No−196(もどき)製作記




実に久しぶりにレコードを聴く。(^^;

今夜は金田式ターンテーブル制御アンプでドライブするSP−10mk2で。
回しているのは下のレコード。

“This One’s For Blanton”

いいなぁ。。。(爆)(^^;

いつものことだけど、音が実に新鮮で実在感や雰囲気感が素晴らしく、目の前で演奏を聴いているかのごとし。(^^)

レコードからこれだけの音が出るなんて、今や分かる人も信じる人もごく限られているのだろうなぁ。。。

まったく、これがある限り音楽人生は幸せだわい(^^)
が、と言って、CDを聴かないというわけではない。(爆)(^^;

ので、写真にはCD版も映っている。

しかして、今の我が家のCDプレーヤーは下のもの。
DAコンバーターunitにはBBのPCM1704が使用されている。

実はこれもなかなかに素晴らしい音を出すのである。
わたし的にはレコードと比較してもほぼ不満がなく、ほとんど両雄並び立っている。(^^)

果たして新しいDAコンバーター。
これの音を遥かに超えて、と言うことは、金田式ターンテーブル制御アンプでドライブするSP−10mk2で回すレコードの音を遥かに超えて素晴らしい音を出すものなのだろうか。

早く作って聴いてみたいのだが、なかなかその暇がない今日この頃。(爆)(^^;

2008年4月4日記                                                      

さて、
さて、さて、
DSCユニットを代表としてその動作を観る。

ただし帰還回路の470pFを外し(この場合は外さなくても同じなのだが)、非反転側だけにシグナルを入力したボルテージフォロア動作でのもの。
差動入力で見るのが正しいとは思うのだが、発振器がシングル出力なので。(^^;
もちろん一次フィルタを構成する入力側の470pFのコンデンサも外しておく。外さないとこの観察の意味がない。

写真の下が入力波形で上が出力波形。
まず10kHzの正弦波と方形波。
もちろんこれは初段ステップ位相補正が680Ω+510pFと指定どおりでのもの。
う〜ん。。。さすがに今回はオーバーシュート、アンダーシュートが全く見られない。私の作ったK式では初めての経験。(^^;
何も問題がない。この結果からすると位相補正の適正さを観るには10kHzの正弦波と方形波では周波数が低すぎる。
ので、周波数を上げて次は100kHzの正弦波と方形波。
おっ。正弦波では何も分からないが、方形波応答ではちょっとした違いが明らかだ。
100kHz方形波の立ち上がり立下りの肩部分に僅かながら暴れがある。
これはMHz超の領域で周波数特性がやや暴れていることを示すものだ。
まぁ、この程度なら全く問題はないだろう。が、必ずしも最適ではない。
そこで、物は試しでもあるし、ステップ位相補正のC:510pFを150pFにしてみる。
正弦波応答では何も分からないことが明らかなので、方形波応答のみにする。
左がその場合の100kHz方形波応答だが、出力波形において上のC:510pFの場合に見られる立ち上がり立下り部分の暴れがない。実に良好な方形波応答だ。
右は1MHzの方形波応答。発振器が安物なので発振波形自体三角波の如くになまっているが、見るべきは出力の応答波形。
非常に良好な応答波形で、この領域でこのような応答は至極適切な位相補正状態であることの証左。ということになる。
ステップ位相補正は680Ω+150pFにしたくなるなぁ。(^^;

が、1MHzの方形波応答を良く観ると、出力波形の位相がやや遅れていること(0.05uS程度)と、出力波形の立上がり、立下りの方が入力波形のそれより急である(見た目では出力波形のカーブがやや膨らんでいる)ことが分かる。前者は当然だが、後者はこのMHz超領域のある領域でゲインの盛り上がりがあることを示すもので、位相補正の適正度をある意味表現している。
まぁ、これもこの程度は殆ど問題にすることもないものだとは思うが。
で、初段ステップ位相補正のCの容量を変えた場合どうなるのかを観てみる。(^^)

まずは680Ω+100pF
100kHzと1MHzの方形波応答。

1MHzの方形波応答において、出力波形の立上がり、立下りの方が入力波形のそれより急である(見た目では出力波形のカーブがやや膨らんでいる)ことがより明確だ。カーブの膨らみ方も何か折れ曲がったような感じだ。これは周波数特性がわずかに波打った状態にあることを示している。位相補正的に観るとC=510pFの場合はもちろん150pFの場合よりも、やや適切さを欠く方向になったということだ。
そこで次はステップ位相補正、680Ω+200pF
100kHzと1MHzの方形波応答。
1MHzの方形波応答で、やはり出力波形の方にふくらみがあるが、100pFの場合のような折れ曲がり感はなくなった。が、150pFの場合と比べてはどうだろう。微妙でよく分からない。(^^;
では次はステップ位相補正、680Ω+300pF
同じく100kHzと1MHzの方形波応答。
う〜ん。1MHzの方形波応答ではより入出力の相似度は増したように見えるが、どうだろう。
ただ、100kHz方形波応答の方では出力の肩部分が微妙に盛り上がっているように見える。
これだとどちらがより妥当なのか。(^^;
で、もう一度680Ω+510pFについて観てみる。
ありゃ、今度は100kHz方形波応答の肩部分の暴れがなくなってしまった。(^^; 観測時のちょっとした条件の違いによるものかな。。。(^^;
まぁそれはさておき、100kHz方形波応答の肩の部分の微妙な盛り上がりは300pFの場合より大きいような気もする。1MHz方形波応答の方の300pFの場合との違いは微妙で判然としない。
まぁ、多少の違いはあるが、ここまでの観察では初段ステップ位相補正のCについては、150pFから510pFならまず問題はないという感じ。ではある。(^^;
この際、IVC部も観る。

IVCは電流入力なので電圧出力の発振器をそのまま繋いでは何も分からない。ので、IV変換抵抗と同じ抵抗値の抵抗を反転入力にシリーズに接続してそこから発振器出力を入れることで電圧ゲイン0dBの反転動作で観る。また、一次フィルタを構成する2200pFのコンデンサは外しておく。外さないとこの観察の意味がない。

こちらは反転動作なので入出力の波形は当然逆相になるいのだが、見やすくするためにここではオシロ側で一方を反転してある。

まずステップ位相補正なし。
100kHzと1MHzの方形波応答。
位相補正なしでも動作には問題がないことが分かる。が、100kHz方形波応答でもその立ち上がり立下り部部分に僅かに暴れがある。その内容は1MHz方形波応答で明確だ。1MHz付近の領域で周波数特性が波打っているのだ。その意味で最適な状況ではない。
そこでステップ位相補正を利かせる。まずは1.5kΩ+100pF。
位相補正なしの場合のような波形のうねりはない。ステップ位相補正が利いたわけだが、DSCと同様、出力波形の立上がり、立下りの方が入力波形のそれより急で、出力波形のカーブがやや膨らんでいることが分かる。
が、その効果で出力波形の方の肩の角度が鋭くなって、より理想的な1MHz方形波に近くなっている。面白い。これは位相補正としては必ずしも最適ではないのに、結果的に応答速度を速めたという効果になっているわけだ。その結果、100kHzの方形波応答では出力の立ち上がり立下り部分の肩が鋭くなって、最適のレスポンス状態に見せる効果が生じている。
次に、ステップ位相補正、1.5kΩ+200pF
状況は同じだが、1MHz方形波出力波形の肩がやや緩くなったようだ。その方が入力波形に近いのでその意味では出力の入力に対する忠実性は高まったと言える。
次にステップ位相補正、1.5kΩ+300pF
変化の方向は同じだと思えるが、200pFの場合との差は僅かのようだ。
最後にステップ位相補正、1.5kΩ+510pF
う〜ん、これも変化の方向は同じだと思えるが、この写真から200pFの場合、300pFの場合との違いを判断するのはちょっと困難か。(^^;
そこで、より対比し易いようにして、ステップ位相補正のCの容量の変化による100kHz方形波応答と1MHz方形波応答の変化を整理して観る。
まずはIVC。
1.5kΩ+100pF 1.5kΩ+200pF
1.5kΩ+510pF 1.5kΩ+300pF
1.5kΩ+100pF 1.5kΩ+200pF
1.5kΩ+510pF 1.5kΩ+300pF
100kHz方形波応答では殆ど違いが分からない。
ので、1MHz方形波応答について入力波形と出力波形を重ねてみたのだが、出力は入力より位相が遅れるので、重なった波形の右側が出力波形だ。
位相の遅れはやむを得ないが、問題は出力波形の入力波形との相似度である。
その観点からすると100pFから510pFとCの容量が増加するほどに形の相似度は高まっているように見える。
が、同じゲイン設定であるのにCの容量が増えるほどに出力波形の振幅がわずかながら小さくなっているようにも見える。
どの場合がより適切だろうか。。。(^^;
次はDSC。
680Ω+100pF 680Ω+200pF
680Ω+510pF 680Ω+300pF
680Ω+100pF 680Ω+200pF
680Ω+510pF 680Ω+300pF
こちらは100kHz方形波応答でも、100pFから510pFとCの容量が増えるほどに出力波形の肩部分に僅かな盛り上がりが見られ、違いが分かる。
1MHz方形波応答を観ると100pFから510pFとCの容量が増加するほどに形の相似度は高まっているように見える。が、こちらはCの容量が増えるほどに出力波形の振幅がわずかながら大きくなっているように見える。多分このことが100kHz応答で肩部分がやや盛り上がる要因だろう。
結論。

まぁこれらをよく観じた結果、IVCの方はステップ位相補正1.5KΩ+300pF、DSCの方は680Ω+510pFとすることにしたのだった。(^^)

さて、何故2SK117なのか? それが問題だ。(^^;

定電流回路に2SK117が採用されたことはかつてあっただろうか?定電流回路に積極的にFETが採用されるようになって久しいが、それに相応しいのは2SK30や2SK246といった飽和特性に優れたFETであり、これまでも用いられたのはこれらのFETだったような気が。。。
だいたいgmの大きなFETは飽和特性が緩くなる(すなわち出力抵抗が低い)のが通例で、2SK117もgmが大きい分2SK30や2SK246に比較すると飽和特性に劣り、定電流回路としてソース抵抗も入れずに素で用いるのはどうかな。もしかしていつものミスプリ?、と、2SK1172SK2462SK30ATMのデータシートを眺める。

ところで5Vレギュレータはなかなかに難しい。出力電圧が低いのでレギュレーター構成半導体に十分な電圧を与えられないのだ。この定電流回路にも配分される電圧は僅かに2.5V程度だ。FETもドレインーソース間電圧が低い領域ではVds−Id特性は飽和特性ではなく非飽和特性になるから、その辺が肝なのかもしれない。

データシートで低電圧領域の特性を観るとやはりそうだ。どれもVds2V程度の低電圧領域ではまだIdが飽和していないし、Idが大きいほどに飽和する電圧が高くなるなることが分かる。

が、どれもランクBLのIdss=6mA以上のデータがなく、このランクでは実際出力抵抗はどの程度なのかいまいち明確ではない。

ので、実測。
低電圧領域でのIdssを電池1個=1.4Vと電池2個=2.8Vで測り、その差から出力抵抗を求める簡便法だ。
まずA。今回起用しようと選別した2SK117BLである。これは電圧12Vで計測するとIdss=6.5mAのもの。
結果:5.8mA/1.4V、6.1mA/2.8Vとなった。ので、出力抵抗=(2.8−1.4)V/(6.1−5.8)mA≒4.7kΩ
う〜ん、微妙(^^; 決して高くはない。やはりこんなものか。。。

