No−248

無帰還IVC型MCプリアンプをStudyする


その3





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その後の17



・No−248 簡素型無帰還6111MCプリアンプ。



・ちょっと改変する。
・ところで、6111のプレート電流特性。



・GEのものだが、Philipsの6111WAも同じだろう。



・シミュレーションにはWE396Aのモデルを使う。

・のは、6111の適当なモデルがないためだが、そのWE396Aのプレート特性をLtspiceでシミュレートするとこう。

・6111のμ=20、gm=5mS、WE396Aのμ=35、gm=5.5mSと、WE396Aの方がゲインはやや大きいが、A2級動作でVpの低い電圧からプレート電流が同じように立ち上がっていく特性は非常に良く似ているし、グリッド電流の流れ方も同じく良く似ている。

・よって、6111の代わりにWE396Aのモデルを使わせて頂く。
・改変した回路。



・先ずは、VICの2SK97(シミュでは2SK117GR)をヘッドシェルに取り付けたものを受けるものから、VICはプリアンプ基板内に取り込んで、No−248 簡素型無帰還6111MCプリアンプ With VICとするもの。



・要するに、MCカートリッジ〜プリアンプ間を電流伝送ではなく、普通の電圧伝送タイプとする。

・で、その電流出力/入力電圧の周波数特性はこう。



・0dB=1Sなので、1kHzでは約10dB=3.2Sとなる。要するに、MCカートリッジの0.3mVの電圧入力は0.96mAの電流出力となる。



・要は、gmもやや大きくしたもの。
・従前の回路定数では、右の通り、1kHzで7.4dB=2.35Sなので、0.3mVの電圧入力は0.705mAの電流出力である。



・要するに、約1.36倍の出力が得られるように改変したもの。



・公称出力0.2mVのMCカートリッジを使うと、従来型では少しく出力が足りないので、こうしたもの。
・これで、どれだけの入力に対応できるかを観る。



・入力に1kHz正弦波で、0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVを入力した場合のパラメトリック解析。
・一番下が抵抗R32に流れる、要するに出力電流。



・真ん中が、2本のWE396Aのカソード電流を足した電流。



・一番上が2本のWE396Aのグリッド電流を足した電流。



・6111は常にグリッド電流が流れる、要すれば常にA2級動作。



・こうして観ると、5mV入力まで問題なく対応している。
・何故、これを観ているのか?



・それは、カートリッジの最大出力電圧まで対応していなければ、カートリッジの最大出力時にアンプ出力が歪んでしまうから。



・では、カートリッジの最大出力は、公称出力電圧の何倍程度なのか?



・を、右の通り、ぺるけさんが実測を含めて解説しておられた。



・その結論は、「公称出力電圧の8〜9倍あたりを上限として、さらに余裕をみるならば10倍としたらいいでしょう。」とされている。



・我が家には、公称0.2mVから0.42mV出力までのMCカートリッジがあるが、上の結果は、これらのカートリッジに問題なく対応出来るもの、と言うことになる。
・改変作業終了。
・オーディオテクニカAT-ART9XAで聴く。






・空芯型で公称出力0.2mVと低いが、MCプリのgmを多少大きくしたお陰で、システムからは十分な音量が得られる。






・竹内まりやが眼前にすくっと現れる。






・素晴らしい。
・回路。
     
・次に、No−248 簡素型無帰還SIT with VIC MCプリアンプ。



・すでに with VIC化したMCプリアンプだが、これもgmをやや大きくしよう。




・25年前に測定した手持ち2SK63のEp−Ip特性。






・かなり電流が流れる特性だが、No−248 Simple MCプリには、この程度の電流が流れる2SK63又は2SK79でなければ使えない。



・この際、この実測特性図により近い特性が得られるよう、モデルパラメータをあれこれ弄ったのが2SK79C。



・その特性図がこう。



・かなり実測特性図に近いものになったのではないか。




・従前使っていたモデルが2SK79B。



・その特性図がこう。



・これに比べれば、2SK79Cがより相応しいだろう。
・この2SK79Cのモデルを使用して、従前の回路でのゲイン−周波数特性を観る。
・1kHzでのgm=I(R32)/V(in)=7.9dB=2.48S。
・定数を変更して、そのゲイン−周波数特性を観る。
・1kHzでのgm=I(R32)/V(in)=10.9dB=3.6S。



・すなわち、ゲインが1.41倍となった。
・これで、どれだけの入力に対応できるかを観る。



・入力に1kHz正弦波で、0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVを入力した場合のパラメトリック解析。
・下が抵抗R32に流れる、要するに出力電流。



・上が2SK79(2SK63)のソース電流。



・4mV入力までは問題なく対応している。5mV入力ではピークの山が潰れているので、良くて4.5mV入力までが限界のようだ。が、十分。
・公称出力0.4mVのテクニカAT-OC9XMLで聴く。



