・こんな感じでしょうか。

・2SK369GRのモデルのIdssが8mA程度なので、ソースに20Ωを入れてId=4mA程度にしました。

・2SK369VのモデルのIdssは20mA程度です。

・これで2SK369GRのVd−sは200mV程度です。

・このモデルではVd−sが200mVあればまともに動作するようですが、実際の2SK369GRも200mVでまともに動作するかどうかは分かりません。
・ソース抵抗20Ωが入っていても2SK369のgmが2SK117(2SK43のシミュでの代替)より大きいので電圧ゲインは4dB程度大きくなるようです。
・2SK369GRに0.3mV,1mV〜5mVの1kHz正弦波を入力して許容入力を観ます。
・緑が出力電圧ですが、±4.5Vで飽和しますので、許容入力は2.7mVくらいでしょうか。

・これはゲインが4dB程大きくなったためですので、DL−103の0.3mVより出力の小さいMCカートリッジならばこれでも使えると思います。

・この出力電圧±4.5Vでの飽和はカートリッジIVCの2SK369が原因ではなく、アンプの方の動作点設定等の問題で、プラス側の出力を大きくするためにはマイナス側の電源電圧を上げること、マイナス側の出力を大きくするためには、アンプ初段の定電流回路のツェナーダイオードを3Vのものに交換しあわせてR3を2.2kΩに変更すること、によってある程度対応できます。
・FFTで出力R33に1kHz1mA正弦波出力した場合の歪率を観ます。

・ゲインが4dBほど大きいので入力は0.6mVにします。
・2次高調波が-90dB程度、3次高調波が-100dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.003832%

・なんと、小数点以下3桁台のしかも前半。

・素晴らしいですね。
・それは入力を0.6mVと小さくしたからでは?

・なので、他と同様入力は1mVとし、アッテネータを調整してR33の出力を1mAとします。
・2次高調波が-85dB程度、3次高調波が-90dB程度。

・と、やはり悪くなりますが、

・Total Harmonic Distortion=0.006506%

・やはり小数点以下3桁台。

・やはり優れていますね。
・カートリッジVICのカスコード接続はやはりこうですかね。

・これなら2SK369GRに280mVのVd−s電圧がかかります。

・なお、歪率も含め特性的には同じです。
・このモデルの低電圧領域でのVd−Id特性を見ます。
・Vd=200mVでほぼ定電流特性になっています。
・別の見方をします。
・縦軸がId、横軸がVg、Vdが下から100mV→500mV、50mV間隔です。

・250mV以上は1本に重なっています。

・上の結果とこの結果からVd−sが200mV以上であれば2SK369の本来の性能が得られることが分かります。

・曲線の傾きがgmですが、Vd−sが200mV未満の領域ではgmが段々と小さくなるので、Vd−sが200mV未満で使うと、アンプのゲインがその分小さくなりますね。



・このモデルが現実の2SK369の特性をどこまで正確に反映しているかですが、2SK369のメーカー発表の特性図も低電圧領域については明確ではないので、実測するしかなさそうですね。それはカーブトレーサーがないので簡単ではないです。
・2SK369GRでカスコード接続がない場合の歪率です。
・2次高調波が-90dB程度、3次高調波が-95dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.004071%

・小数点以下3桁台。

・やはり2SK369GR自体が2SK117GRより直線性が優れているのでしょう。あるいはソース抵抗20Ωによる電流帰還で直線性が改善されたのかもしれません。

・また、2SK369Vをカスコード接続するとさらに低歪率になるということは、カスコード接続で一層直線性が改善されるということかと思います。
2SK43の特性図を見ると、低電圧領域では抵抗特性になっていますが、モデルがないので、シミュでその代替として使っている2SK117GRの低電圧領域での特性を見てみます。
・うまい具合に、Vg=0V付近でVd−sが200mV程度では抵抗特性になっています。

・ので、2SK97(43)の代替の2SK117GRで、2SK97(43)のカスコード接続のシミュレーションが出来そうです。
・こうですかね。

・2SK117GRが低電圧領域ではシミュレーションの特性図のとおりgmが小さくなりIdssも減るので、パラ接続にしてgmと電流を確保しています。
・2次高調波が-60dB程度、3次高調波が-95dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.126310%

・残念ながらあまり良い結果ではありません。

・2SK117GRの低電圧領域の直線性はあまり良くないということでしょうか。
・間違いました。2SK117と2SK170のパラになってました。ので2SK117のパラにします。

・パラにしてもgmが小さいので、R33に1mAを出力するためには、1.7mVを入力しないといけません。
・2次高調波が-55dB程度、3次高調波が-100dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.157468%

・さらに良くない結果です。

・残念ですが駄目ですね。