なので、比較対象としてBを組んでみた。(^^) これはGOA時代のレギュレータではおなじみの回路。ターンテーブル制御アンプの5Vレギュレータの定電流回路そのものである。これも同様に測定してみた。
結果:6.2mA/1.4V、6.5mA/2.8Vとなった。ので、出力抵抗=(2.8−1.4)V/(6.5−6.2)mA≒4.7kΩ
奇しくも2SK117と同じ結果。ふ〜む。。。。。。

では、2SK246BLはどうか。今回カスコード回路に起用すべく選別した2SK246を測定してみた。
結果:4.0mA/1.4V、6.2mA/2.8V。したがって出力抵抗=(2.8−1.4)V/(6.2−4)mA≒640Ω
なるほど。。。このような低電圧領域では2SK117の方が出力抵抗が大きいのだ。。。

ならば2SK30GRはどうか。こちらは当然Idssが117や246のように大きいものはない。
結果:3.4mA/1.4V、5mA/2.8V。したがって出力抵抗=(2.8−1.4)V/(5−3.4)mA=875Ω

なるほど。。。


5Vレギュレータでは定電流回路のFETにかけられる電圧が低いが故、ここに2SK30や2SK246を用いるのは妥当ではない。

実を言うとBのTR式定電流回路を採用しようかなぁ。。。とも思っていたのだが(^^;、オリジナルどおり2SK117BLでいくことにした。(^^)

が、BLランクなら何でもよいというわけではないだろうて。


で、K117BLもK246BLもVdc≒12VでIdss≒6.5mAのものを選別。
ほぼオリジナルどおりの5Vレギュレータ、ようやく完成。(^^)
オリジナルの定数どおりで、無負荷時出力電圧4.9Vとなった。ので、2.2kΩは調整なしでいいかな。と(^^;
細かいことは後にして(^^;、動作安定性を確認する。
F氏のところでこの5Vレギュレータ(素子等に変更があるのでオリジナルどおりではない)は、出力側のコンデンサーを取り付けない場合発振することが示されているので、これもまず出力の47uFのOSコンを外して観察する。

と、 ありゃ。。。発振してますね。(^^;
左が無負荷状態で出力に現れた発振波形。縦軸が10mV/divで横軸が10uS/div。
なので30kHz程度でピーク+20mV−10mV程度の発振だ。
真ん中と右は負荷56Ω、よって負荷電流90mAの場合の出力に現れた発振波形。両者とも縦軸が100mV/divで、横軸は真ん中が0.5uS/div、右が0.2uS/div。なので1MHz程度の発振波形に10MHz程度発振波形が重複しているような発振波形になって、振幅もピーク±130mV程度と無負荷時の9倍近くになっている。
試しに今回不要とされている例の120pFを取り付けてみたのだが、効果はなかった。(^^;

なので、素直にオリジナルのとおり出力に47uFのOSコンを取り付け、出力に現れる波形をオシロの感度を最大にして、すなわち縦軸1mV/div、横軸0.2uS/divで観たのが下の写真。
左が無負荷、真中が負荷56Ω(約90mA)、右が負荷28Ω(約180mA)の場合。
どの場合も約10MHz、ピーク±1mV程度で発振しているかのように見える。
が、これは観測系で外部からの誘導ノイズを拾っているもの。
レギュレータの
発振ではない。
5Vレギュレータは出力のOSコンなどオリジナルどおりに作れば動作は安定だ。(^^)
なお、当然だが、出力電圧は
負荷に28Ωをつなぎ約180mAの負荷電流が流れている場合でも無負荷時と同じ4.9Vとなっている。
また、各部の電圧はTR5D≒2.7V、TR1B≒3.3V、TR1C≒3.5V、TR2B≒3.3V、TR2C≒3.9V、TR4D≒5.3V(無負荷時)5.8V(28Ω負荷時)

ジャンクボックスからあり合わせの部材を調達してこんなものを作ってみた。(^^;
回路は下図のような簡単なものだが、これに発振器とオシロスコープ、そしてNo−196の5Vレギュレータを次のようにつないで、その過渡応答を調べてみようという趣向だ。(^^)

ちなみにこの回路は、遙か30年前のK先生の単行本、“最新オーディオDCアンプ”に掲載されているもので、当時のプリアンプ用35Vレギュレータの過渡応答を調べるために使われているものだ。ただしこちらは+5Vレギュレータ用に抵抗値は変更してあるし、トランジスタも2SC1161を2N3766で代用している。また、信号源は当然パルスジェネレータなのだが、ないので、発振器で代用。(^^;

これで無信号時2N3766には約40mAの電流が流れることになる。ので、2N3766のA級動作範囲に置くとすれば発振器で信号入力して、2N3764に流れる電流を0mAから80mA、すなわち最大80mA振ることができるはずだ。が、余裕を見て電流変化を60mA、すなわち電圧振幅を3Vに設定しよう。

その場合5Vレギュレータ出力にどのような過渡応答波形が現れるのか。これを2現象オシロスコープで2N3766のエミッタに現れるパルス波形=5Vレギュレータの負荷パルス電流波形と共に観ようと言うわけだ。

なお、発振器から正弦波を入力するとレギュレータの内部インピーダンスが簡単に計測できるので、それも一緒にやってみる。

実に楽しみ(^^)
なお、観測に当たってはオシロのプローブはレギュレータ出力端子の直近に取り付ける。方形波のエッジ部分の周波数は非常に高いので、ほんの数センチでも配線のインダクタンスは無視できず、それによって過渡応答波形に生じるひげ状のピークはあっという間に大きくなってしまう。し、また、レギュレータの内部インピーダンスを測っているのか配線のインピーダンスを測っているのか分らなくなってしまうから。

まずは正弦波を入力してNo−196の5Vレギュレータの内部インピーダンスを測定する。
各写真とも下が50Ωの両端での波形で、上がレギュレータ出力点での波形。4枚の写真は番号順に発振器の周波数が1kHz、10kHz、100kHz、1MHzの場合である。それぞれの周波数と、その場合の振幅に合わせ、オシロの横軸(時間軸)と縦軸(電圧軸)は写真上に記載のとおり調整してある。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div
最初に1kHz。時間軸は0.2mS/div。発振器の出力を調整して写真下の50Ω両端に現れる正弦波形を3Vppにすると当然電流は3/50=60mAppになる。
レギュレータ出力の変動は電圧軸(縦軸)1mV/divの最大感度でこのように現れた。何かぼやけてピントが合わない感じなのは調整不良ではなく外部誘導か測定系のSN比によるノイズだが、出力点に現れた正弦波は1.1mVpp。
よって、1kHzでのNo−196の5Vレギュレータの内部インピーダンスは1.1mV/60mA=18.33mΩだ。
次に10kHz。
時間軸が20uS/divと10倍に広がったが、電圧軸は左の1kHzの場合と同じだ。レギュレータ出力の変動はやや大きくなって1.4mVppとなった。
したがって、10kHzでのレギュレータの内部インピーダンスは1.4mV/60mA=23.33mΩ。

ところで、何故かレギュレータ出力の過渡応答の方が位相が進んでいるのが分かる。NFB回路故だろうが不思議なものだ。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div
続いて100kHz。
時間軸はさらに10倍の2uS/divになっているほか、レギュレータ出力の電圧変動も大きくなったのでその電圧軸を5mV/divに変更してある。
すなわちレギュレータ出力の電圧変動は写真の通り5mVpp。
よって、100kHzでのレギュレータの内部インピーダンスは5mV/60mA=83.33mΩ。
最後に1MHz。
時間軸はさらに10倍の0.2uS/divに広がっているがそのほかは左の100kHzの場合に同じ。レギュレータ出力点の電圧変動はさすがに15mVppと大分大きくなった。し、形も正弦波がやや歪んでいる。(^^;
が、とにかく1MHzでのレギュレータの内部インピーダンスは15mV/60mA=250mΩだ。
次に方形波を入力して、No−196の5Vレギュレータの過渡応答を観る。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
先ずは1kHz方形波。
上で計測したように18mΩほどの内部インピーダンスがあるので方形波の凸部分で出力電圧が1mV程度電圧降下している。
問題は方形波の立ち上がり、立ち下がり部分(エッジ部分)における応答状況だが、立ち上がり、立ち下がりのエッジ部分で鋭いひげのようなピークがピーク3mV程度で生じているように見える。が、ひげのピークはこの時間軸設定では光跡が細すぎて捉え切れていないことが後で分かる。また、ひげの後何となくもやもやした感じがありこの時間軸設定=0.1mS/divでは十分には見えないリンギングがあるようだ。

なお、50Ω側の方形波の上下の直線が平行ではなく傾きを持っているのは信号入力側のCが2.2uFであるため。これだと低域遮断fc=159/(2.2*0.165)=438Hzと、1kHzの信号を通すには十分な低さではないのだ。そのためこうなる。のだが、分かって使えばそれだけのことなので別にこれで構わない。
次に10kHzの方形波。
時間軸は10uS/divと10倍だ。
これにより、1kHzの場合の過渡応答のうち、立ち上がり、立ち下がりから50uSまでの部分が10倍に拡大された訳だ。
最初のひげのピークが見えやすくなって、それが10mV以上に達していることが分かったので電圧軸を10mV/divに変更してあるのだが、写真ではこの時間軸でもひげのピークはなお捉えにくい。が、実際のオシロ画面では15mV程度と読める。
また、その後のもやもやは、やはりこの時間軸設定でも捉えられない高周波のリンギングであることが明確になってきた。
さらに過渡応答という意味では、電圧変動が平衡に達するのに5uS程度要している。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz方形波。
これで過渡応答の立ち上がり、立ち下がりから5uS分がさらに10倍に拡大された。ここまで時間軸を広げてようやく立ち上がり、立ち下がりのエッジ部分における過渡応答の姿が明らかになった。
まず、最初のひげのピークは15mVであり、ひげのピーク付近にも微妙にもやもやがあり、さらにその後、周期0.33uS=3MHzのリンギングが3uS程度継続しているのだ。
が、その後水平になっても応答が右上がりであるのは、10kHz方形波の過渡応答に見えたようにまだ平衡状態に至る前の電圧上昇過程にある姿である。要するに方形波周期の設定の都合で過渡応答が収束する前に次のパルス信号が入ってしまった訳だ。が、この辺も分かって観ればいいだけなので構わない。10kHz方形波応答と併せて観ればこの上昇局面は5uS程度まで続いて収束するものと分かるのだ。
最後に1MHzの方形波。
過渡応答の立ち上がり、立ち下がりから0.2uS分だ。さらに10倍の0.1uS分でないのはオシロの時間軸の最大が0.2uS/divであるため。
これでひげのピーク付近の様相がすっかり明らかだ。
ピークはやはり15mV。100kHz方形波でひげのピーク付近に見えたもやもやの正体も周波数にすれば数MHzの非常に微小なリンギングであったわけだ。その後の波は3MHzのリンギングだが、それが1波付近でもちろん収束する前に方形波の立ち下がりが来てしまうので、このような応答波形になっている訳だ。
面白い。(^^)
が、これだけではNo−196の5Vレギュレータの内部インピーダンス特性や過渡応答が優れているのか劣っているのか、はたまた普通なのかが分からない。ので、こんなものを作ってみた。

可変型3端子レギュレータIC、LM317による5Vレギュレータ。
回路はこの通り。

No−196と条件を揃える意味でも入出力には47uFのOSコンをかませてある。 

     
 
