すすむ&スケルトン


進工業の抵抗が使われるようになったのはいつ頃からだったでしょう。78年頃からでしょうか?この年に発行された「改訂版 最新オーディオDCアンプ」では各掲載アンプの部品表で既に進工業の金属被膜抵抗が指定されています。が、実際のパワーアンプの作例写真では進以外の抵抗が使用されている、といったところを勘案すると多分この頃に間違いないでしょう。

RE55QF(1/2W1%)として長らくお馴染みのススムの抵抗といえば写真中央のものです。「時空を超えた音楽再現 オーディオDCアンプシステム」の作例写真に見られるのもこれです。ところが同書のパーツリストでは「金属皮膜抵抗1/2W2%進工業」と記載されていますね。
果たして誤差は1%なんでしょうか2%なんでしょうか?

左右は丸に「ス」マークで多分中央のものより古いタイプだと思いますが間違いなくこれもススムです。「改訂版 最新オーディオDCアンプ」の作例に見られるのもこれのようで、部品表では「金属被膜抵抗1/4W1%または1/4W5%進工業」と記載されています。多分「RF」が1%で「RJ」が5%でしょうか。1/4Wはちょっと?です。
さて、となると真ん中の「RE」は2%のような気もしますがどうでしょう?
いや、「RE」じゃなくて「QF」の方に意味があるとすればやはり1%かな(^^;


史料提供M−NAOさん

上の段にあるものは「RJ」タイプとなりますが、「RE」タイプが10Ωから820KΩまでしかなかったのに対して「RJ」は10Ω未満の抵抗もありました。また、写真のとおり1MΩの抵抗もあったようです。

特に10Ω未満の抵抗はオフセットを初段のドレイン抵抗側でシリーズで調整していたGOA時代の必需品でした。

右は大きさが倍ですが1W型でしょう。何故か1W型は金田式では起用された例がありません。

下の段は、丸「ス」よりさらに古いのかも知れません。古い表記の進抵抗です。「SSM」がススムそのものですが音質差はどうでしょう?
真ん中下のススムには見えにくいですが、頭の部分にカラーコードが入っているそうです。





これはまた面妖な3本足の「RF」型120Ωのススムです。

言うまでもないですが左が表、右が裏。

なんと真中と両端の間がドンぴしゃりの120Ωだそうですが、これも由緒正しき1%の「RF」型なんでしょうね
(^^)

元祖抵抗アレイのような雰囲気で、半固定代わりに使えそうな優れものですが、ジャンク品に混じっていたものだそうです。

特注流れでしょうか?




さてさて、これまた悩ましいですね(^^;右も下も皆ススムですが、その昔ジヤンク屋さんなどで売られていたもののオンパレードだそうです。


右の写真、左上は勿論「RE55」で右上は5%の「RJ」、下真ん中は上にもあった「SSM」型ですが・・・左下に「RG」型、右下に「QF」型の新種(^^;が出てきてしまいました
それに上真ん中の「RF」型も2.21KΩ、右下の「QF」型も1.03KΩとは・・・そんな抵抗系列があったのでしょうか?

下の写真の「RF」型にも1.03KΩ、95.3Ωなんてのが写ってますから、案外「RF」型はもっと精密な抵抗なのかもしれませんね(^^;




史料提供izuさん
今度はみんな「RE」型でホッと一息といった感じですが、「RE55」の隣にあるのは「RE35」と言われる1/4W抵抗です。
金田式で1/4W型は起用されたことがないので「RE55」が消滅しつつある今でも「RE35」は未だ残っていたりするようですね。

ところで、ススムの金被抵抗ですが、「この抵抗も決して最良とは思えないが、入手できる抵抗を色々テストし悪い順番を決め、最後に残ったもの、つまり悪さの一番少ないものを使っているにすぎない」とMJ88年4月号のNo−103で金田さんは述べておられるのですが、もはや市場在庫も枯渇せんとする今になっても、なおススムを使い続けておられるのは果たして何故なのでしょうね(^^;

@ススムに代わりうる抵抗が発見できないため、市場在庫がないことは知りつつも音に対する拘りからススムを使い続けている。
A単に自己在庫があるので引き続き使っている。

なんやかんや言ってもいぶし銀の名脇役の代わりはそうそう見つからないようで(^^;

「音楽派」ならば自分で実験して何とかできるのでしょうが、「難聴派」にはなすすべもない状況・・・なんてちょっと困っているのですが・・・(同号記事を持っていない方には意味不明だったでしょうか(^^;)

