初めてDCアンプ試聴会に参加する の記
 
2004年12月4日(土) 河内スタジオin秋田

(2004年12月8日記)


・2004年12月4日土曜日、9時45分。天気は取りあえず晴れ。私にとっては初めての金田先生のDCアンプ試聴会に参加するため、愛車を駆って一路秋田へ向け出発したのだった。(^^)

・東北縦貫自動車道を北上し、北上ジャンクションから秋田自動車道に入って大潟村を目指してひたすら走り続ける。

・う〜ん、なかなかに大潟村は遠い.(^^;

・秋田自動車道は対面通行部分が多く制限速度が70kmというのも想定外だった。2時間ぐらいで着くんじゃないかなぁ・・という適当な予想はとうに外れ、時計はもう12時を回っている。う〜ん、遅れそう。 って、ちゃんと距離計算しないで出てきた自分が悪い。(^^;

・それでもなんとか大潟村に着いた。が、今度は河内スタジオを見つけるのにちょっとばかしシックハック。何せそれはごく普通
(ではないか(^^;)の住宅街の一角に存在していたのである。場所教えてくれたお孫さん連れの大奥様、ありがとうございました。m(__)m

・結局出発から3時間を経て12時半の開会に20分も遅れてなんとか無事到着した河内スタジオ。 やれやれ(^^;

・で、スタジオの玄関を入ると、なんとMJ誌の写真でしかお見受けしたことのない金田先生がそこに・・・。あやややや・・・、なんと挨拶したものか・・・とドギマギする間に、「どうぞ前の方が空いていますから」と先生直々に案内されてしまって会場に入ったのだった。いや〜恐縮至極。冷や汗たらたら(^^;




・う〜ん、これは凄い。スタジオに入った途端目に飛び込んできたオールホーンの4ウェイスピーカーシステム。その偉容たるや・・・ひれ伏さんばかり。(^^;

・この2つ合わせれば我がリスニングルームより広い投影面積がありそうな低音コンクリートホーン、金田先生が図面を引かれ、畑名人が製作されたものとのこと。ミッドロースコーカーと写真上にちょっとだけ見えているツィーターはオンケン製と思われるが、ミッドハイスコーカーも、そしてそれらホーンのおき台も畑名人製作とのことで、しかも今日はその畑名人もいらっしゃってました。

・あぁ、我がリスニングルームも畑名人に作ってもらえたらなぁ・・・。先立つものないけど(^^;

・コンクリートホーンの左上に載っているのが本日第1部のドライブアンプ群。今回はハイブリッドアンプと真空管アンプの聴き比べがプログラムされ、第一部はハイブリッドプリアンプに5702+大電流型MOS−FETパワーアンプの組合せとのこと。

・で、奥の方にはスコーカー以上用として、昨年発表されたNo−172とおぼしき5702+大電流型MOS−FETパワーアンプが3台並んでいる。が、手前に置いてあるコンクリートホーンドライバー用のハイブリッドパワーアンプはとっても妖しい。

・何せこのコンクリートホーンのドライバーは4パラ接続で2Ω負荷。故に今回はウーハーだけはこの5702+大電流型MOS−FETのハイブリッドパワーアンプを全体を通して使用とのこと。が、電源トランス一体型で大きな放熱器を外出しにしたNo−180と全く同じ外形のタイプで5702+大電流型MOS−FETパワーアンプって?、覚えがないよなぁ。(^^;



・スピーカーシステムの全景。スピーカー中央で作業されているのが今回の重要人物左から高橋さん、河内さん、そして後ろ姿の金田先生。

・ちなみに左チャンネルのコンクリートホーンの上にはNo−172のモーター制御アンプでドライブされるテクニクスSL-1200MK3DとハイブリッドDCプリアンプ及びオールWE真空管DCプリアンプが乗っている。

・常識的にはスピーカーの上にアンプはもとより、ましてターンテーブルを乗せるなどもってのほか。なれど、「このコンクリートホーンはけた外れの剛性を有しているのでこんなことが出来るのです。」と金田先生。

・ついでながら、テクニクスSL-1200MK3Dはアームもそしてシェルも4PLではなくオリジナルのままのよう。が、103からシェルのコネクタ端子までは7本縒り線が半田付けで張られておりました。アーム内? 不明(^^;

・“スターウォーズ”、“アルプス交響曲”、“ロミオとジュリエット”、“レクイエム”など「DCアンプで再生するアナログ・ディスク(K先生愛聴版!?)」のレコードが次々に繰り出され・・・。

・その音はやはり超弩級。体を芯から震わす低音をベースに超低域から超高域まで変わらぬトランジェント性能で実物大に表現する実にあからさまな音。

・こりゃあオールホーンをDCアンプでドライブしなければ出ないわなぁ・・・と。(^^;


      

・プログラムはクラシックとジャズが半々で、ジャズは金田先生のお仲間で相当のジャズフリークとおぼしき高橋さんが担当されました。そのお話はジャズへの深い知見に基づく示唆に富んだもので、とても楽しく引き込まれるばかり。