まずは正弦波でこのLM317Tによる5Vレギュレータの内部インピーダンスを測定してみよう。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
まずは1kHz。何か波形が荒れている。1kHzの変動波形に数10kHzの高調波が乗っているような感じがする。また、この周波数でもはや応答波形の位相が進んでしまっている。が、まぁそれは別にして、出力に現れた正弦波は2mVppだ。
よって、1kHzでの内部インピーダンスは2mV/60mA=33.33mΩ。
No−196の5Vレギュレータは18.33mΩだったが、案外LM317も低い。(^^;
次は10kHz。
えぇぇぇっ! っと、不可思議なのだがレギュレータの出力の電圧変動はなんと75mVpp。
したがって10kHzでのLM317T5Vレギュレータの内部インピーダンスは75mV/60mA=1.25Ω。ちょっと異常な高さ。だが、何回測ってもこうなる。
また、応答波形も正弦波から大分外れており、おかしいなぁ。。。(^^;
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
では次に100kHzではどうか。
。。。全く不思議だ。(^^;
実にまともな応答に戻って、その電圧変動も3mVpp。
よって100kHzでの内部インピーダンスは3mV/60mA=50mΩ。
応答波形の位相も全くずれていないよう。ふ〜む。(^^;
1MHzではどうか。
電圧変動は15mVpp。
よって1MHzでの内部インピーダンスは15mV/60mA=250mΩ。

応答波形の位相も進み、形も微妙に正弦波からずれているようだ。
LM317。まぁ、10kHzの場合を除けばそれなりにまともな応答だと思うが、10kHzの場合にインピーダンスが何故あんなに上昇するのだろうか。
その辺、方形波を入力してLM317T5Vレギュレータの過渡応答を観れば明らかになるか。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
先ずは1kHz方形波。

なのだが、なんと、周期75uS、ということは周波数13.33kHz、ピーク11mV(20mVpp)という、随分と低周波のリンギングが生じるではないか。しかもその収束に0.5mS以上を要している。
次に10kHz方形波。
なんとも不思議な応答波形に見えるが、方形波の立ち上がり、立ち下がりから50uS分が10倍に拡大されていることを思えば、これは1kHz方形波応答で現れた13.33kHzのリンギングの最初の1波の一部(最初の1/4程度)だと理解できる。ただ、そのピークはマイナス側で40mVとずいぶん大きくなっている。
さらにそれだけではない。方形波の立ち上がり、立ち下がりの部分にピーク20mV程度の鋭いひげが確認できる。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz方形波で立ち上がり立下りからの5uS分をさらに10倍に拡大してみる。これで、ひげのピークの振幅は20mVであることと、このピークとその収束後1uS程度の部分にはごく微少の数MHzのリンギングがあることが分かる。さらにその後水平の応答部分が右下がりであるが、これが実は13.33kHzのリンギングの一部(1/15)なのだ。15分の1なので水平のように見え、傾きもわずかなのだ。 最後に1MHz方形波。
立ち上がり、立ち下がりから0.5uS分がさらに明確になる。
ピークはやはり20mV。やはり微細なリンギングがあるが、その後の大きなリンギングは13.33kHzとこの時間軸からすれば非常に低周波なので、この写真ではその痕跡も見えないのだ。
LM317。ちょっとおかしな過渡応答と言わざるを得ないような気がするが、それはリンギング周波数が13kHzなどと著しく低いが故にこうなるのかなぁ。。。
なので、3端子レギュレータ、7805も見てみよう。(^^;

今度は新たに組まない。考えてみればSP−10用の制御アンプに7805による5Vレギュレータを搭載していたのだ。それを活用しよう。
その回路は下図のとおりNo−179のターンテーブル制御アンプの5Vレギュレータそのものであり、入出力のコンデンサの種類も容量も違うし、面倒なので制御アンプを動作させたま電流横取り方式で観察することになるので、条件は違うことになるが、まぁ良かろうて。(^^;


        
同様にまずは正弦波で内部インピーダンスを測定する。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
まずは1kHz。変動がやや大きいので電圧軸は2mV/divだ。
出力点に現れた正弦波は2.5mVpp。
よって、1kHzでの内部インピーダンスは2.5mV/60mA=41.66mΩ。
やや高めかな。
次は10kHz。
レギュレータの出力点の電圧変動は10mVpp。
したがって10kHzでの7805レギュレータの内部インピーダンスは10mV/60mA=166.67mΩ。
No−196の5Vレギュレータに比べると大分高い。
また、やはり応答波形の位相がやや進んでいる。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
次に100kHzではどうか。
その電圧変動は15mVpp。
よって100kHzでの内部インピーダンスは15mV/60mA=250mΩ。
1MHz。電圧変動は20mVpp。
よって1MHzでの内部インピーダンスは20mV/60mA=333.33mΩ。
7805。LM317のような不思議な挙動はなさそうだが、内部インピーダンスは全般に高めのようだ。
次に方形波による過渡応答。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
まず1kHz方形波。
ひげのピークはかなり明瞭に見え、14mV程度か。
が、この時間軸でこれほど明瞭にひげのピークが捉えられるのは、実は過渡応答の反応が低速ということである。
次に10kHz方形波。
なるほど。ピークからの回復がやはり遅いのだ。10uS超を要している。ただ、ピーク及びその回復過程の波形にはやはり微少だが細かいリンギングが乗っていることが分かる。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz方形波。
なんとも不思議な過渡応答だが、方形波の立ち上がり、立ち下がりにおいて、過渡応答の方は1度0.4uSまでにおいて電圧を回復させる方向で働きながら、1uSまでまた電圧が下がってしまっている。この1uSのポイントが1kHz方形波や10kHz方形波応答で見えるひげのピークなのだ。そのあと徐々に収束に向かっているわけだ。
1MHz方形波。
これは左の写真の立ち上がり、立ち下がりから0.5uSの部分が5倍に拡大されているものだが、最初(0.4uSまで)はこのように電圧変動を元に戻そうとがんばったのに、力尽きてこのあと(0.4uS〜1uSまで)元に戻ってしまうわけだ。
7805。おかしな挙動はないのだが、No−196の5Vレギュレータに比べるとスピード的にはあまり優れているとは言えないよう。(^^;
こうなるとSP−10U用制御アンプに入っている5Vレギュレータも観ないわけにはいかないなぁ。(^^;



こちらの回路は次のとおりで、基本的にNo−108の5VPPレギュレータだが、オリジナルの2SA566によるインバーテッドダーリントンを2SC1161を使用したダーリントン型に変更したものになっている。
まずは正弦波。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div
最初は1kHz。
出力に現れた正弦波は0.7mVppだ。
よって、1kHzでの内部インピーダンスは0.7mV/60mA=11.67mΩ。低い。(^^)
次は10kHz。
レギュレータの出力の電圧変動は1.1mVpp。
したがって10kHzでのNo−108の5Vレギュレータの内部インピーダンスは1.1mV/60mA=18.33mΩ。低い。が、やはり応答波形の位相が進んでいる。こういうものなのかな。(^^;
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div
次に100kHzではどうか。
その電圧変動は3mVpp。
よって100kHzでの内部インピーダンスは3mV/60mA=50mΩ。
1MHzではどうか。
電圧変動は16mVpp。さすがに大きくなった。
よって1MHzでの内部インピーダンスは16mV/60mA=266.67mΩ。
No−196の5VレギュレータとこのNo−108の5Vレギュレータ。内部インピーダンスの低さではなかなかに好敵手のよう。(^^)
次に方形波による過渡応答。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
まず1kHz方形波。
この時間軸設定ではひげのピークは明瞭ではない。また、かなり光跡がぼやけているのはこれまでのものと同様にリンギングがあることを表している。
10kHz方形波。
なるほど。リンギングの姿が明らかになった。周期2uS=500kHzのリンギングが40uS程度継続している。さらに方形波の立ち上がり、立ち下がりに鋭いひげ状のピークが見えているが、ピークは20mV程度だろうか。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz方形波。
これでひげのピークが22mVであることが明らかになった。またその後微少だが周期0.2uS=5MHz程度のリンギングが1uS程度継続しているが、この1uSのポイントまでこの5MHzのリンギングが500kHzのリンギングに重複して乗っていることも分かる。
最後に1MHz方形波。
500kHzのリンギングが始まる前のひげのピークとその後の微少な5MHz程度のリンギングの姿だ。

No−196:3MHzのリンギングが3uS。対してNo−108:500kHzのリンギングが40uS。
となると、これも観察しないわけにはいかないなぁ。(^^;

2段差動アンプ時代にオペアンプレギュレータに代わって開発されたディスクリートで誤差増幅回路に2段差動アンプが採用されたプッシュプルレギュレータ。“祝・DCアンプシリーズ30周年記念プロジェクト No−69(+82) 最新超高速SWレギュレータ採用DCプリアンプを復刻する”で、抵抗負荷2段差動アンプを誤差増幅回路に採用したレギュレータの最終形であるNo−82の25Vプッシュプルレギュレータを復刻していたではないか。(^^)



その回路は次のとおりだ。

これがK式の第一世代に、オペアンプ起用のレギュレータに代わって超高速レギュレータとして開発、起用された訳だが、果たしてその性能や如何に。それが今頃になって明らかになる。(^^;
No−82のレギュレータは出力電圧が25Vなので、測定回路の2N3766B−C間の抵抗を330Ωから3kΩに変更する。また、このレギュレータの測定に当たっては、測定回路の50Ωの両端電圧を3Vではなく1Vに調節してある。したがって負荷電流は20mVppだ。なぜか?というと、このレギュレータの保護回路の制限電流が回路図のとおり600mV/5.6Ω=107mAなので、横取りできる電流の関係上こうせざるを得ないのである。

先ずは正弦波で内部インピーダンスを測定する。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div
1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は0.3mV。
したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは0.3/20=15mΩ。
10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は0.5mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスは0.5/20=25mΩ。
やはりこのあたりから応答波形の位相が進んでいる。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div
100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は1.3mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは1.3/20=65mΩ。
1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は1.8mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは1.8/20=90mΩ。
う〜ん。2段差動だから1段差動のNo−196やNo−108以上の低内部インピーダンスを期待したのだが、それほどではなかった。(爆)が、これまでのレギュレータで1MHzで100mΩを切ったものはなかったから、この辺、流石に“超高速”ディスクリート電源の面目躍如といったところか。(^^;
次は方形波により過渡応答を観る。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
1kHz。
応答波形は縦軸が1mV/divであることもありもやもやとしている。やはりリンギングまじりだ。
10kHz。
電圧軸は2mV/div。ひげのピークは4mV程度に見える。その後周期2.5uS=400kHzのリンギングが20uS程度継続しているようだ。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
100kHz。
やはりひげのピークは4mVだ。ただし、これの負荷電流の変化は他の1/3なので、他との比較に用いる場合はこれを3倍し12mVと解するのが適切だ。数MHzと思われる微少なリンギングも見えるが、その後は400kHzのリンギングだ。
1MHz。
最初の微少なリンギングの姿が明確になった。周期0.067uS=15MHzだ。
No−196:3MHzのリンギングが3uS。対してNo−108:500kHzのリンギングが40uS。そして、No−82:400kHzのリンギングが20uS。
1段差動と2段差動という違いがあるのに、過渡応答ではNo−108とNo−82はよく似ている。
この際ついでだ。これも観察しておこう。(^^;

私のNo−128?完全対称型MCプリに搭載している、GOA時代の差動1段による17.5Vレギュレータの出力電圧設定を15Vにしたものだ。今回のNo−196やNo−108の5Vレギュレータと回路構成は同様だが、出力電圧が高い分、定電流回路や差動アンプを構成するTRに高い電圧が掛っており、それが有利に働いているのかどうか、逆に言えば5Vレギュレータ達がその点不利で、結果性能的に劣っているのかどうかが分かるだろう。



