dB以下だからいいか。(^^;
・普通型
・Total Harmonic Distortion:0.014993%

・全体的にGOA型のレベルを少し下げたという感じだが、よく見ると2次から5次では3次高調波のみが小さくなっている。

・完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.023472%

2次、3次のレベルがGOA型より小さく、トータルの歪率としてはGOA型以下である。完全対称型は大出力ほど真価を発揮するようだ。良いのでは。(^^)

・が、やはり10次付近以上の奇数次高調波が多いのは上で観た完全対称型と同じだ。マイナス100dB程度の世界ではあるが、これはやはり完全対称型の特徴か。
・不完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.016596%

・なんと、完全対称型よりも低歪率である。

・高次高調波の出方などはやはり完全対称型に似ているが、全体的にレベルが下がってこの結果だ。

・これが本当なら実に悪くないかも。(^^)

・なのだが、これでは不完全対称型と言えなくなってしまうかな。(爆)(^^;
 
   
   
・という、ちょっと不埒な結果であるので(^^;、もう少し妖しいシミュレーター占いをする。

・趣向を変えてMOSはどうか。

・なので、おなじみのMOS。

・これらのMOSは飽和電圧が大きい。ということもあり電源電圧は最初から±25Vとする。終段のアイドリング電流はこの場合も65mA程度に揃えてみる。

・最初に利得−周波数特性。

・負荷4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ωそして50kΩ(負荷なしに相当)の場合のパラメトリック解析。

・GOA型
・オープンゲイン(赤)、従ってループゲイン(青)は負荷の抵抗値にかかわらずほぼ一定であり、また、オープンゲイン(赤)がDCから20kHz程度まで一定で、このためオーバーオールNFB量DCから20kHz程度まで一定になる。

・この辺は当然上のトランジスタによるGOA型と同じであるが、GOA抵抗値が5.6kΩでオープンゲインも上のトランジスタによるものと殆ど同じになっている。上手く設計されている。と、今更に感じる。(^^;
・普通型
・MOS(というかFET全般)はその負荷に関わらず高い入力インピーダンスを保つので、この場合負荷に関わらず低域は100dB以上の利得になる。グラフでは明らかでないがこの場合のfcは100Hz程度である。オペアンプのようなワイドラー特性だ。

・したがってMOSの場合は、普通型でモーショナルフィードバックをもたらすような特性にはならない。
・完全対称型
・終段のアイドリング電流が65mA程度のこの場合、終段MOSのゲート抵抗を3kΩとすることにより8Ω負荷で上のGOA型と同程度のオープンゲイン(赤)となった、

・負荷4Ωから64Ωの16倍(24dB)の変化に対して、低域でオープンゲインも24dB変化しており、極めてリニアにモーショナルフィードバックが掛かる特性である。
・不完全対称型
・トランジスタによる場合もそうだが、この場合のように初段、2段、終段の構成が同じであれば、不完全対称型にするための抵抗(ここではR5)の値を完全対称型の終段ゲート(or ベース)抵抗の1/2にすると、その利得−周波数特性は完全対称型に一致するものになる。

・すなわち、その抵抗値で2段目までの利得が決まるのは完全対称型も不完全対称型も同じ。その抵抗値で終段の利得が変わるものではないのも同じ。で、不完全対称型はPPでその抵抗をドライブするので、完全対称型の場合の半分の抵抗値になる。

・のは、理屈。

・で、シミュレーションでもそのようになっている。
   
   
・要は動作は同じ。ということなのだが、片や同極性素子を同極性素子でシングルドライブするのに対して、片や異極性コンプリ素子をカレントミラー折り返しプッシュプルドライブするという違いがある。

・その優劣は当然歪み特性に表れる。ということなのだが、このMOSの場合はどうか。
・GOA型
・Total Harmonic Distortion:0.009683%

・上の現行で入手可能なトランジスタで構成したGOA型よりは歪みは大きい。が、まぁ絶対値としては十分に小さい。
・普通型
・Total Harmonic Distortion:0.001097%

・トータルNFB量が増えて、素直に歪みも小さくなった。という感じである。
・完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.003338%

・やはりさすがに完全対称型というべきか。GOA型の1/3の歪率である。
・不完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.037201%