・左は、現代最高の技術を取り入れて製作したと謳う再発版と“いにしえ”のオリジナル版についてのお話のひとこま。手にされているのは“MY FAIR LADY”の新旧2枚。その他数枚をこのテーマで試聴。

・わたくし的な感想では、再発版は残念ながらどれも情報量が薄く、その薄い情報量で何とかすべくエッジを立てるなどしてハイファイ感を強調した感じ。が、比べてしまうとどれもオリジナル版の方が情報量が豊富で勝負は明らかなのだった。やはり時代を経てマスターテープが劣化してしまうのか、レコードへの編集能力やカッティングシステムが退化したのか。う〜ん、レコードの場合はオリジナル版の意味というものがあるんだなぁ・・・。

・で、ビッグバンドジャズでもあのスイング感を再現するには低音ホーンを導入すべし、とおっしゃる。金田先生も本物のオーケストラが奏でる低音を再現するにはこれしかないんですよね、とおっしゃって、う〜ん、それは出来ればそうしたいがそのためのスペースと先立つものが・・

・と、口には出さねど顔に出している聴衆に向けて高橋さんからのとどめの一発。

「情熱です。その気さえあれば6畳間にだって低音ホーンは入ります。そうやっていた仲間もいます。」

・が〜ん。そうか。そうだよなぁ・・・。
 と、低音ホーンの導入を決意した方がいるかも。(^^;


         

・が、歯に衣着せぬこの音はいかにも金田式DCアンプとホーンの組合せではあるけれど、後はスピーカーの規模で実物大になるか少しばかりミニチュアになるかではないかなぁ、とも。

・で、まぁ、取りあえず我が家で出ている音も金田式アンプの音の範疇だよなぁ、と自分の製作したアンプのことを思いちょっとばかしは安心もしたのだった。(^^) ← いや、大いなる勘違いかもしれないが、こう思わないと・・・(^^;

・左はお集まりの皆様。これ休憩時間直後のものなのでちょっと少なく見えるが実はまだ外にも多数いらしゃっていて総勢50〜60人だったのではないかと。

・奥様
(ですよね(^^;)同伴の方も多数。オーディオに理解のある奥様は最高です。な〜んて(^^;

・当HPを閲覧されている方で、「お、自分が写っている」という方はどうぞ掲示板で名乗りを上げて下さい。(^^;


          

・わたくし初めて生の金田先生を拝見させて頂きました。ご尊顔を拝謁し恐悦至極に存じ奉ります。m(__)m

・初めて金田先生の生のお話をお伺いし、やはり先生の目標とされるところは良い音楽を良い音楽のままに聴くことであるのだなぁ・・・と再確認。良い音楽そして良い演奏に対する評価と共感、これを試聴会に参加した人と分かち合いたい。というのが試聴会開催の目的であるのだなぁ、と。

・左は火の鳥。ドラティ指揮ロンドン交響楽団のものかと。向かって左が45回転版で右が33回転版なのだそうで、先生としては33回転版の方が音楽的バランスに優れていると思うので33回転版を聴きましょうと。私が言うのもなんですが、これがなかなか素晴らしく実にその演奏が終わって会場からは拍手の嵐が。(^^)

・実はここでは会場はすでに第二部に移行しており、パワーアンプが5702+バイポーラTRのハイブリッドに交代済。多分最新のNo−176とNo−178と思われ、No−176の2台がミッドハイスコーカーとツィーターに、No−178がミッドローのスコーカーに起用されたよう。ウーハー用は引き続き大電流型MOSのハイブリッド。

・私の感覚としては、MOSからバイポーラTRに替わって音には爽快感が加わったよう。少しく軽やかになった感じ。この辺の感覚は我が家における感覚と一緒だなぁと。好みの問題なれど私としてはどちらかというとこちらの方が良いように思えました。

・さらに第2部の途中でプリアンプがハイブリッドからWEの403Bと396Aの真空管式にチェンジされたのですが、これにはちょっと参った。

・何故?って、さらに人肌の暖かみのような感覚が出てきて・・・う〜む、いずれ作るしかあるまいと。聴かなければ良かった!?(^^;


・第1部、第2部の間、右コンクリートホーン前の脇の方に無造作に置かれていた真空管パワーアンプ群。ウェスタンの421Aが4本乗ったものが3台にロシアの6C33C−Bが4本乗ったものが1台。

・その作りは非常に綺麗、とMJ誌上でどなたかがおっしゃってましたが、間近に拝見するとまさしくそうで、放熱用の穴一個一個も実に丁寧に綺麗に開けられていました。

・う〜ん。これ1台でいいからもらえないかなぁ。(^^;
               

・第3部はオールWE真空管による試聴。左は金田先生自らコンクリートホーンの上に上がって機器の接続をされているところ。ただし2Ω負荷のウーハーだけは真空管OTLでは無理なのでここだけは引き続きハイブリッドMOS−FET。写真右が勿論ハイブリットMOS−FETパワーアンプで外見はバイポーラTRを起用したNo−178にうりふたつ。