回路はこう。
出力電圧が15Vなので、測定回路の2N3766B−C間の抵抗をさらに1.5kΩに変更する。また、測定回路の50Ωの両端電圧の調整は3Vに戻す。No−108の5Vレギュレータ同様このレギュレータには電流制限の保護回路は付いていないので、電流横取り方式でもそれで問題ない。ただし、出力をショートしてしまうと、当然だが幻の2SA566ほかがお亡くなりになる。ミスによる事故を招かないよう慎重にいこう。(^^;

先ずは正弦波で内部インピーダンスを測定する。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 1kHz、横軸20uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は1mV。
したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは1/60=16.67mΩ。
10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は1.6mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスは1.6/60=26.67mΩ。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は3.6mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは3.6/60=60mΩ。
1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は11mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは11/60=183.3mΩ。
なんと。。。No−196やNo−108の5Vレギュレータの値と比較して特に優れた数値ではない。(爆)
ということは、No−196やNo−108の5Vレギュレータが不利を克服した上手い設計がなされているということになりますねぇ。(^^;
次は方形波により過渡応答。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
1kHz。
応答波形は縦軸が2mV/div。見慣れたもやもやであるが、ひげも案外明確。やはりリンギングまじりだ。
10kHz。
電圧軸は10mV/div。ひげのピークは20mV程度だろうか。その後周期2uS=500kHzのリンギングが20uS程度継続している。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz。
ひげのピークは18mSだ。その後やはり数MHzと思われる微少なリンギングも見えるが、その後は500kHzのリンギングだ。
1MHz。
見慣れた過渡応答の姿。で、この姿については特にコメントなし。(^^;
結局、回路構成も要素もほぼ同じなためか、この15Vレギュレータの過渡応答はNo−108の5Vレギュレータのそれと非常によく似ている。うり二つ。(^^)
で、No−196:3MHzのリンギングが3uS。対してNo−108:500kHzのリンギングが40uS。そして、No−82:400kHzのリンギングが20uS。さらに、No−128?:500kHzのリンギングが20uS。
ここらで違うものを観る。

レギュレータではなくて、ただの鉛バッテリーである。
その過渡応答とレギュレータの過渡応答を比較すると観じるものがあるはずだ。(^^;
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
まずは1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は7mV。したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは7/60=117.7mΩ。
かなり使い込んだバッテリーだし、満充電状態ではないことから内部インピーダンスが高めになっているかもしれないが、これに比べるとやはりレギュレータの威力はあるということだ。(^^)
次に10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は同じく7mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスも117.7mΩ。
さすがにインピーダンスに変化がない。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上20mV/div、下1V/div
さらに100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動はまたしても同じく7mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスも117.7mΩ。
ふ〜む。ここまで周波数が上がっても内部インピーダンスが一定なのはさすがと言うべきか。いや、もともと内部インピーダンスの絶対値が高いのだからあたりまえと言うべきか。(^^;

ただ、よく見ると電気回路があるわけでないのに応答波形の位相が進んでいる。ということは、応答波形の位相のずれはNFBを活用したレギュレータに特有のものではない。ということになる。
最後に1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は32mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは32/60=522mΩ。さすがにこの周波数だと内部インピーダンスも高くなるようだ。

また、応答波形の位相はやはり進んでいるし、正弦波のかたちもやや崩れている。こうなるのはNFBのせいかと思っていたが、必ずしもそうではないということになる。バッテリー内部の寄生C分やL分によって電気回路を有しない単なるバッテリーでもこうなるということだろう。
次は方形波による過渡応答。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
まず1kHz。
縦軸が10mV/divであることもあるがさすがに綺麗な過渡応答波形だ。パッシブなのだからこうでないといかんけど。(^^;

が、やはりひげはある。
10kHz。
電圧軸は10mV/div。ひげのピークは15mV以上ありそうだ。が、さすがにリンギングはなさそうだ。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上20mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上20mV/div、下1V/div
100kHz。
電圧軸は20mV/div。ひげのピークは38mVだ。
ありゃ、ひげに微少なリンギングが乗っているようだが。。。
1MHz。
ふ〜む。微細な高周波のリンギング、ただのバッテリーでもリンギングが乗るのだ。
ということは、こういう10MHzクラスの微小なリンギングは観測系で生じている可能性があるなぁ。。。
もう一つバッテリーを観てみよう。

コンビニから仕入れてきた9Vのアルカリ乾電池。
先ずは正弦波で内部インピーダンス。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は50mV。
したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは50/60=833.3mΩ。
やはり小容量のただのアルカリ乾電池の内部インピーダンスは高い。1Ω近くもある。
が、こうなると1Ωを超えるインピーダンスになったLM317はただの乾電池にすら敵わない何のためのレギュレータなんだ。ということになるなぁ。。。
10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は同じく50mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスも833.3mΩ。
やはりインピーダンスは大きくならない。(^^)

ただ、応答波形の位相がちょっと遅れている。やはり位相のずれはただのバッテリーでも生じるのもなのだ。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上20mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は何故か下がって36mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは36/60=600mΩ。
周波数が高くなって内部インピーダンスがかえって小さくなるとは。。。
一方、応答波形の位相は中立に戻っっている。
1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は何故か元に戻って55mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは55/60=916.7mΩ。

応答波形の位相は今度はやや進んでいる。
二つのバッテリー。やはり内部インピーダンスはそれなりに高いが、周波数によってあまり変動しない、その意味素直な特性だ。が、やはり内部の寄生C分やL分の影響はある。ということだろう。
次は方形波による過渡応答。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
まず1kHz。
縦軸は50mV/div。綺麗な応答波形だが、特徴的なのはエッジ部分の電圧降下が緩やかに円を描いていることだ。これは100kHzでの内部インピーダンスが小さくなることに伴うもなうものだろうか。
ひげはこの写真では明確でないが。。。
10kHz。
やはりひげは生じている。そのピークは50mV程度ありそうだ。また、やはり微小ながらリンギングはありそうだ
ただ、アクティブレギュレータのような明確なリンギングはない。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上20mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
100kHz。
電圧軸を20mV/divにしてみた。ひげのピークはやはり50mVだ。
観測系のせいでリンギングが生じているように見えてしまう可能性を考えると、リンギングはないと言うべきだろう。
1MHz。
綺麗だけれども、やはりでこぼこはある。
が、要するに、この辺になると本体から発するものか、観測系が完全でないことによるものか、判別困難と認識することが妥当。ということか。
単なるバッテリーを二つ観たことによって、レギュレータの観察結果に対する理解も変わってくる、あるいは深まるというものだ。(^^)

まず方形波入力の肩部分に発生する鋭いひげのようなピーク。これはバッテリーでも生じるものなのだ。すなわちその原因はレギュレータでもバッテリーでも同じで内部に必然的に生じるインダクタンス故のものだ。方形波の肩部分の周波数は非常に高いので少々のインダクタンスでも無視できないのだ。ということは、これは消滅させることは非常に困難だし、たとえ消滅させたとしても、電源から供給先まで配線してしまうとその配線のインダクタンス分によって供給先で生じてしまうから、電源側で消滅させても無駄。ということでもある。解決策は供給先の電源ラインの電流消費部分の直近にCを配置するしかない。だから世のデジタル回路の基板上はコンデンサーだらけなのだ。

次に応答波形の位相のずれと波形の乱れ。これもNFBを使用したレギュレータに特有のものではないことが分かった。NFBを使用しようがしまいが、またただのバッテリーだろうが、この世に純粋な理想電源は存在しない。必ずそれにR分、C分、L分が寄生しているということだろう。

さらにリンギング。これは10MHz超の微小なものは無視しよう。それらはあるいは電源に寄生するC分、L分のせいかもしれないし、観測系のC分、L分のせいかもしれない。あるいはそのノイズなのかもしれない。で、それを無視するとやはりバッテリーにはリンギングは生じない。こればNFBを有するレギュレータ特有のものだ。で、生じた過渡応答としてのリンギング。これをどう解釈すべきか?がレギュレータの善し悪しを考える上では問題。ということになるわけだ。
そういう意味でも、LM317族をもう少し検証しておこう。
まずはLM317Tをもう一つ。これは私のヘッドフォン(専用)アンプの電源に使用しているものだ。
出力のコンデンサに0.22uFの丸型V2Aなどを奢っているのだがなぁ。。。
                           
先ずは正弦波で内部インピーダンスを測定する。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は7mV。
したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは7/60=116.7mΩ。
高い。鉛バッテリーと同じだ。
10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は同じく35mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスは35/60=583.3mΩ。
随分と高いなぁ。。。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上100mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上100mV/div、下1V/div
100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動はなんと250mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは250/60=4.17Ω。ちょっと異常なレベル。(^^;
1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は90mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは90/60=1.5Ω。
LM317。ちょっと使う気が失せそうだ。。。(^^;
次は方形波による過渡応答だが。。。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上100mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上100mV/div、下1V/div
1kHz。
縦軸は100mV/div。なんとピーク180mV(360mVpp)もの盛大なリンギングが生じている。周波数的には70kHz〜80kHzぐらいだ。だいたい100uS程度で収束しているように見えるが、軸が100mV/divと分解能が低いこともあり、細かく見れば多分もっと続いているだろう。また、リンギングの1波目にもっと高い周波数のリンギングの形跡が見える。
10kHz。
リンギングの姿が明瞭になった。ピーク180mV(360mVpp)、周期13.3uS程度だから周波数的には75kHz。さらに第1波の最初の1/4に更に高い周波数のリンギングが乗っている。

そして更に不思議なことには、方形波の立ち上がり立ち下がりのエッジ部分で応答波形に生じる鋭いひげ状のパルスが生じていない。何故だ?(^^;
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上100mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上100mV/div、下1V/div
100kHz。
なんともおかしな応答波形に見えるが、75kHzのリンギングの第1波の1/4の拡大されてこのような姿になるのである。それに乗っている更に高い周波数のリンギングの姿が明確になった。周期1uS=1MHzのリンギングだ。
そして、方形波の立ち上がり立ち下がりのエッジ部分で応答波形に生じる鋭いひげ状のパルスが本当に生じていないことが明確だ。不思議だ。。。
1MHz。
これまたなんともおかしな応答波形に見えるが、1MHzのリンギングの第1波の1/2が拡大されてこのような姿になるのである。
LM317を使用したヘッドフォン(専用)アンプのレギュレータ。解体が近いなぁ。。。(爆)(^^;
最後にしようと思うが、LM338である。
これはNo−197のターンテーブル制御アンプでAC整流電源部に使用されているものだが、私も自分のSP−10及びSP−10UのAC整流電源に使っているものである。
                         
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は7mV。
したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは7/60=116.7mΩ。またしても鉛バッテリーに同じ。
また、応答波形が最早正弦波ではなく、位相も進んでいる。

やはりこのあと低周波のリンギングが見られそうだ。(爆)
10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動はなんと70mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスは70/60=1.17Ω。
随分と高い。アルカリ乾電池以上だ。(爆)
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は少しだけ下がって50mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは50/60=833mΩ。
1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は40mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは40/60=666.7mΩ。
LM338もLM317とあまり変わらないようだ。このシリーズ、どうも芳しくない。
次は方形波による過渡応答。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
まず1kHz。
他のLM317よりはましなものの、やはり周期60mS=16.77kHzのリンギングが、ピーク50mVで1波だけだが生じている。
LM属の特徴はリンギング周波数が数10kHzという可聴帯域内に生じることだ。
次に10kHz。
1波60uSで収束するリンギングの50uSまでの姿が明らかになった。

