失われた魅惑のメタルキャン

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金田式DCアンプ=2SA607−2SC960
(A606−C959は放熱板が付かないだけで同じもの)

特に2SA607は差動アンプの2段目で電圧ゲインの殆どを稼ぎ出し、金田式DCアンプの音を決定する役割を果たしてきた。

近年の完全対称型で差動アンプの2段目に採用されても電流帰還をかけられカレントミラー的に使用されているのを見ると、そんな使い方ならJ77を使えよ!・・・とやや悲しい思いにとらわれるのは私だけか・・・

2SC960は勿論そのコンプリ。2SA607とともに出力段のドライバーとして、GOAでは2段目差動アンプのカレントミラーとして、ともに金田式DCアンプの中核的素子としての役割を担ってきた。

が、金田式DCアンプの歴史もそろそろ30年に近づき、彼の方の製作記事にかつて定番だった2SA607−2SC960が登場することもなくなりつつあるようだ。

ならば・・・、いにしえの・・・で復刻しよう(^^)。などど、No−139(もどき)やヘッドフォンも鳴る電池式完全対称型パワーアンプの系統に惹かれてしまうのは、やっぱり耳も心もオールドなせいだろう(^^;






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緊急展示!! 遂に発掘された旧型2SA607!



だからどうした!という意見も当然ありましょうが・・・

皆様のコメントをお待ちしています。




(発掘者M−NAOさん)

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期間限定?(^^; 緊急展示!!   

新型2SA606(607)−2SC959(960)三態!?




旧型に対し新型?はみな型番表示の「2S」がありません。

左の上下は裏のピン封入口が“黒” VS 右は封入口が“白”

上の左右は表の型番表示にマル“S”なし  VS 下は型番表示にマル“S”付き

へー。確かに三態の新型?2SA606(607)−2SC959(960)が存在しますね(^^;

他にもあるのでしょうか?

それはともかく、
知らない方が幸せ ということも人生にはよくありますが・・・・・・

漏れ聞くところによると、マル“S”はNTT御用達の通信工業規格品とか・・・?





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またしても緊急展示!! 間違いなく最古の2SC959!!

上の三態が霞んでしまいます・・・
こちらは間違いなく旧ロット・・・

特に左下の2SC959の足に注目!!

2SC984(知らない? では「選び抜かれた銘石達」を覗いて下さい)の足のように長い足なのです・・・

はじめて見ました(^^;
これは多分最古の2SC959では?


右下はやや新しい世代かと思いますが、上の二つも間違いなく↑の旧型2SA607と同じ世代のものですね。

いずれ30年以上前のものでしょう・・・





(発掘者izuさん)

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左は2SC1161。金田式DCアンプではレギュレーターの制御トランジスタやパワーアンプの出力段ドライバーとして不動の地位にある(あった・・・かな)。とうの昔にディスコンだが何故が未だに入手可能。だが、いつまであるかは不明。そして右の2SA653はそのコンプリだが入手は不可能に近い。

第一世代の金田式DCアンプの出力段ドライバーはこの2SA653−2SC1161が定番だった。その後A607−C960がドライバーとして多用されたが、それは2SA653が早くに入手困難になってしまったためであって、実は2SA653−2SC1161の方が・・・

「2SA653/2SC1161はドライブTrの名器だ。活気に溢れると同時にさまざまな演奏のニュアンスを再現し、歌手の表情まで想像できるほどだ。ブラスは吼えるような爆発音からささやくような柔らかい音を再現し、ベースはピッチによって、共鳴胴の音色変化まで明瞭にわかる。シンバルは透明に伸びきり、スティックの当たる場所の差も明確にわかる」

だそうでして(^^;;

MJ99年5月号のNo−154の真空管DCプリアンプ用レギュレーターの制御トランジスターとして2SA653が復活した、が、それは持っていれば、の話し。

共に型番の末尾にAの付く高耐圧版があったようだが私は見たことがない。どなたか持っている方いらっしゃいますか?