・この写真でもコンクリートホーンの大きさとそのけた外れの剛性が伺われます。金田先生もこのスタジオで一番剛性が高いのがこのコンクリートホーン(の上)とおっしゃっていました。当然大地直結。

・やはり38cm×4発のエネルギーを受け止めそれに何も足すことなく引くこともなく空中に放射するのはこの剛性の成せる技かと。

・今回の試聴音量レベル、我が家でこれだけの音を出したら家中が振動してしまうわなぁ。要は器が違うということ。(^^; 



         
   

・これが30周年記念試聴会でも使用されたということでその存在は明らかになっていたものの未だ発表されていないウエスタン435Aと421Aを組み合わせた真空管パワーアンプかと・・・。まさしく435Aと421Aが鎮座しておられる。

・今日はこれがなんと3台。

・同じくウエスタンの真空管プリアンプと組み合わせた音は・・・DCアンプのしっかりした音の骨格はそのままにビロードのような滑らかさ、きめ細かさが一層秀でていて、醇にして凛。

・ボストン交響楽団、コリン・デービス指揮シベリウス交響曲第5番、ロサンゼルス・フィル、メータ指揮のマーラー交響曲第3番と、ウエスタンの真空管による金田式DCアンプは、4ウェイオールホーンによるシステムと相まってその神髄が遺憾なく発揮され・・・

・う〜ん、真空管かぁ・・・

・あぁ、またしても聴かなければ良かった!?(^^;





・河内スタジオのオーナーであられる河内さん。

・今日の会場提供等大変ありがとうございました。m(__)m

・菅野氏録音のレコードと神成氏録音のTBMのレコードで、間接音も重視した録音と極端なオンマイク録音の対比を聴かせて頂き、案外外国のジャズミュージシャンからは後者的録音を依頼されることが多い、とのお話も。で、その訳は?・・・(^^;

・河内スタジオで録音されたCDも「売るほどあります」とのこと。で、皆さんどうぞ河内スタジオのHPにアクセスの上お買いあげのほどを。(^^)
               

・本日残念ながら出番のなかった418A+6C33C−B真空管パワーアンプ。事前の調整でやはり真空管を統一した方が良いとの結果だった故とのこと。

・さて、最後に初めてDCアンプ試聴会に参加しての正直な感想もひとつ。

・それは、レコードではもう限界ではないかな、ということ。金田式DCアンプも4ウェイオールホーンシステムもレコードを再生する器としては余裕がありすぎる感じもあって、逆にレコードの器としての限界がはっきり感じられたということ。

・スクラッチノイズやサーフェスノイズは当然のこと、機械的に音を拾うということに起因すると思われるある種の破れ感はどうしても禁じ得ないし、周波数帯域もやはり現代的とは言い難い。

・というのは当たり前かもしれない。音楽的情報量が激減しているレコードではどんなに努力しても原音に近い音は永久に出ない、と遥か昔に先生の断が下っているものなのだから。

・ならばDCマイクでアナログ録音されたソースが良いのかもしれないがそれは一般的ではない。となると他にはCD等のデジタルソース以外にないのだが、その意味では今回出来ればCDも聴いてみたかった。でないと、「レコードからこれだけの音が出るとは・・・」という評価で終わってしまう。のではないか。と。

・な〜んて思うのはデジタルに聴覚破壊された者故の感想かもしれない。(^^;  が、DCアンプに“デジタルとの歴史的和解”の時は来ないのだろうか。


・さて、楽しい時はあっという間に過ぎてゆき、予定を1時間以上もオーバーして河内スタジオでのDCアンプ試聴会はお開きの時を迎えた。

・引き続き開催される金田先生を囲んでの懇親会には参加したかったが、明日は朝から仕事が待っていて今日中に帰らざるを得ない身にはもう時間がない。

・後ろ髪を引かれつつも、金田先生、河内さん、高橋さん、その他多数の金田先生のお仲間の皆さんのご尽力とご好意に感謝し、大潟村を後にしたのだった。









追伸(2005.3.13)

当掲示板に情報提供がありましたとおり、当日金田先生が使用されたレコードは以下のようです。ありがとうございました。


ジョン・ウィリアムス/スターウォーズ メータ指揮ロスアンゼルス・フイル キング SLA1160
R・シュトラウス/アルプス交響曲 ショルティ指揮バイエルン放送響  ロンドンL20C−2028
プロコフィエフ/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団 日本キングSLC1292
フォーレ/レクイエム フルネ指揮ロッテルダムフィル 日本フィリップス X−7565
ストラビンスキー/火の鳥 ドラティ指揮ロンドン交響楽団 米 Mercury SR90226
シベリウス/交響曲第5番 デービス指揮ボストン交響楽団 日本フィリップスX−7554
マーラー交響曲第3番 メータ指揮ロスアンゼルス・フイル キング SLA1231/2