で、やはり方形波の立ち上がり、立下りのエッジの応答波形にひげが生じていないことが分かる。全く不可思議???
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
次に100kHz。
16.77kHzのリンギングの5uSまでの姿なのだが、まるで乾電池の1kHzにおける応答波形のようだが、本当にひげがない。
最後に1MHz。
もはやコメントなし。(爆)(^^;
結論。

を見出すために、各レギュレータ及びバッテリーの出力インピーダンス特性をグラフにまとめてみた。
その中に「709 35Vreg」と「No−46 35Vreg」というのが混じっている。が、これは抵抗負荷差動2段の誤差増幅アンプを搭載した「超高速電源電源」が最初に登場した1980年9月号のNo−46に、オペアンプ709CEを使用した以前の35V高速電源と、その35V超高速電源の出力インピーダンス特性が載っていたので、それを転載したもの。(^^)
で、結論。

まず、バッテリー類。さすがに素直な特性で、周波数によってインピーダンスが大きく変動することもなく、その意味では電源としては理想的なのもだ。
が、残念ながらインピーダンスの絶対値は大きめで、小さなインピーダンスのものを求めるとなると容量も図体も大きく重い鉛バッテリーということになるだろう。私はもう重いものは扱いたくないので鉛バッテリーは御免こうむりたいが、軽くて良いものがあれば、かつての電池式のようにプリアンプには使ってみたくなる結果だ。

次に可変型3端子レギュレータのLMシリーズ。317と338しか見なかったが、どうもイマイチ。リンギング周波数が低いし、出力インピーダンスも高いしで、レギュレータを用いる意味がないに近い。これらはやはり真空管のヒーターのレギュレータに用いるぐらいが適当なもののようだなぁ。。。

次に7805。悪くない。さすがに三端子レギュレータのスタンダードだ。インピーダンス特性はまぁ中庸だが、変なリンギングも生じないし、まぁまぁだ。

最後にK式のレギュレータ群。こうしてグラフに整理してみると、その出力インピーダンス特性はどれも良く揃っていて、その絶対値も低く、流石に“超高速電源”だ。で、その“超高速”の意味だが、MJの過去本を辿って命名の来歴が分かったのだった。要するに今から30年以上前に、その頃巷でよく用いられていた、 誤差アンプがエミッタ接地1段のディスクリート方式のレギュレータに対して、オペアンプ709CEを誤差アンプに起用した電源を、その性能比較から“高速電源”としたものであり、またその後、No−46で抵抗負荷2段差動アンプを誤差アンプに起用した電源について、上のグラフにあるように、709CE起用による高速レギュレータの出力インピーダンス特性を大幅に超える低インピーダンス=高速を達成したものとして、“超高速電源”とした、という経緯なのだ。

で、今回のNo−196の5Vregほか、あわせて測定してみたNo−82、No−108、No−128?の私の製作したレギュレータたちだが、その意味に勘案してグラフの測定結果を当てはめて判断すれば、みな“超高速レギュレータ”だ。(^^)

あとは、過渡応答における数百kHzから数MHzのリンギングをどう評価するかだが、まぁ、その程度からして何も問題なし。と思えるがどうだろう。
No−199の3.3V超高速シリーズレギュレータをこしらえた。ので、その過渡応答特性を観る。
 その前に、各部の動作点などだが、ツェナーダイオード代わりの1S1588のための定電流回路には2SK117BLが起用されている。同時に発表された−12Vレギュレータの方のこの部分は2SJ103だ。やはり低電圧領域においてはJ103やK246、K30よりもK117の方が定電流特性が良いということだろう。DS間に十分な電圧が掛けられる場合にはJ103やK246、K30の方が定電流特性は良くなる。ので−12Vレギュレータでは2SJ103が起用されているのだろう。
 で、誤差アンプの定電流回路とカスコードアンプにトランジスタ(2SC1775A)が起用され、3.3Vという低電圧安定化電源が実現されている。この構成であると誤差アンプの定電流回路からカスコードアンプまでの素子を電圧3.8V以内で動作させなければならない。のだが、3段に重なる各トランジスタにはトランジスタの動作に最低限必要なベース−エミッタ間の0.6V強の電圧配分をしてこれを実現している。これでカスコードの2SC1775Aのベース−コレクタ間には余裕で1Vの電圧が掛かっているので、この回路構成でぎりぎり2.5V出力も可能かもしれない。
 さて、5Vレギュレータでは定電流回路にFETが採用され、誤差アンプの動作電流はそのIDSS次第だったが、このレギュレータではオームの法則により6.9mAである。まぁ、FETの場合もこの辺の電流値にするのが良さ気だ。(^^;
 なお、つまらぬことだが、進も手持ちが尽きているので電流制限回路の10Ωを9.1Ωで、帰還回路の1.8kΩを2kΩでそれぞれ代用。
 で、早速正弦波。なのだが、このレギュレータは保護回路による出力電流の制限が60mA程度に設定されているので、観測のための出力電流の振幅は40mAに設定する。ので、オシロの電圧振幅は40mA×50Ω=2Vだ。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div
1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は0.6mV。
したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは0.6/40=15mΩ。
10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は0.6mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスも0.6/40=15mΩ。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上1mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div
100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は1.7mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは1.7/40=42.5mΩ。
1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は13mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは13/40=325mΩ。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
1kHz。
立ち上がり、立ち下がりに鋭いピークがあるようだが、この時間軸では明瞭でない。
10kHz。
電圧軸は2mV/div。ひげのピークが下に写った入力方形波の下まできているようだ。15mV程度まで達しているだろうか。その後のリンギングも明確になった。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz。
ひげのピークもリンギングの内容も明確になった。ひげのピークは13mVだ。その後3MHz程度のリンギングだが、ちょうど5uS程度で収束している。
1MHz。

こうして見ると、3MHzのリンギングの継続時間がやや長いが、回路構成も要素もほぼ同じNo−196の5Vレギュレータの過渡応答とよく似ている。(^^)
で、
No−196(5V)  :3MHzのリンギングが3uS。
No−108(5V)  :500kHzのリンギングが40uS。
No−82(25V)  :400kHzのリンギングが20uS。
No−128?(15V):500kHzのリンギングが20uS。
No−199(3.3V):3MHzのリンギングが5〜7uS。
続いてNo−199の−12V超高速シリーズレギュレータも組み上がった。ので、この際その過渡応答特性も観る。
オリジナル通りの回路。誤差アンプ定電流回路の2SK117BLにはIdss=6.6mAのものを採用した。
早速正弦波。このレギュレータは保護回路による出力電流の制限は120mA程度。ので、観測のための出力電流の振幅は60mAに設定する。よって、オシロの電圧振幅は60mA×50Ω=3Vとする。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸20uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
1kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は2.4mV。
したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは2.4/60=40mΩ。

あれ?他の超高速レギュレータに比較するとちょっとインピーダンスが大きい。。。
10kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は2.4mV。
したがって、10kHzにおける内部インピーダンスも2.4/60=40mΩ。やはり大きい。。。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz。
レギュレータ出力の電圧変動は3mV。
したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは3/60=50mΩ。う〜ん(^^; ようやく他の超高速レギュレータたち並になった。
最後に1MHz。
レギュレータ出力の電圧変動は18mV。
したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは18/60=300mΩ。これも他の超高速レギュレータ並。
では方形波応答はどうか。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div 10kHz、横軸10uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
1kHz。
もちろん立ち上がり、立ち下がりに鋭いピークがあるが、この時間軸で、もやっとしたリンギングが認知できる。低い周波数のリンギングがあるかもだ。
10kHz。
電圧軸は2mV/div。ひげのピークに続く高い周波数のリンギングのほかに、周期5uS=200kHzのリンギングが2波〜4波継続して収束している。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div 1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
100kHz。
ひげのピークは18mVだ。その後周期0.285uS=3.5MHz程度のリンギングだが、3uS程度で収束している。
1MHz。
このレギュレータ。結論としては方形波過渡応答等については他のK式超高速レギュレータと変わるところはないが、出力インピーダンス的には10kHz以下の周波数の低い領域でのインピーダンスの低下度がちょっと劣るようだ。これまで観たなかでマイナス電源のレギュレータはこれだけだが、レギュレータの性能に最も関係すると思われる誤差差動アンプのTRがこれだけPNPの2SA798であるが故だろうか。




(2008年11月5日)


(番外)


LM317のadj.端子とアース間に10uFを挿入してはどうか。とのご提案があった。

幸い基盤が残っていたので早速右のようにadj.端子とアース間に10uFのOSコンを追加して再度観測してみた。

上でこの10uFがない場合で観測したときと同条件としないと観る意味がないので、当然観測のための出力電流の振幅は60mAに設定する。よって、オシロの電圧振幅は60mA×50Ω=3V。

対比のため、
上でこの10uFがない状態で観測したときの写真も合わせて観る。

先ずは正弦波。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり

10kHz、横軸20uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり

1kHz。レギュレータ出力の電圧変動は1.6mV。したがって、1kHzにおける内部インピーダンスは1.6/60=26.7mΩ。10uFがない場合は下の写真の通り33.33mΩだから、かなり低くなった。絶対値としても良い数値である。
10kHz。応答波形が相変わらずおかしい。が、レギュレータ出力の電圧変動自体はは6mVと、10uFがない場合に比べると大幅に改善した。が、10kHzにおける内部インピーダンスは6/60=100mΩと、絶対値は必ずしも小さくはない。し、10kHzの前後よりインピーダンスが高くなる、要するに内部インピーダンスの周波数特性にこのあたりでピークを形成するという状況は変わらないようだ。
1kHz、横軸0.2mS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
10kHz、横軸20uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり
1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり
100kHz。レギュレータ出力の電圧変動は4.6mV。したがって、100kHzにおける内部インピーダンスは4.6/60=76.7mΩ。10uFがない場合は50mΩだったからこちらはかえってインピーダンスが大きくなってしまった。しかしながら、絶対値としては良い数値だ。 最後に1MHz。レギュレータ出力の電圧変動は13mV。したがって、1MHzにおける内部インピーダンスは13/60=217mΩ。10uFがない場合250mΩだったから、多少良くなっているし、絶対値としても良い数値。
100kHz、横軸2uS/div、縦軸上2mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
では方形波応答はどうか。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり
10kHz、横軸10uS/div、縦軸上5mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり

1kHz。下に比べるとリンギング周波数は周期30uS=33.3kHz程度と高くなり、その振幅は半分程度に小さくなり、リンギングの収束は5倍程度早くなっている。
10kHz。1kHz方形波応答の33.3kHz程度のリンギングの50uS分が拡大された姿だ。立ち上がり、立ち下がり部分にさらに高周波のリンギングがあることが分かる。下の、10uFがない場合よりもこのリンギングは大きそうだ。
1kHz、横軸0.1mS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
10kHz、横軸10uS/div、縦軸上50mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり
1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFあり
100kHz。ひげのピークは17mVで、下の10uFがない場合の20mVより多少よくなった。が、10kHz方形波応答に現れたさらに高周波のリンギングの姿が明らかになった。約6MHzのリンギングで、これは下の場合より振幅は大きく、収束までの時間も長い。 1MHz。6Mhz程度とおぼしきリンギングの姿だ。下の10uFがない場合より明らかにでこぼこして振幅が大きい。
100kHz、横軸1uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
1MHz、横軸0.2uS/div、縦軸上10mV/div、下1V/div
adj.−アース間 10uFなし
結論としては、adj.端子とアース間に10uFを追加接続することにより、1kHzから10kHz、特に10kHzの特性はかなり改善されることが分かった。が、相変わらず方形波負荷の入力で応答波形には数10kHzのリンギングが生じるし、そのためにか、10kHzでのインピーダンスにピークを生じている。これは、この辺の周波数で共振しているのだろうか。この点を除けば、100kHz、1MHzの正弦波応答、方形波応答とも良好の範疇と思われるし、そのインピーダンスもK式超高速レギュレータ並であるので、この点だけが残念なところだ。ここが改善出来ればLM317はK式超高速レギュレータにあまり引けを取らないものになるのだが。もしかすると、入力側と出力側のコンデンサーの種類や容量を変更するなどの方策でこの共振はなくせるのかもしれない。が、上手くいくかどうかは分からない。