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これも同じく2SC1161なのだが、上の写真のものに比べたら雲泥の差で博物館にふさわしい。

先ずは右。Kランク・・・手に入りません。(手に入るよ、という方いらっしゃいましたら教えてください。)

が、驚愕は左。

NEC等の文字のデザインが違うだけではなく、ケースの表面仕上げが全然違うじゃないですか!何ですかこれは?

なんと、金田式アンプに使用され始めた頃のC1161はマークとケース表面仕上げが現在入手可能なものと少し違っていたそうです。

へ〜え、驚きました。

下に左のC1161の拡大写真を展示しました。じっくりご観覧下さい。




(史料提供fusaさん)



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何というか・・・高級感が漂っているような・・・(^^;






ところで、
1981年9月号のNo−56でこんなこともおっしゃっている。

「ドライブTrの2SC1161/2SA653のうち、2SA653が極めて入手困難だ。しかしなまじ他のTrを使うくらいなら、2SC960/2SA607を使って欲しい。他のTrならがまんできない音になるが、これなら、DCアンプのメリットを失うことはない。」

2SC1161/2SA653はやはり別格なんですよね


(史料提供fusaさん)

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おぉ〜!!

噂は聞いていたのですがやはり実在していたのですね、“2SA653A&2SC1161A”。
2SA653、2SC1161の高耐圧版?(多分)です。

ふ〜む。Rランクなんですねぇ。この字体は上のC1161と同じという感じですが、いつ頃のものなのでしょう。

まっ、今となっては「いにしえの頃のもの」ということで・・・

ところで、近年K先生の105V&100Vレギュレーターは何故か2SB502を使ったインバーテッドダーリントン接続が使われ、2SA653も活用できるということになっていましたが、ここは2SB502をわざわざインパーテッドダーリントンで使うぐらいなら、ダーリントンで2SC1161を使ったほうが余程良いのでは?というのがK式フリーク間ではもっぱらの評判でした。

ら、
最新のNo−176においてダーリントン接続で2SC1161が起用されました。やはり、ですかね。

で、今ひとつ。

No−174とNo−176はほぼ同じ構成ですが、何故か終段ダーリントンの前段がNo−174においてここは2SC960では駄目なので2N3766にしたとの解説なのにNo−176では2SC960。

この謎や如何?

折角レギュレーターにも2SC1161を起用することになったのですから、本体の終段ダーリントン前段にも2SC1161を起用した方が良いのでは?とK式フリークの皆さんは考えているのでは(^^;

このいにしえの2SA653A&2SC1161Aを眺めながらつらつらとそんなことを・・・

(史料提供 TAさん)


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NECの2SA614。このトランジスタが金田式DCアンプで使われたことがあることをご存じの方は少ないかもしれない。実は86年4月号のNo−90で一度だけ使用されている。

当時すでに2SA653は入手不可能で、その代わりに、記念すべき最初の電池式GOAパワーアンプで2SC1161のコンプリペアとして採用されたのがこの2SA614なのだが、実はこのトランジスタも当時実際のところ入手出来なかったもので、これも失われた幻のトランジスタという名称にふさわしいものだろう。

特性としては最大定格のVcboが−80V(A653は−150V)と低いぐらいで他はA653にほぼ等しく、fT=30MHz(A653は15MHz)、Cob=60pF(A653は100pF)と「高周波特性が優れており、2SC1161とペア特性が合う」と金田さんはおっしゃっている。







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ソニーの2SA762−2SC1431。

このコンプリペアが金田式DCアンプで信号増幅部に使用されたことはないと思う。

が、82年6月号のNo−65、AB級100W、7月号のNo−66、AB級180Wをはじめとして、GOA登場前80年代前半の大電流用超高速シリーズレギュレーターにおいて、2SC1431が3段ダーリントン接続制御TRの2段目TRとして採用されていた。