・やはり不完全対称型というべきか。(^^; 完全対称型の10倍以上の歪率である。

・と言っても、絶対値としては十分に小さいだろう。
   
   
・次に出力を10Vr.p.m(0.655V入力)とし、出力12.5Wの大出力時を観る。
・GOA型
・Total Harmonic Distortion:0.032227%

・さすがに歪みは大きくなる。し、かなり高次まで高調波がだらだらと続いているが、低次ではやはり偶数次の歪みが小さく、奇数次の歪みが大きい。

・普通型
・Total Harmonic Distortion:0.006483%

・GOA型と変わらずだが、NFB量の多くなる低域でそれなりに歪みが小さくなったという感じだ。

・完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.141840%

・う〜む。小出力の時とは打って変わってGOA型の4.4倍の歪率である。その理由は奇数次高調波のレベルが高いためということが分かる。それが何故かは明確ではないが、MOSなので終段のアイドリング電流が足りないのかもしれない。

・と、上のトランジスタによる場合とは真逆な結果になってしまった。(^^;
・不完全対称型
・Total Harmonic Distortion:0.145094%

う〜む。こちらも相変わらず良くない。が、完全対称型と殆ど同じ歪率である。

・この結果からすれば、不完全対称型が完全対称型に著しく劣るということではないが。。。
   
   
・ところで、同程度のオープンゲイン、すなわちNFB量なのにMOSの完全対称型と不完全対称型の歪みがトランジスタによるものより一桁大きいのは気になる。

・この辺、終段MOSなので、そのアイドリング電流のせいでもあるのではないか。と思えるので、それを200mA程度にした場合で確認しておく。

・まずは、完全対称型。
・Total Harmonic Distortion:0.039543%

・やはり歪率は1/3.6となって、小数点以下第二位まで下がった。終段のアイドリング電流を増やすことにより終段の利得が4dBほど増えNFB量もそれだけ増えているのだが、それを勘案しても大きな歪みの減少率である。やはり、MOSはTR以上にアイドリング電流が必要のようだ。

・が、GOA型で同じことをやると、Total Harmonic Distortion:0.008222%とGOA型の歪低減率は1/3.9となる。MOSの場合、上のトランジスタの場合のように、大出力時の歪みがGOA型より完全対称型や不完全対称型が小さくなるという結果にはなっていないことには変わりはない。
・次に、不完全対称型。

・こちらも終段アイドリング電流を200mA程度に設定する。


・そうすると、これも完全対称型と同様に終段の利得が4dBほど増え、NFB量もそれだけ増える。
・Total Harmonic Distortion:0.050241%

・歪みの低減は1/2.9に止まったが、NFB量の増加割合以上の低減率であることに変わりはない。

が、小数点以下第二位まで下がったし、MOSの場合もこの程度に収まるのなら悪くはなかろうて。

・で、やはり不完全対称型という名前で良さそう。(^^;
 
・と、シミュレーターで遊んでるうちにケーシングも終了したようだ。

ので、検証には多数のデータが必要だが、この辺で打ち止めとする。(爆)(^^;
  
ケースはタカチのHY70−33−23SS。

・前面、背面パネル上側フランジに、1mm厚15mm×15mmのL字アングルで4本の桟を渡し、ステレオ分を組んだアンプ部基板AT−1Wを2枚吊り下げている。すなわち、これで2WAYマルチ対応のステレオ2台分である。

・終段トランジスタは、放熱器構造のサイドパネルにタップを切って密着させた3mm厚40mm×40mmのL字アルミアングルに取り付けてある。バイアス発生回路もこのアルミアングルに取り付け、そのトランジスタ2SC1775Aは終段トランジスタに接着してある。

・また、前面パネル上側フランジに保護回路基板とバッテリーチェック基板を、同下側フランジには出力DC検出基板をそれぞれ取り付け、No−209で言うところの一体型としている。

・前面パネル正面は、左右にそれぞれのステレオアンプの動作オンオフスイッチと動作インジケーターとしてのエメラルドグリーンLED、そしてその内側向かって左側が保護回路動作インジケーターの赤色LED、右側が電源パイロットランプ機能を兼ねさせたバッテリーチェックのインジケーター2色LEDである。2色LEDはバッテリー正常時に緑(こうしてみると黄色に近い)でバッテリー電圧低下時に赤となる。電源パイロットランプ機能を兼ねさせるので、バッテリー電圧低下時にLEDが消えてしまうのはまずいのでこうしたもの。