(2008年12月24日)







(その後:PCオーディオをちょっとStudyする)



・あれから長らく放置してしまったK式DACだが、最近になってようやくこれを作り上げようというモチベーションが高まった。

・のは、オーディオの新機軸で近頃なにかと話題のPCオーディオなるものに興味を惹かれたのである。

・PCオーディオの世界はネットワークオーディオの世界と一体で、ネットワークオーディオの世界ではLINNがソフト、ハードともにつとに有名であるが、LINNのKLIMAXなど、我が身には到底無理な高級品の世界なので、ハイビット・ハイサンプリングのハイレゾリューション音源の再生には興味があったものの、とても踏み出せないと思っていたのだ。

・が、気が付けば世の中の流れには常に取り残されているもの。

・今や、それほどの投資をせずともネットワークオーディオの世界からハイビット・ハイサンプリングのハイレゾリューション音源を入手し、これを“パソコン”で再生して超高音質な音楽を聴くことが出来る世の中になっていたのだ。

・ということをMJ5月号の五島さんの紹介記事でようやく認識したのだった。(爆)(^^;

・で、気付けば、我が家でこれを実現するのに最低限必要なのは大枚2枚とDACだけである。

・となれば、これは放置してあったK式DACを急いで拵える以外にはない。

・と、モチベーションが上がると、これまで何度か失敗したSSOPパッケージのICの半田付けも難なくこなせたりする。のは、全く不思議なものだ。(爆)

・結果、あっという間にDAI&DAC基板が出来上がった。

・もちろん回路はNo−199のものである。

・が、CS8416には日和ってSOICパッケージのものを使ったことや、ベース基板とICピッチ変換基板との接続にショート端子を使ったことなどから、純正とはちょっと風景が異なっている。

・また、信号入力のコンデンサーにはあり合わせのSEコンとディップマイカを起用し、これらも同一基板に載せてある。

・さらに、純正の入力信号セレクト方式は3.3V電源とアースのショート(の可能性)が気持ち悪いので、S0、S1の47kΩは3.3Vに接続したまま、そのS0、S1側をプルダウンしてセレクトする方式にしてある。
・IVC&DSC基板は、No−196のものも組み立ててはあるのだが、予定を変更してLH0032によるものにした。これは虫屋のplatycerusさんのご厚意で入手したものだが、基板は銅箔厚が通常以上のものなのかずっしりと重い立派なもの。

定数設定等は異なるもの、回路は純正と考え方にほとんど違いはない。が、各LH0032にそれぞれローカルレギュレータを用意して電源を供給するなどこだわりの逸品である。したがって、私も2SA603、2SC943、2SA606、2SC959を惜しみなく起用し、また、抵抗にはタクマンRey、デカップリングコンデンサにはpanasonicの面実装PPSなど、platycerusさんの推奨品を使ってある。ただ、フィルターコンデンサと位相補正コンデンサにはSEコンを用いてしまうのは、なかなか抜け切れないところだ。なお、BZCは導入しなかった。BZCを導入しなくとも電源電圧±15Vで問題なく動作する定数設定としたからである。したがって、折角作った−12Vレギュレータは引き続き冬眠。

・電源部は、トランスが純正のTK−50B。このトランスは1次側が凝っているのだが、そのおかげで100V入力の他に115V入力も付いているのは今回好都合だった。この115V入力に100Vを入力することにより、2次側出力電圧を下げて使える。その結果2次側の25V出力と18V出力の整流後DC電圧が下がって、IVC&DSC基板のローカルレギュレータの制御TRである2SA606、2SC959の損失も適正な範囲に収まるのである。が、念のため純正の放熱器を付けて2SA607、2SC960化して使っている。

・3.3Vレギュレータと5Vレギュレータは、トランスに2つある7V出力を利用してそれぞれ独立に稼働させる。これらの回路は基本的に純正の通りだが、はせがわさんの指摘で周知の事実となったとおり、単独でそれぞれ供給した場合3.3V電源の方が5V電源より負荷の消費電流が大きく、また、サンプリング周波数が高くなるほどに3.3V側の消費電流が大きく増加する。ので、ICが窒息状態にならないように、その電流制限回路は3.3Vレギュレータの方を5.6Ω//5.6Ωの2.8Ω、5Vレギュレータの方を10Ω//10Ωの5Ωとしてある。

・そしてケース。かつて用意しておいたタカチOS70−26−33BXはDRIVER UNIT for STAX EARSPEAKERSに使われてしまったので、新たにOS70−32−33SSという一回り大きいケースを用意した。これでもトランスや基板を配置して見るとそれほど内部の余裕はない。が、写真のとおり、DAI&DAC基板の奥に多少の空きスペースが生まれた。折角なので将来ここにUSB−S/PDIFインターフェイス基板でも収めてみたいものだ。

・というわけで、私の初めてのDACが完成した。(^^)
・ので、早速PCオーディオで音を聴いてみる。

・そのために、大枚(^^;をはたいて手に入れたのが右のM2TECH hiFace。パソコンのUSBデジタル出力を受けS/PDIFに変換しRCA同軸出力するMADE in ITALYのD/Dコンバーターである。

・対応サンプリング周波数は44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz、176.4kHz、192kHz/16bit〜24bitとこの価格と大きさでは信じられないスペックだ。

・電源はパソコンのUSBに寄生だから、これをパソコンのUSB端子に刺すだけで192kHz/24bitの高品質音源の再生が可能になる。大きさもUSBメモリをちょっと大きくした程度。全くお手軽なD/Dコンバーターだ。

・所定のドライバーをインストールして、これのRCA同軸出力をRCAピンコードでDACの同軸入力に繋げばハードの設定は完了である。
・また、PCオーディオであるから当然コンピュータが必要であり、これは専用のものを用意した方が良いようではあるが、とりあえずは今使っているノートパソコンを使う。

・さらに、音源であるWAV、AIFF、FLAC、WMAロスレス、MP3などの音楽ファイルを再生する再生ソフトが必要な訳だが、これについてはありがたいことにフリーソフトがいくつかあるので、とりあえず著名なところで「foobar2000」と「uLilith」を使ってみることにした。

・で、ここからがスイッチポンで終わりのCDプレーヤー等と違ってやや面倒なところだが、良い音で聴くためのいくつかの手順を踏まなければならないようで、先ずは、この道の先達のアドバイスに従い、再生ソフトの動作環境を出来るだけ整えてやる。

我がPCのOSはVISTAであるが、・再生に使用するプレーヤーソフト以外のプログラムは極力停止、・プロセッサーのスケジュールを「バックグラウンドサービスを優先させる」に設定、・パフォーマンスオプションの「視覚効果」をパフォーマンス優先に設定、・デスクトップの背景を「なし」に設定(我がVISTAではうまくいかず(^^;)、・スクリーンセーバーを「なし」に設定、・サウンド設定でシステムサウンドを「なし」に設定、・サウンド設定でhiFaceを「動作中」から外し、hifaceのプロパティの詳細で「排他モード」の[アプリケーションによりこのデバイスを排他的に制御できるようにする]と[排他モードのアプリケーションを優先する] の二つの項目にチェックを入れ、[適用]をクリック、というところまではやってみた。極めればもっとやることはあるようだが、まぁ、この辺で妥協。(^^;

・さらに、PCオーディオで良い音を聴くためにはOSのカーネルミキサーなるものを使わない「カーネル・ストリーミング・モード」というもので再生ソフトとhiFaceが足並みを揃える必要があるらしく、「foobar2000」ではそのために「foo_out_ks}というプラグインソフトが必要だということでこれも所定のフォルダに格納した。「uLilith」の方はそういうプラグインソフトは必要ではないようだ。

・これで、我がパソコンをトランスポートにする準備は整ったはずなので、hiFaceをUSBに刺して再生ソフトとしてまずは「uLilith]を立ち上げる。

・が、その設定で「サウンド関連」-「サウンド出力」の「出力デバイス」の「出力プラグイン」にどうやっても「Kernel Streaming」が出てこない。「DirectSound」と「WaveOut」だけだ。し、使用デバイスも「SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」としか出ない。これでいいんだろうか? と悩むことしばし。。。

・ならば「foobar2000」ではどうだろうか、と思って「foobar2000」を立ち上げてPreference−Playback−OutputのOutput Deviceを見ると、選択肢に「KS:HIFACE Kernel Streaming」と「DS:SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」の両方が出るではないか。これは「KS」は「kerrnel Streaming」で「DS」は「Direct Sound」に違いないだろうから、当然選ぶべきは「KS:HIFACE Kernel Streaming」だろう。が、そうすると、「uLilith]で
「DirectSound」と「WaveOut」で「SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」の設定しか出来ないと言うことは、「uLilith」とhiFaceの組み合わせではカーネル・ストリーミング・モードに出来ないということだろうか? とまた悩む。。。(爆)

そこで、「uLilith」とhiFaceの組み合わせだとカーネル・ストリーミング・モードになっているのかいないのか判然としないことについて何か分かるかも知れないと思って、「uLilith」と「foobar2000」をXPマシンにもインストールしてみた。

・その結果、「foobar2000」ではOutput Deviceに「DS:HIFACE Kernel Streaming」と「KS:HIFACE Kernel Streaming」が選べ、「uLilith]では出力デバイスに
「DirectSound」で「HIFACE Kernel Streaming」という選択肢しか出てこない。というものになった。う〜ん、「foobar2000」「KS:HIFACE Kernel Streaming」は良く分かるが、それ以外はちょっと謎?(^^; だが、HiFACEは独自のドライバーでKernel Streamingを実現しているようなので、多分これらで問題ないのかもしれない。(^^; で、問題はVISTAの場合の「uLilith]で「DirectSound」と「WaveOut」で「SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」がどうなのかということだが、まあ、不明だけれど、この場合もhiFaceのドライバーがカーネルミキサーを上手く回避した動作をしているのかもしれない。

・が、本当のところが分からない。悩ましい。(爆)

・だが、悩んでばかりいても埒があかないので、音を聴くべし。(^^;

・ということで、まずは多分間違いなくカーネル・ストリーミング・モードになっていると思われる「foobar2000」で聴いてみる。音源には昨年のDCアンプ試聴会における
デモ用音源を使う。そのWaveファイルをFile−Openするだけで我がノートパソコンによる演奏が始まる。

・おー!成功だ。しかもなかなか良い音ではないか。(^^)

・と思ったのだが、さらに良く聴くと、ちょっと音像にくすみを感じる。し、そのためもあって空間が晴れきらない。何か一枚薄いベールがある感じ。。。

・う〜ん、やはりPCオーディオではこの辺が限界なのか。。。

・と、やや落胆したのだが、こうなればダメ元で「uLilith」も聴いてみるしかあるまい。

・なので、「DirectSound」の「SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」で聴いてみたところ。。。

・おおっ!なかなかだ。 音のくすみも消えて、変わって艶と張りが出てきた。そためもあって空間も晴れ渡り、結果演奏空間の雰囲気に包まれる、いわゆるワープ感覚が得られるではないか。(^^) 帯域も「foobar2000」より広く広大な感じだ。