「難聴派」はそもそも違いが分からないのだから何でもいいのだよ・・・と言われそう(^^;;



史料提供izuさん
また新種のススムですねぇ、マジマジ(。。)
「PB」型

その正体はなんと誤差0.1%のススムだそうです。
何に使いましょ(^^;;
イコライザーのNFB抵抗とかなら良いですかね。

さて、また脱線してNo−103に戻ると、ここで初めて抵抗の方向性の問題が取り上げられたのですが、抵抗の方向性の判定について、「人工加工度が大きいレコードでは録音による音楽破壊度が抵抗1個の音質劣化よりもはるかに大きいので判定が難しいことも多い。人工加工度が少なく、たとえマルチマイクでもミキシングのセンスが良く、音楽が保存されているのは1960年代後半から1970年代前半のデッカ録音でキングカッティングによるアンセルメ・スイスロマンドのシリーズ辺りに限られる。同じマスターでも最近のカッティングは話にならない」と述べておられますね。

DC録音テープもそれらのレコードもないので「難聴派」も当然か(^^;と安堵もし、逆に聴くべきものを持っていないのかと落胆もし(爆)



史料提供izuさん
ススムの抵抗は茶色!と思っておりましたら、青いのもあったんですねぇ。
音やいかに?といったところですが勿論不明です。

さて、進工業のRE55
残念ながらもう製造されていません。

風の噂では、進工業のこのタイプの角形金属皮膜固定抵抗器は 「プレ−トオ−ム」という名称で1964年に開発されたものとか。そして標準品RE55形(1/2W)の開発年度は1978年だそうです。
要するにここに登場したものは基本的にみな同じものと言えるわけですか・・・

じゃあ、もしかすると、「QF」とか「PB]とか「RJ」は温度係数と許容差表示ですかね。
 P=±25ppm、Q=±50ppm、R=±100ppm
 B=±0.1%、D=0.5%、F=±1%、G=±2%、
 J=±5%

とすれば、「SSM」のススムを除けば表記の意味が良く分かります。

「この抵抗も決して最良とは思えない」と評価されつつも20年以上にわたって金田式DCアンプの標準抵抗であり続け、貧乏人には音が良くてしかもその割にはとても安い抵抗、と、とても嬉しいものだったのでした。感謝、感謝m(__)m_




「抵抗の方向を入れ替えるとあきれるほど音が変わる。この方向性は抵抗体の構造や製造方法によって異なり、スケルトン抵抗で同様な実験をすると進工業の金属被膜ほど極端な差は出てこない。この異方性が顕著な抵抗ほどオーディオ用として完成度が低く、情報密度が低く、独特の音色を付加しやすい。」

と、「全ての抵抗をスケルトンに」したいほどの抵抗が福島双葉のスケルトン抵抗。

が、知っている方は知ってのとおりですが、これもはなからスケルトンではなかった訳で、以下はfusa客員研究員の報告です。(^^;


金田式アンプに福島双葉の抵抗が指定された最初の頃はRSUという磁性体の金被が使われていたのです。

上中
そして80年頃になると非磁性体ブームが起こり、非磁性体のRSAが登場。

下中
同じ頃抵抗の“外被”で音がうんぬんされようになり、RSAの塗装はその後光沢のあるものから、非光沢のものに変更されました。(この辺はどちらが先だったか記憶が曖昧)


ほぼ同時にスケルトンも登場、その後全てがスケルトン化されたのですが、当初スケルトン化されたのはNFB抵抗とアッテネッター抵抗用(?)680Ω、1.5K、5.6K(いづれも2W)だけでした。





そこで“貧乏DCアンプファン”は、当時手作りスケルトン作りに励んだ訳でして、昔を思い出して作ったものをオリジナルの下に並べてあります。(抵抗値は上下同じ)

一見、RSU、RSAとスケルトンの違いは銅キャップだけのようですが、よく見ると同じ680ΩでもRSAとスケルトンは螺旋の太さや切り方が変更されているようです。

また当時のスケルトンのグラスウール”皮”はだぶだぶで、直ぐに外すことができましたが、現在はピッタリしているので外すのに苦労するのはご存知の通りです。


さらに補足すると、RSUはキャップが磁石にバッチリつきますが、外皮を剥ぐとRSUと区別できないRSAは、たしかに磁石にはつかない非磁性体です。

ついでに、初期スケルトンの銅キャップは、正確には銅メッキキャップです。今もそうかな?