マ イ カ の 誘 惑

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双信電機のSEコンデンサー


「SEコンデンサーは10800チャンネルという多重通信の音声を送る搬送通信機器のフィルター用コンデンサーであり、主な用途が海底ケーブルの中継器や人工衛星である。使用周波数は60MHzという、オーディオには一見無関係と思えるほどの高い周波数だ」とMJ78年1月号で金田さん自身によりSEコンデンサーが紹介されています。


以来、この地球の大地が人類に与え賜うた高価で貴重な贈り物・マイカコンデンサーは
金田式DCアンプの動作や音を決定づける重要な役割を果たし続けていますね(^^)



「双信電機のコンデンサーに使われるルビー・マイカは、ヒマラヤ山脈の南部、インドのビハール州ギリディー地方の地下の花崗岩中にみられ、結晶はプロコルフィエフの「石の花」を思い出させる。


時間をかける事では、マイカ程たっぷり時間がかかっているものは他にないだろう。地殻の変動に伴い、地中の高温高圧化で、SiO4を中心とした四面体層のマイカの単斜晶形が成長する。その時間スケールは地質学的スケールである。


天然に産する物質をそのまま加工せず使って良い特性が得られるのはマイカしかない。低損失、高耐圧、高絶縁抵抗等の特性はマイカならではの優れた誘電特性だ。


ヒマラヤ造山活動の産物ルビー・マイカが地中の長い眠りからさめ、超現代的DCアンプで活躍するとは、何とも愉快な話だ。」




「SEコンデンサーの音の最大特徴は音楽的情報密度の高さだろう。1つ1つの楽音のニュアンスが明瞭で、演奏がわかりやすいだけでなく、音楽上の楽音のみならず、演奏者の呼吸や、楽器を持ち上げる音まで聞こえる。


オーケストラでは各パートの動きが手にとるように鮮やかになると同時に、楽器の組み合わせによる音色の変化がいっそう鮮明に再現されるようになった。特に歌うような旋律やハーモニーが良く、それでいて激しい野性的なリズム感もうまく再現する。


再生音のくせがさらに少なくなり音は全般に素直になり、いっそう生の音に近づいた。


定位はびっくりする程シャープである。今までは大体右よりにきこえた楽器が今度は右のどの位置かという事まではっきりわかる。同時に遠近感が更に出てきたので立体的な音場感と、その場の雰囲気がいっそう感じられるようになった。」





「高域特性の良さは低音楽器にまで影響し、低音楽器の質が生の音に接近し、姿がわかりやすくなってきた。勿論エネルギーも増えている。聞いていて楽しくてしょうがない。


ノイズが極めて少なくなっているのも大きな特徴だ。もち論、このノイズは楽音により誘発されるアンプの変調ノイズである。


コンデンサーにかけられる電圧変化によって電極が振動するのを極力押さえているので、振動による歪みとノイズが減ったのである。」




(出典:無線と実験1978年1月号)






SEコンデンサーは現在も双信電機で生産されているようで喜ばしい限りですが、かつてプリアンプのカップリング・コンデンサー用に製造されていた0.4μFのスタック型、シルバード型そしてSE型のケースマイカコンデンサーはさすがにもうないのでしょうかね?


一番上の写真がM−NAOさん提供のSE型
二番目の写真がスタック型です。
(どなたかシルバード型をお持ちでないでしょうか?)


このひとつ上と右の写真がSE型とスタック型を並べたものです。

こうして並べるとSE型は実にスリムであることが分かります。スタック型は高さはSE型に同じですが体積はSE型の3〜4倍ぐらいありそうです。多分、SE型が100WVであるのに対してスタック型は300WVであるためもあるのでしょう。

が、価格はそれに反比例してスタック型はSE型の1/3でした。


今や出番をなくして遊休化して眠っているこれらのケースマイカコンデンサーが多いのかも知れません。
が、これらのマイカコンデンサーは地球が与えてくれた素晴らしい贈り物であることを今一度思い起こして、もう一度プリアンプに使ってあげましょう、皆さん。そうすれば50KΩのアッテネータが使えまし・・・先ず実践すること!>自分。はい(^^;、次のいにしえの・・・で考えます。




ゼウスのケースマイカコンデンサーです。


「これが使われていた金田式は、最初期の物のはずです。
これとか、双信ケースマイカは、スチコンとパラるのがセオリー。実は、SE33000pFとパラに使うとなかなか良いです(^^ お安く手に入れば是非お試しを。」と史料提供はM−NAOさん。


そうですね。金田さんの一番最初のプリアンプではこのゼウスのケースマイカコンデンサーが使われていたように思います。が、当時わが田舎にはなくて、お金もなかったし、フィルムコンか何かで代用したように思います(^^;


いにしえの逸品です。