・が、残念ながら音がたまにボツボツと切れたりすることもあり、必ずしもすべからく良いとは言い難いところもある。

・が、それはバッファの設定などで解消できるのかもしれない。なので、ネットで調べたりして勉強していると、「foobar2000」のセッティングについてとある情報を見つけたのだった。

・それは、「foobar2000」に不必要な信号処理を行わせないで完全なビットデータを送らせるために、Preferences−Playbackをクリックしてリプレイゲインのモードと処理を”none”とすることと、同じくPlayback−DSP option で「アクティブなDSP」を設定しないことである。それと異なるサンプルレートの曲に移行する際に発生する可能性のあるポップノイズ発生を防止するため、Preferences−Advanced−Playback−FadingプルダウンのFade on seek”、“"Fade out”、そして“Fade on pause” の数値をすべて "0" とすること。というものである。

・そこで、
「foobar2000」にその設定を施して聴いてみた。

・んんっ!良くなった〜。(^^)

・音のくすみも消えて、変わって艶と張りが出て、空間も晴れ渡り、結果演奏空間の雰囲気に包まれる、いわゆるワープ感覚が得られる。(^^) 帯域も最初よりぐっと拡大したように感じる。と、同じ言葉を繰り返す語彙不足だが(^^;、「uLilith]に比較するとこの設定の「foobar2000」の方が音に落ち着きがある。良さ気だ。

・その後、PCオーディオファンNo.1、No.2付録CD&DVDのヴィオラ・ダ・ガンバやタッド・ガーフィンクル録音選の96kHz/24bitから176.4kHz/24bitのWAVデータなど、手元のハイビット・ハイサンプリング音源を色々と聴いているのだが、どれも素晴らしいとしか言いようがない。(まぁ、手前味噌含みで(^^;) MJもこのくらいの音源を付録にしてもらいたいものだ。

・また、この際試しにネットでクリプトンから96kHz/24bitFLACの曲を購入してみた。LINNのDSシリーズなんかを使って再生するとイイよ!と書いてあるが余計なお世話。(^^;

・で、これも素晴らしいのだった。(^^)

・総じてその再生レベルはほぼ同等だが、私の環境では比べれば「foobar2000」がやや落ち着いた音であり、「uLilith」はよりメリハリの利いた音という感じがする。

・結論的には、ノートパソコンで音楽を再生してこれだけの音がするのでは最早CDプレーヤーなど。。。



(2010年5月10日)






(その後の2:PCオーディオをもうちょっとStudyする)



・hiFaceとfoobar2000、そしてuLilithでのPCオーディオだが、その後、もうちょっと勉強した結果、次のようなことを知った。

・@VISTA SP1以降はOS自体でWASAPIという、カーネルミキサーをバイパスするカーネルストリーミングと同様の機構を実装していること、Afoobar2000ではfoo_out_wasapi.dllというプラグインを使うことでこれを活用できること、BuLilithはデフォルトでWASAPIに対応していること。Cカーネルストリーミングと同様の機能をソフト的に果たすものとしてASIOという規格?があって、ASIO4ALLというフリーソフトでこれが実現できること、Dfoobar2000ではfoo_out_asio.dllというプラグインを使うことでこれを活用できること、FuLilithはデフォルトでこれに対応していること。

・そこで、我がVISTAノートパソコンにもASIO4ALLをインストールし、foobar2000の所定のフォルダにfoo_out_wasapi.dllとfoo_out_asio.dllもコピーし、hiFaceとこれらソフトとの動作親和性がどうかを試してみたところ、foobar2000の方は、これまでの「KS:HIFACE Kernel Streaming」、「DS:SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」に加えて、「WASAPI:SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」と「asio:ASIO4ALL」がOutput Deviceとして選択出来るようになり、ASIO4ALLの場合はそのconfigureで「HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz)」をActiveにする、ということで、いずれも良好に動作することが分かった。が、uLilithについては、やはりWASAPIがプルダウンメニューに現れないので、uLilithとhiFaceの組み合わせではWASAPIは使えないのかもしれない。しかし、ASIOについてはASIO4ALLをインストールしたことにより、uLilithのプルダウンメニューにASIO(with mixser)が現れるるので、デバイスとしてASIO4ALLを選択し、その詳細設定のコントロールパネルで「HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz)」をActiveにすることで、hiFaceが問題なく使えることが分かった。

・また、今ひとつ、foobar2000では、foo_input_dvda.dllというプラグインを所定のフォルダに入れると、CDの場合と同様にDVDオーディオをパソコンのドライブでストリーミング再生して聴くことが出来るだけでなく、そのDVDオーディオディスクに入っている音楽ファイルをパソコン内に取り込むこと、すなわちリッピングが可能ということも知った。
・なんと、これはこれは。。。(^^)。とうに逝った規格であるDVDオーディオディスクは、遠からずやってくるであろう対応ユニバーサルプレーヤーの絶滅とともに、中に入ったハイビット・ハイサンプリングの音楽データもろともにゴミになるだけだと思っていたのだが、これが事実なら、そのハイビット・ハイサンプリングのハイレゾリューション音楽データを葬ることなく活用できるということになる。

・なので、早速試してみた。

・結果、上手く行った。(^^)

・まずは、hiFaceとfoobar2000でWASAPIでもkernel StreamingでもASIOでも音が出るようにする。その状態で、所定のフォルダにfoo_input_dvda.dllをコピーしてfoobar2000を立ち上げると、あるいは既に所定のフォルダにfoo_input_dvda.dllをコピーしてあれば、Open−Fileで、DVDオーディオディスクのドライブを選ぶと現れる「AUDIO_TS」フォルダを開くとDVDオーディオ関連のファイルが現れる。そこで「AUDIO_TS.IFO」を開くと楽曲のファイルリストが表示される。そこには2チャンネル用の他、マルチチャンネル用のファイルもあり、環境がマルチチャンネルに対応していればマルチチャンネルのファイルも再生出来るようであるが、我が家では2チャンネルの環境しかないので2チャンネルのファイルを選んで再生ボタンを押すと、DVDオーディオディスクが回転し、音楽がストリーミング再生される。

・が、この場合、マルチチャンネルファイルや192kHzなどのハイサンプリングファイルの場合に、再生できないよ!とfoobar2000にそもそも怒られたり、再生出来ても早回し状態になって音がちりぢりになったりと、上手く再生されない場合もある。その適応性は、「WASAPI:SPDIF インターフェイス(HiFace 1.0.3 Usb to Spdif(44.1kHz−192kHz))」<「KS:HIFACE Kernel Streaming」<「asio:ASIO4ALL」であり、「asio:ASIO4ALL」なら殆ど再生に問題は出ないが、他の組み合わせでは再生が出来なかったり、早回し状態になる確率が高くなる。

・そこで、再生の対象リストで曲を選び、右クリックで出てくるメニューでConvertを選んでみると、その設定をどうするかというダイアログが現れるので、コンバート後のファイル形式(WAVかFLACかMP3か等)を選択し、出力先フォルダを指定し、後の選択肢はデフォルトとしてOKを押すと、ファイル名、ファイル形式確認のダイアログが現れるので、ファイル名を分かりやすいものに付け直して最後に保存を命じると、DVDオーディオディスクの音楽データが指定形式にコンバートされパソコン内の指定フォルダに収まるのである。24bit192kHzのDVDオーディオ音楽データも問題なく24bit192kHzのWAVデータに変換されてパソコン内の指定フォルダに収まった。そして、こうなってしまえば当たり前だが、それらの音楽データは、foobar2000でもLilithでもuLilithでも全く問題なく再生できるのであった。(^^)

・そこで、foobar2000で川畠成道の「アヴェ・マリア」をCDとDVD−Aからパソコンに取り込み、それをまたfoobar2000で再生して、果たして違いが分かるかどうかを試してみた。方や44.1kHz、1411kbpsで、方や96kHz、4608kbpsだ。

・結論的には、私の駄耳では別々に聴かされたら判別できないかも。。。(^^;(爆)

・なのだが、パソコンで瞬時切り替えで比べると駄耳の私でもその違いは分かるのだった。96kHz/24bitの方がふくよかで甘く切ない。これに対して、44.1kHz/16bitの方は薄く鋭い。やはり44.1kHz/16bitの方がそぎ落とされたものが多いことを、直後に96kHz/24bitを聴くと明確に感じる。そしてどちらが良いか?となれば当然96kHz/24bitの方だ。音空間の密度が濃く、より生感覚に近い。

・と、いうくらいの違いを感じさせる再生能力がPCオーディオにもある



(2010年5月15日)






(その後の3:PCオーディオをさらにちょっとStudyする)



・幸いにもElectrArtさんのUSB Audio基板を入手することが出来た。

・かなり多機能な基板で、WAVEのほかDSDファイルの再生もできるし、WAVEまたはDSDへのA/Dコンバーターにもなる。

・もちろん、もくろみはこれを使ったUSB DACの製作だが、とりあえず5V(300mA程度)の電源を用意すれば即USB−S/PDIFのD/Dコンバーターとして使える。

・USB転送には一般的な「アイソクロナス転送」ではなく「バルク転送」が使われ、データ化けや、PCクロックの影響によるジッタ発生がないものとなっている。

・専用のソフトをインストールし、早速動作確認を兼ねてUSB−S/PDIFのD/Dコンバーターとして使ってみる。

・ちょうど同じタイミングで届いた「HOLY LAND」は、システムの善し悪しを容赦なく暴いてくれるが、その再生音を聴くとこのUSB Audio基板の良さが良く分かる。

・「HOLY LAND」は鑑賞するものとしては?だが、システムチェック用のテスト音源としては最高だ。

・と言っては怒られるか。(^^;
 



(2010年6月19日)







(その後の4:電流伝送IVCをStudyする)



・PCM1794の電流出力をベース接地で受ける電流伝送IVCはとおるさんが本家であり、私もそれで行こうと思っていたのだが、結局こういう電流伝送IVCにした。

・IVCと言うより、ローパスフィルター付のIIC(電流/電流コンバーター)と言うべきか。

・図左上はPCM1794の出力である。No−196はモノモードのPCM1794のパラ出力であるので、バイポーラゼロが12.4mA、信号出力が最大15.6mAp−pの電流出力である。全くにしてあまりにもふだな電流だ。その後、持て余してステレオモードに移行したのも良くわかる。

・のはともかく、まず、その出力をBGA&CMに入れ、バイポーラゼロ電流をキャンセルするとともに、PCM1794の差動出力をプッシュプル合成してシングルエンド出力に変換する。

・次に、その出力を電流伝送チャンネルフィルター型1次ローパスフィルター2段でハイカットする。AOC導入で高価な不用品となってしまったSE33000pFをまたしてもここぞと投入する。(爆)

・そして、その出力をバリアブルカレントバッファで受け、電流ゲインをコントロールして、すなわちボリュームコントロールして電流出力する。プリアンプなど経由せず、DAC出力を直接パワーIVC又は電流伝送チャンネルフィルターへ送ろうという魂胆だ。

・と、いう訳だがどうか。

・なお、右図のR14は電流検出用の微少抵抗であり、シミュレーション上のダミーである。
電流ゲインをコントロールするR12を31.25Ω、62.5Ω、125Ω、250Ω、500Ω、1kΩとした場合の、電流ゲイン−周波数特性のパラメトリック解析。

