BATTERY DRIVE

電流帰還型 DC POWER AMP 作ってみる






・ある日ジャンクボックスをガラガラしたら出てきた。

・裏側を見ると「B」と「E」の刻印がある。ロット表記等も勘案すると1970年と1971年のものだろう。使われた痕跡もなく、40年間未使用のようだ。

・縁あって我が家にやってきたものだが、このまま
朽ち果てさせてしまっては不憫。

・持ち主の方もいつ朽ち果てるかも知れないし。(爆)

なので、式が完対後永らく停滞する徒然にジャンクボックスに眠るこれら同様の境遇のものを使ってパワーアンプを作ることにしたのだった。
・で、回路はこんな感じ。

K式にいわゆる“対称モドキアンプ”ではあるが、この際最もシンプルな部類の電流帰還型DCパワーアンプに退化してみる。

・出力段の2SC2705、2SC5200、2SA1145、2SA1930は、実際に起用する素子のモデルがないのでLTSpice上で代用したもの。実機ではここにジャンクボックスで眠っていた古石の2SC1161、2SD388、2SA653(2SA614)、2SB541を起用する。

・よって、位相補正のC1=60pFは2SC1161と2SA653のCobを想定したもの。したがってこれで位相補正が適切ならば、実機ではC1は不要の予定。


・β回路の抵抗の組み合わせが33Ωと680Ωと、最近作ったバッテリードライブパワーアンプ達の1/10となっている。のは、もちろん電流帰還型であるため。

・R11のブートストラップ抵抗を付けて「不完全対称型」にしてある。

・電源はリチウムイオンバッテリーとする。
・LTSpiceが占うその利得−周波数特性はこう。

・赤がオープンゲイン、青がループゲイン、緑がクローズドゲインである。オープンゲイン(赤)とループゲイン(青)は上から負荷50kΩ(無負荷相当)、64Ω、32Ω、16Ω、8Ω、4Ωの場合である。

・オープンゲインはブートストラップ抵抗のR11で調整可能だが、ここを2.2kΩとして適切なオープンゲインとする。というか、最近作った他のバッテリードライブパワーアンプ達と同程度のオープンゲインとする。

・これでK式で言うところの速度型モーショナルフィードバックが掛かる特性となっている。

・また,ループゲイン(青)が0dBに沈む利得交点周波数は私のような素人には適切とされる3MHz以下を満たしている。し、クローズドゲイン(緑)の1MHz近辺での減衰カーブもなだらかで、位相補正が適切であることも分かる。

・ので、これで良いのではないかな。

・参考までに、このブートストラップ抵抗を取り去ってみる。
・と、この場合でもK式で言うところの速度型モーショナルフィードバックが掛かる特性になっている。

・ので、これでも良いのかも知れない。(爆)
・次に8Ω負荷時の全高調波歪率を、基本周波数1kHz、電源電圧±15V、出力1Vr.p.m(0.0655V入力)の場合と、電源電圧±20V、出力10Vr.p.m(0.655V入力)の場合でLTSpiceで占う。
出力1Vr.p.m(0.0655V入力) 出力10Vr.p.m(0.655V入力)
・Total Hermonic Distortion: 0.020277 %
・Total Hermonic Distortion: 0.050778 %
・結果は、最近作ったバッテリードライブパワーアンプ達と同程度。
   
・早速作ってみる。