電流正帰還・バッテリードライブ完全対称型パワーアンプ
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作っても使ってもいけないアンプ?(^^;)
・時来たれり。 ・故に、10年前に作った右の電流正帰還・電池式完全対称型パワーアンプが改変の仕儀となった。 ・こんな感じだったものを、 | ![]() |
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・こんな感じに。 ・ちょっと複雑になったが、 ・@リチウムイオンバッテリーを電源として使おうというのが、そもそもの趣旨。 ・Aそうすると、電流正帰還型は私のような素人は作っても使ってもいけないアンプなので、保護回路なしでは不吉である。ので、No−209と同様の保護回路を導入することにした。 ・Bそうすると、終段には電流制限の保護回路の一部として0.22Ωのエミッタ抵抗が付加される。その結果、エミッタ抵抗の電流帰還作用でオープンゲインがやや減少する。また、この際クローズドゲイン設定を最近作った私のバッテリー式パワーアンプ達に合わせて約22倍と少し大きくしたい。ということからオープンゲインを少し大きくすることとし、そのために初段を2SK30AGRから2SK117BLに変更し、終段入力のベース抵抗(ブートストラップ抵抗)も220Ωから330Ωに変更した。 ・Cさらに、“元祖(自称(^^;)電池式完全対称型DCパワーアンプ”で書いた理由により、位相補正を従前の2段目入出力間のミラー効果型から2段目入り口のステップ型+終段入出力間のミラー効果型併用タイプに変更した。 |
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・Dところが、Bの結果、β回路が従前の高インピーダンス(クローズドゲイン設定を少し上げて当初は560kΩ+27kΩとした)のままでは、位相補正を如何にしても超高域発振が止まらない。やはり、β回路のインピーダンスが高いのは吉ではない。結局、β回路を6.2kΩ+220Ωという低インピーダンス、と言うか非反転動作ならごく普通の設定に変更し、超高域発振の発生を解消した。 ・Eしかしながら、そうするとパワーアンプの入力インピーダンスが220Ωになってしまい、前段のプリアンプ等にとっては負荷として重すぎて実用的でない。なかなか反転型は難儀なものだ。で、2SK117BLによる定電流負荷のソースフォロアバッファを入力に追加した。これで高入力インピーダンスを確保すると共に、反転入力部の低インピーダンスに対応する。が、2SK117BLソースフォロアバッファの出力インピーダンスは当然0Ωではなく1/gmで、この場合100Ω程度のレベルになる。当然これもβ回路の入力抵抗側に反映される。実はその結果が6.2kΩ+220Ωの定数設定となっている。要すればβ回路は実質6.2kΩ+320Ωであって、結果クローズドゲイン設定は19.4倍程度になる。 ・Fこれで改変作業終わりと思ったのだが、さらにおまけのトラブルだ。なんと2SK117BLは15Vの電源電圧でもゲート漏れ電流が多く、ゲート抵抗820kΩでは実用にならないのであった。(爆) そこで、2SK117BLのドレイン側にツェナーダイオードHZ9C1を挿入し、ドレイン−ソース間電圧を6V程度に下げて解決した。 ・という経過でこうなった。 ・なお、バッテリーチェック回路の共通エミッタ抵抗値を56kΩとしてある。近頃のLEDの高能率化は凄いものだ。 |
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・初段ステップ位相補正の定数については、方形波応答も観つつ、音も聴きながら240Ω+6800pFの組み合わせに決めた。 ・その観察が下の写真等だが、順に上から、ステップ位相補正が120Ω+6800pF、240Ω+6800pF、そして510Ω+6800pFの場合で、左が10kHz方形波応答で右が100kHz方形波応答。 ・写真は2現象で下が入力波形で上が出力応答波形。この場合、全て無負荷である。 ・写真下にあるのは、LTSpiceの占う同条件での方形波応答波形。 ・入力が±1Vp−pなので、出力は±20Vp−p程度であり、これで殆ど最大出力である。 |
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10kHz 位相補正120Ω+6800pF 20uS/div 下0.5V/div 上10V/div |
100kHz 位相補正120Ω+6800pF 2uS/div 下0.5V/div 上10V/div |
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・初段ステップによる位相補正は、低域での位相回転と高域での位相回転戻しがセットである。この方形波応答に現れている立ち上がり、立ち下がりのオーバーシュートは、低域での位相回転によるもので、高域での位相回転を戻す作用のいわば副作用である。が、結局これによって高域の利得交点周波数付近で位相回転が戻り位相余裕が確保されているものなので、これはある程度やむを得ない。この結果、利得交点周波数付近での位相余裕が適切なことは、オーバーシュートが鈍い角度の一波のみでリンギングが生じていないことから分かる。したがって、この状況でも位相補正の設定は適切である。 |
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10kHz 位相補正240Ω+6800pF 20uS/div 下0.5V/div 上10V/div |
100kHz 位相補正240Ω+6800pF 2uS/div 下0.5V/div 上10V/div |
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・6800pFにシリーズのRの値を増やすと、低域での位相回転を減らすが一方高域での位相戻しも減らす。ので、Rを240Ωにしたこの場合、低域での位相回転の結果であるオーバーシュートは減るが、高域の利得交点周波数付近での位相戻しも減るので、その付近での位相余裕も上の場合より減っていることに留意しなければならない。が、シミュレーション及び実機の応答でも、立ち上がり、立ち下がりのオーバーシュートが減っただけで、リンギングはなく、高域の位相余裕はまだ大丈夫そうだ。 |
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10kHz 位相補正510Ω+6800pF 20uS/div 下0.5V/div 上10V/div |
100kHz 位相補正510Ω+6800pF 2uS/div 下0.5V/div 上10V/div |
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・Rを510Ωともう少し増やした場合だが、立ち上がり、立ち下がりのオーバーシュートが一層減って、LTSpiceのシミュレーション占いではリンギングもなく最も妥当な設定に思える結果である。が、実機の応答では100kHz方形波応答で明らかなようにリンギングが生じている。これは利得交点周波数付近での位相余裕が減ったことによるものであり、この利得交点周波数付近での位相余裕の減少の方が発振に近くて怖い。音的にも、刺々しく激しい感じの音になる。ので、不採用。 |
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・と言うわけでかなりの部品を追加したのだが、幸い既存の基板上に多少余裕があったお陰でアンプ部の追加部分は既存基板内に収まった。 |
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・また、追加した保護回路部は勿論新たに基板を作成したのだが、これはフロントパネル上側フランジに取り付けることで上手くケース内に格納できた。 |
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