ソニーは他にも優れたトランジスタを製造していたと思うし、写真のとおり作りも良いものだったのだが・・・

いくら良いものでも時代と共に失われていくのはあらがいがたい宿命なのだろう。








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東芝の2SA969−2SC2239。

このコンプリペアも金田式DCアンプで信号増幅部に使われたことはないと思うが、上のソニーと同様に82年6月号のNo−65、AB級100W、7月号のNo−66、AB級180WのSWレギュレーターで内部基準電圧用の制御トランジスタに2SA969が採用された実績がある。

だけだと思っていたが、金田さんの「最新オーディオDCアンプ」(昭和56年発行第3版)の巻末資料ではA653/C1161の代替品として紹介されているそうだ。

ところが、81年6月号のNo−53で金田さんはあまり良いコメントをしていない。また、ご覧の通りケースの材質はいま二つだ。

「最新オーディオDCアンプ」って版によって内容が少し違うんですね(^^;。手元には改訂版の昭和53年5月10日第1版しかないのですが、この辺詳しい方いらっしゃいますか?




(史料提供fusaさん)

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目映いばかりの黄金色に輝く純金製(^^;;の2N3741。使用するのがもったいないので金庫の中に大切に秘蔵しています(^^;。

あの幻の日立2SA566の代用として使われたのがモトローラの2N3741だが、そのモトローラ2N3741すらとうに製造中止。なんということか・・・。

じゃぁ、これは何だ?

「S」のマークに見覚えがありませんか?

そう。何と2N3954でお馴染みのあのソリトロンの2N3741なのです。

ケフィスさんが個人輸入されたものです。

軍用らしく耐久性、信頼性向上のため黄金色に輝いているのでしょうが、これに比べると上の東芝は古いこともあるけどやや惨めですね。




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モトローラの2N3766と2N3741

89年10月号のNo−112のターンテーブル制御アンプで、「入手が不可能に近い」2SC1161と2SA566に代わり±17.5Vレギュレーターの制御TRとして採用され、以来これら名器の代替品の地位に付いた。

が、これらもすでに製造中止・・・

もはや代替はない・・・。

時は去ったのだ。

時は誰にもある大切なものも奪っていく。







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おお〜ぅ!な〜んと!これは・・・日立の2SA566じゃないですか!!本物ですか?ここにあるなんて眉唾かな?・・・夢かな? 顔をつねってみて(^^;;

もう既に20年も前にテクニカルサンヨーのパーツセットで何とか入手出来た状態で、その後は本当に失われたトランジスタがこれでした。

金田式DCアンプ登場時のレギュレーターは723CEを使用しその−側の制御TRは2SA653だったのですが、ほどなく誤差増幅部に709CEが採用されるとともに2SA653に代わってこの2SA566が起用され、
以来、レギュレーターがディスクリート化され、プッシュプル化されと目まぐるしく進化しつづけた歴史の中でも制御トランジスタは(やむを得ず2N3766−2N3741を代用するまで)変わらずに2SC1161−2SA566が使用され続けたのですが・・・、なかったんですよね2SA566が。

そんなTRも金田式DCアンプの歴史ではレギュレーターの制御部使用のみに甘んじていなければならなかったのも数奇です。「2SA566はこのクラスのTR中特にfTが高くCobが小さい。2SC1161とコンプリの2SA653よりも音は柔らかくきめが細かく、しかも超低域がスムーズに出る。面白いことにパワーアンプの出力段のドライブTRを2SC1161−2SA653から2SC1161−2SA566の組み合わせに変えると、今度は味もそっけもない、つまらない音になる。やはりコンプリメンタリー動作には特性の揃ったペアーが必要なのだ。」と、最初に金田さんの結論が出ていたのですが。

じゃあ、これとコンプリの2SC680を使って2SC680−2SA566をドライブTRにしてパワーアンプを鳴らしてみた、という方いらっしゃいませんか?ちなみに私は2SC680は見たこともありません(^^;



(おまけ)


2SA566のコンプリの2SC680。
日立のマークが付いていて「2S」も省略されているんですね。

これが金田式DCアンプで使われたことはありませんが、名石2SA566のコンプリTRということで参考展示します(^^;

(史料提供:ちぶる星人さん)