・45年前の五輪真弓が時空を超えて、来たぁ!
・回路。
     
・次に、No−248 Simple 2SJ79−2SK79 with VIC MCプリアンプ。



・これもgmをやや大きくしよう。


・これに使用している2SK79は、2SK63ほどは電流が流れず、Vg−s=0V、Vd−s=15Vでドレイン電流は43mA程度(2SK63は50mA程度)。



・なので、これにあわせてモデルパラメータを変更したのが2SK79DでそのEp−Ip特性がこう。

・この2SK79Dのモデルを使用し、従前の回路でのゲイン−周波数特性を観る。
・1kHzでのgm=I(R32)/V(in)=8dB=2.52S。
・定数を変更して、そのゲイン−周波数特性を観る。
・1kHzでのgm=I(R32)/V(in)=11.1dB=3.5S。



・すなわち、ゲインが1.39倍となった。


・これで、どれだけの入力に対応できるかを観る。



・入力に1kHz正弦波で、0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVを入力した場合のパラメトリック解析。
・下が抵抗R32に流れる、要するに出力電流。



・上が2SK79のソース電流。



・4mV入力までは問題なく対応している。5mV入力ではピークの山が潰れているので、良くて4.5mV入力までが限界のようだが、十分。



・2SK79のソース電流が36mAに達しているが、上のEp−Ip特性図から観れば、その際はVg−sが0VでVd−sが12Vでなければならない。が、Vd−sが12Vはちょっと考えにくい。
・実は2SK79Dは、この通り、Vg−sがプラスになってもドレイン電流が流れる、要すればA2級動作にも対応している。



・この特性だとすれば、Vg−sが1VかつVd−sが3Vで37mA流れるようなので、2SK79のソース電流が36mAに達している際には、こういうA2級動作状態にあるものと思われる。



・で、この際は当然ゲート電流も流れるものと思われるのだが、残念ながらモデルがこれに対応していない。ので、どれだけのゲート電流が流れるのか分からない。
・このデータでも、下のグラフでA2級動作でドレイン電流が流れることは示されているが、その際のゲート電流については何も示されていない。
・であれば、実測するしかない。

・ドレイン−ソース電圧が3Vの場合が左で、7.5Vの場合が右。

・7.5Vの場合は45mAのドレイン電流を流すと4μAのゲート電流だが、3Vの場合は30mAで4μA、35mAで12μA、40mAでは24μA流れる。

・上のA2級動作の際と同様、丁度Vd−sが3VでVg−sが1.05Vの時に2SK79に35mAの電流が流れ、その際のゲート電流値は12μAとなっている。

・また、Vd−sの3Vと7.5Vしかデータ化していないが、Vd−sを増やすほどにゲート電流は減っていく。
・6111に比べれば圧倒的に小さい電流だが、無視出来る電流値か?



・入力に1kHz正弦波で、0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVを入力した場合のパラメトリック解析に、その際の2SK79のドレイン−ソース間電圧及びゲート−ソース間電圧の推移を加えた。



・これによれば、グラフの上から2番目、ソース電流が36mAの際にはドレイン−ソース間電圧が4V程度であることが分かる。また、グラフの一番上、ゲートーソース間電圧が0V以上となっている部分はA2級動作をしている領域であるから、入力3mV以上でドレイン電流が26mA程度以上になるとA2級動作に入るよう。



・この際は何らかの影響があるかも知れないが、ソース電流が少なくなる程に
ドレイン−ソース間電圧は増えていくので、ゲート電流は減るだろう。



・が、具体的な影響がどう出ているのかは全く分からない。
・なので、公称出力が0.42mVのテクニカAT33xMLBで様々なレコードをかけて、何か問題が出ないかと聴いてみるのだが、何の問題も感じない。



・素晴らしい音、音楽に感激するばかり。




・なので、このままで良いのではないか。



・なお、この問題点は上のNo−248 簡素型無帰還SIT with VIC MCプリアンプでも同様である。



・2SK63はここで用いた2SK79より電流は流れるが、Vd−sが3Vでソース電流36mAを流すには、やはりA2級動作になる。



・が、No−248簡素型2SJ79−2SK79 with VIC MCプリアンプに問題がないのであれば、No−248 簡素型無帰還SIT with VIC MCプリアンプも問題ない。
・回路。
     
・No−248簡素型TR-MOS MCプリアンプ with VICも多少改変。
・ところで、データシートでの2SK214の電流特性。
・2SK214のモデルはどうか?



・ドレイン−ソース間電圧が20V以下の電流の減少等、十分でないところはあるが、良く出来ている。
・で、回路定数をやや変更して、そのゲイン−周波数特性を観る。
・1kHzでのgm=I(R32)/V(in)=11.25dB=3.65S。
・従来の定数でのゲイン−周波数特性。
・1kHzでのgm=I(R32)/V(in)=9.6dB=3S。



・
すなわち、ゲインは1.22倍となった。



・もともとのゲインが十分あったので、ほどほどのゲインアップとした。
・入力に1kHz正弦波で、0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVを入力した場合のパラメトリック解析。
・5mV入力まで問題なく対応している。
・45年前の松任谷由実。



・素晴らしい。何も言うことがない。
・回路。



2026年5月30日







その後の18(MCカートリッジの負荷)