・要するにバッテリー自体のオンオフスイッチは取り付けていない。ので、バッテリーの消耗が気になる場合は、アンプを使わない間は昔の電池式時代のようにバッテリーは背面パネルのコネクタから抜いておくことになる。

・なお、インスタントレタリングも市場から消えてしまったので、文字の入らないのっぺらぼうである。(爆)

   
・と、組み上がったので、動作チェックと位相補正コンデンサーの調整のため、方形波応答を確認する。

・位相補正コンデンサーの容量候補は10pFと20pF。

・出力が大きいほどアラが出やすいようなので、入力±0.423V(ピークtoピーク0.846V)、したがって出力±10V(ピークtoピーク20V)で観る。ほぼ最大出力である。

・なお、写真は全て下が入力波形で上が出力応答波形。
・最初に無負荷状態。
10kHz 位相補正10pF
20uS/div 下0.5V/div 上10V/div
10kHz 位相補正20pF 
20uS/div 下0.5V/div 上10V/div
100kHz 位相補正10pF
2uS/div 下0.5V/div 上10V/div
100kHz 位相補正20pF
2uS/div 下0.5V/div 上10V/div
・次に8Ω抵抗を負荷とした場合。
10kHz 位相補正10pF
20uS/div 下0.5V/div 上10V/div
10kHz 位相補正20pF
20uS/div 下0.5V/div 上10V/div
100kHz 位相補正10pF
2uS/div 下0.5V/div 上10V/div
100kHz 位相補正20pF
2uS/div 下0.5V/div 上10V/div
・抵抗のインダクタンス成分のせいか容量成分のせいか、8Ω抵抗を負荷とした場合の方形波応答が乱れる。

・が、正弦波なら1MHzでも応答に乱れはない。
まぁ、入力信号波形まで乱れているところをみると、観測の仕方に問題がある可能性もあるので、動作に問題がある訳ではないだろう。だめ?(^^;

・位相補正容量については、10pFでも20pFでも方形波応答にオーバーシュートがある。勿論20pFの方がその程度は小さい。

近頃はこの辺全く教えがないが、遙かいにしえの教本では、この場合のようにオーバーシュートが1波程度あるように調整するのが妥当であるとされていた。

・ので、大体この辺で良いか。

・で、どちらが良いかは最終的に音を聴いて決める。

・のだが、あまり違いが分からない。(爆) ので、20pFにしようかな。(^^;
    
・ところで、参考までに私のNo−209(もどき)ではどうか。

・今回の不完全対称型になるべく合わせるということでゲイン設定をMAX(クローズドゲイン21.9dB)にした場合。


・なお、念のためだが、こういう高速な信号をパワーアンプに入れると、先生が同じ遙かいにしえの教本で解析されている、ドライバー段による終段の電極間容量に蓄積した電荷の放電速度が間に合わなくなることによる終段のバイアスの増加、その他の理由によって、終段のアイドリング電流が急増して終段トランジスタが熱暴走を起こす可能性がある。ので十分注意しないといけない。

・特に完全対称型ではこれはやらない方が吉かも。(^^;
10kHz 無負荷
20uS/div 下1V/div 上10V/div
100kHz 無負荷
2uS/div 下1V/div 上10V/div
10kHz 負荷8Ω
20uS/div 下1V/div 上10V/div
100kHz 負荷8Ω
2uS/div 下1V/div 上10V/div
    
破綻?(^^;
・と、言うわけで回路はこう。要するにアンプ部以外はほぼNo−209そのもの。(^^;  
・で、その音。

・なのだが、そもそも不完全なものであるからそんなに良いはずはない。

・確かに他に比して劇的に変わった、というようなものではない。要するにソースそれなりである。

・が、ソースが良いと、鳥肌が立ってジーンとなり、涙がこぼれんほどに感動してしまう。演奏者が心を込めて演奏している様がありありと伝わってくるのだ。

・私としてはこのアンプ、生かしておくことにした。(^^)
不完全対称型。その名に偽りなし。(^^;
   
・といったところで、夏休みの研究と工作。終了。



2010年8月20日