・No−248簡素型TR-MOS MCプリアンプ with VICの前側左側板にスイッチを付けた。








・アンプ基板にも抵抗がひとつ増えている。



・何のため?
・2SK43のゲート-ソース間に100Ωとスイッチを追加し、スイッチオンで入力抵抗が100Ωになるようにしたもの。スイッチをオフにすれば入力抵抗は820kΩとなる。

・世間的には、MCカートリッジの負荷抵抗については、当該カートリッジの内部抵抗の2から5倍や3から10倍程度が適当とされている。

・K式ではここの抵抗は560kΩ等高抵抗とすべきで、可能ならばないのが良く(シェル取り付けのVICではこの抵抗はない)、これを100Ω等低抵抗にすると、カートリッジからの信号が全て100Ωに吸い取られ、プリアンプには音の抜け殻しか伝わらない、と古来よりされていた。

・Fidelix社では、ここは高ければ高いほど良いとし、同社の製品ではギガ(G)受け(1GΩ)とローインピーダンス受け(100Ω)の選択が出来るが、90%以上の人がギガ(G)受けで使用している、とのこと。

・この際、Fidelix社の製品同様に、820kΩのハイインピーダンス受けも、100Ωのローインピーダンス受けも可能としたもの。(1GΩは余りに極端で無理)
・早速聴いてみる。

・DL−103。

・コイルインピーダンス=40Ω、推奨負荷抵抗は示されていない。

・「MCカートリッジの微小でデリケートな信号エネルギーを100Ωという低い抵抗に食われたのでは堪らない。これでは音が死ぬのは無理もない。」

・そうか?

・100Ωで受けても、活気のある、躍動感も音の深さもある音、音楽が聴こえる。ような気がする。のは、駄耳のせい?

・勿論、820kΩで受ければ、活気のある、躍動感も音の深さもある音、音楽が聴こえる。また、ノイズが増えるということもない。

・100Ω受けにすると、やや柔らかみがある感じになるような気もする。

・が、どちらも良いのではないか。(爆)
・AT-ART9XA。


・これは直流抵抗&コイルインピーダンス=12Ω、推奨負荷抵抗100Ω以上。


・
これも100Ω受けにすると、やや柔らかみがある感じになるが、820kΩでも素晴らしく、どちらも良い。



・
「一部で「1M?受け」などが試されることがありますが、負荷抵抗が大きすぎると、カートリッジとケーブルが形成するループが雑音検出器のような働きをしてしまいます。具体的には、磁束の変化(ノイズ)によって流れる雑音電流が、大きな抵抗値によって大きな雑音電圧に変換されてしまい、S/N比が悪化します。ただし、音質変化として聞こえる(解像度が上がったように感じる場合もある)ため、中にはこの音を好む人もいますが、理論的には不利な接続です。」


・と、オーディオデザインの社長さんがおっしゃっておられるが、私のMCプリでは820kΩ受けでもノイズが増えるなどはない。


・適当なアース処理ではハムが出たり、外国の放送音声が聞こえたりするものだが
、この辺は、数十年来のノウハウ?で適切に処理しているつもり。
・AT33xMLB。

・これも直流抵抗&コイルインピーダンス=12Ω、推奨負荷抵抗100Ω以上。

・100Ω負荷でも820kΩ負荷でも生き生きとした躍動感溢れる素晴らしい音、音楽を聴かせてくれる。

・「MCカートリッジの微弱信号は100Ωに流れアンプ入力にはほとんど流れない。」

・? アンプ入力はFETで電圧を受け取っているので、信号がアンプ入力にはほとんど流れない、とは意味不明。

・多少の違いはあるのかも知れないが、この程度のことを鬼の首を取ったかのようにおっしゃるのは、要はコマーシャル?

・駄耳には、MCカートリッジの負荷抵抗は100Ωでも820kΩでもOK。

・よって、820kΩにスイッチで100Ωをパラにすることを、他のNo−248簡素型 MCプリアンプ with VICにも広げることは止めた。
・DL−301�U。



・コイルインピーダンス=33Ωだが、推奨負荷抵抗は示されていない。



・これも、100Ω負荷でも820kΩ負荷でも生き生きとした躍動感溢れる素晴らしい音、音楽を聴かせてくれる。
・DL−103R。

・コイルインピーダンス=14Ω、推奨負荷抵抗は示されていない。

・AT-OC9XML。

・直流抵抗&コイルインピーダンス=12Ω、推奨負荷抵抗100Ω以上。

・結果はこれまでと同じ。

・よって、結論。

・私の駄耳が証明された!?



2026年6月11日








その後の19



・ジャンクボックスの余り物で、No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプ兼光カートリッジプリアンプ用のAC電源を拵えた。



・所要の電源は既にあるが、まぁ、増設。
・電源トランスは、PHOENIXから入手していた余り物。
・回路はこう。



・LM317とLM337により、No−248もどき用の±22Vと、光カートリッジ用の±15Vを作る。



・電解コンデンサーの耐圧が80Vと無駄に高いのは、余り物だから。
・電源の違いでこんなにも音が変わるのか、とか言いたいところだが、何の違いも感じない。



・変わらず素晴らしい音。



2026年7月6日