・結果が右。

ローパスフィルターは上手く動作していることが分かる。

・で、グラフの下から、R12=31.25Ω、62.5Ω、125Ω、250Ω、500Ω、1kΩの場合。

・R12=31.25Ωの場合低域で−37dB程度、
R12=1kΩの場合低域で−9dB程度である。要するにボリューム最大でも信号を減衰して出力する。そもそもPCM1794の出力電流レベルが大きい上に、No−196はモノモードでパラ出力にしているのでこれでも減衰は足りないくらい。
・同様にR12を31.25Ω、62.5Ω、125Ω、250Ω、500Ω、1kΩとした場合の、各部の電流の推移を、入力に1kHz正弦波を加えて観る。

・R14、R15、R16は電流検出用のダミーである。
・緑がPCM1794のLoutL+&LoutR−出力電流、青が同じくLoutL−&LoutR+出力、空色がそれらをBGA&CMでプッシュプル合成後の出力電流である。

・そして、赤がバリアブルカレントバッファの出力電流であり、その振幅が小さい方から
R12が31.25Ω、62.5Ω、125Ω、250Ω、500Ω、1kΩの場合である。

BGA&CMでプッシュプル合成後の出力電流は、最大±15.6mAにも達するが、バリアブルカレントバッファでそれを3分の1以下にコントロールして出力する。
・PCM1794から10kHz方形波が最大レベルで出力された場合に、このICV出力はどうなるかを、同様にR12を31.25Ω、62.5Ω、125Ω、250Ω、500Ω、1kΩとした場合のパラメトリック解析で観る。
・振幅が小さい方からR12が31.25Ω、62.5Ω、125Ω、250Ω、500Ω、1kΩの場合。

・ローパスフィルターが入っているから当然なまった波形となっているが、正しい応答波形である。
・ので、早速基板を拵える。
・シンプルなので、あっという間に出来上がる。
・プラス18Vレギュレータとマイナス18Vレギュレータも出来た。

・左のマイナス18Vレギュレータは、上の方で作ったNo−199の−12V超高速シリーズレギュレータの帰還抵抗を18kΩ+18kΩから18kΩ+9.1kΩに変更しただけである。ようやく出番が来たもの。

・右のプラス18Vレギュレータは、極性を変えて同様の回路構成で新たに拵えた。
・回路図。

・右がレギュレータ。下が電流伝送IVC。

・なお右のレギュレータは過電流検出抵抗が10Ωと12Ωのパラとなっているが、10Ωが切れたため12Ωで代用したもので、他に意味はない。
・続いてケーシング。

・従前のIVC&DSC基板に代わって、今回の電流伝送IVCと、そのためのレギュレータが鎮座。
・早速、近頃拵えた電流伝送チャンネルフィルター&電流入力パワーIVCと組み合わせて試聴する。





・全く電流伝送というのは恐ろしい。

・伝送経路の障害など一切お構いなく、そこのけそこのけと信号を通してしまうのが電流伝送だ。

・だからその浸透力は強力。ソースの情報が残さず余さず伝達される。

・この場合も、PCM1794が出力する信号が寸分違わず直接ダイレクトにスピーカーから出てくる感じの、演奏の生気が満ちあふれた音である。





・なお、音の大きさやオフセット等はなお改善を要する状態なので、このまま作ってはいけない。(爆)



(2012年5月5日)







(その後の5:電流伝送IVCを再度Studyする)



・そうか、電流伝送IVCではなく、ローパスフィルター&レベルコントローラー付のDSCか。は、ともかく、私のローパスフィルター付のIIC(電流/電流コンバーター)については、いくつか問題がある。

・特に、PCM1794の出力はオープンコレクタだろうから、別に0電位で受けなければならないということもないだろうと、その出力をフィルター経由で0電位に繋いだのは、ちょっとまずかったようだ。

・こうすると56Ω+56Ωで112Ωに過ぎないとは言え、出力電流が最大31.2mAp−pなので最大ピークで±1.747Vの電圧がPCM1794の出力にかかるのである。その程度の電圧が出力にかかっても問題ないだろと思っていたのだが、やってみるとPCM1794Aの出力が大きくなった際に何故かクリップしてしまう。

・ので、リサーチしてみると、PCM1794の出力にはダイオードによる保護回路が右のように付加されているようなのである。そうであると、PCM1794の出力では±0.6V以上の電圧は形成することが出来ない。から、クリップするのは当然だ。(爆)

・そうだとするとこれは致命的なので、電流伝送ローパスフィルターは今の位置に置いておく訳にはいかない。バリアブルカレントバッファ―の後ろに移さなければいけない。

・ので、作り直しだ。
・で、新しい基板が出来上がってきた。

・が、何やら大分様相が違う。






















・のは、どうせ基板を作り直すなら・・・、ということでNo−220のローパスフィルター&レベルコントローラー付DSCにしてしまったのだ。(爆)

・よって、回路は下図。
・手持ちの都合等で定数にオリジナルと一部異なるところがあるが、No−220のローパスフィルター&レベルコントローラー付DSCそのものだ。

・が、そもそもNo−196なのでAC電源であり、電源電圧はこれまでの経緯から±18Vとなる。

・だから、PCM1794Aをモノモードで使用し、そのパラ出力で、バイポーラゼロが12.4mA、信号出力が15.6mAp−pであっても、No−220オリジナルと違って問題なく対応できる。

LTSpiceでその電流ゲイン−周波数特性を占う。

・R11のボリュームを1Ω、10Ω、100Ω、1kΩとするパラメトリック解析。
・結果はこう。

・ローパスフィルターもレベルコントローラーも極めて適切に機能することが分かる。

・さすがはK先生である。

・これでは問題のある自分のIIコンバーターの改善を図る意欲は無くなってしまうわなぁ。(^^;
10kHz正弦波応答はどうか。

・同じくR11のボリュームを1Ω、10Ω、100Ω、1kΩとするパラメトリック解析。
・正弦波が2本しかないように見えるが、実は0mA付近にR11が1Ωの場合と10Ωの場合の正弦波がちゃんとあり、何の問題もない応答となっている。

・この結果から見ればボリュームは1kΩで十分だろう。
・10kHz方形波応答はどうか。

・これも同じくR11のボリュームを1Ω、10Ω、100Ω、1kΩとするパラメトリック解析。
・この場合も方形波が2本しかないように見えるが、0mA付近にR11が1Ωの場合と10Ωの場合の方形波がちゃんとあるのは同じ。

・何の問題もない応答となっているのも同じ。

・ところで、右はMJ2010年4月号の8ページに掲載されている、フェーズテック社HD−7Aのアナログ回路。

・フェーズテック社のHPではこの回路を“新開発プッシュプルカレントミラーI/V変換回路PPCMC(特許出願中)”と説明している。

MJ2010年4月号8ページの図3回路図にはR1、R2がないのだが、多分それは誤植?だろう。なお、抵抗の定数等は適当に付けたものだが、それは本質に関与しない。

・No−220と比べるとちょっと複雑で多少違うようにも見えるが、それはカレントミラーがベース電流補償型になっていることと、終段が電流を倍増するために二連出力型になっていることによるもので、あとは終段で合成後の電流出力をR11(100Ω)でIV変換して出力する点が異なっているが、全体の構成はNo−220のローパスフィルター&レベルコントローラー付DSCと全く同じものだ。

・そしてHD−7AのDACもNo−220と同じくPCM1794。
・で、LTSpiceの占う、その電圧出力の周波数特性はこう。
・10kHz正弦波応答も、
・IV変換で電圧出力になっているだけで違いはない。

・当たり前。(爆)
・結局、考えれば同じ構成になるということかもしれないが、「内部構成は超シンプルで、必要最小限の要素から構成されている。なぜこのようなDAコンバーターがなかったのか、不思議なくらいである。」と高らかにおっしゃるのは、いくらそれが今回のDSC回路だけのことではなくDAコンバーター全体の構成について言ったものとしても、いかがなものか。

・なのだが、我がNo−196DACは、そのアナログ部がHD−7A型、じゃなくて、No−220型となった。(爆)
・音はどうか?

・既に自分で作ったローパスフィルター付のIIC(電流/電流コンバーター)による“ダイレクト電流伝送方式D/Aコンバーター”で、電流伝送チャンネルフィルター&電流入力パワーIVCにダイレクトに電流信号を送り込む音は聴いていたので、今回特に驚くような変化はない。

・が、音は素晴らしいのである。

・その良さは聴いてもらう以外伝えようはない。電流伝送となって、名石を追求した等の過去40年は何だったのかと思えるほど音が飛躍したのだが、我がNo−196もアナログ部の変更と電流伝送化とによってもはや他のDACを聴く気がなくなる音になってしまった。

・これを聴くためには電流伝送チャンネルフィルターや電流入力パワーIVCも拵えなければならないのだが、今回のHD−7A型、じゃなくて、No−220型の
アナログ部は安定度も良いので、あなたも作ってみると良いかも知れない。




(2012年5月17日)







(DDコンバーター)



・2011年4月号のMJズームアップにも登場しているオーロラサウンド製hiFace Professional。

・中身はM2TECHのhiFaceそのものだが、そのM2TECH hiFaceがいかにもイタリア製らしくある日突然故障して音が出なくなってしまったので、近くの大衆家電量販店で値段もオリジナルとあまり変わらず売られていたこれを代替として入手したもの。

そのズームアップによれば、凄まじく超絶した耳で著名なS氏は、オリジナルHIFACEとは音質に大きな開きがあるので驚いたそうだが、駄耳の私はその辺の違いは良く分からない。(爆)

・が、私としてはその音に何の不満も感じない。この値段で電源もパソコンのUSBに寄生であるのにこれだけ素晴らしい音楽を再生してくれるのだから全くありがたいものだ。
・No−216で先生も紹介されているフェーズテックというか、今はフェーズメーションのUDIF7。

・今さら96kHz/24bitまでのUSBオーディオクラス1.0の機器を入手する必要はあるまいと考えていたのだが、先生が「本基板はUSBオーディオクラス1.0対応なので、サンプリング周波数は96kHzまでのはずだが、実際は192kHzのソースでも再生できる。」と書いておられるし、その音については巷の評判も良いので手に入れてみた。

・ら、やっぱり
96kHz/24bitのソースまでしか再生できないのだった。(爆)

・我が家の再生ソフトの中ではMediaCenter17は192kHz/24bitのソースもUDIF7経由でちゃんと再生できるのだが、それはMediaCenter17がUDIF7の能力を感知して96kHz/24bitにダウンコンバートしてUDIF7にデータを渡しているが故だ。

・果たしてK先生はどうやって192kHzのソースをこれで再生しているのだろう?

ということはともかく、音は巷の評判通り良い。hiFaceに比べるとややウエットに感じるが、カートリッジのちょっとした個性の違いのようなもので、感動的な音楽を再生してくれることに何の違いもない。

・のだが、これを使用すると我がDACの音は全くHD−7A?(爆)

・かどうかはともかく、早くケースに入れてやろう。
・エレクトロアートさんのUSB DUAL AUDIO基板。上の方でUSB Audio基板も入手してあるのだが、そちらはほおったままに最新版を入手してしまった。

・この最新版は、USB―S/PDIFのDDコンバーターとして使うのであればhiFaceと同様にUSBバスパワーで動作するので何の手間もない。

・右はその状態でUSBオーディオクラス2.0モードで192kHz/24bitのソースを再生しているところなのだが、これも音は良い。何の不満もない。

・が、このUSB DUAL AUDIO基板はこういう使い方ではもったいないというもの。なのは、上のUDIF7も同じで、これらはそのI2S出力を使ってやってこそ入手する本当の意味がある。

・のだが。。。(爆)



(2012年5月22日)







(半分DSDネイティブ再生)



・MJ7月号でT氏がNo−220で聴いているイヴァン・フィッシャー指揮ブタペスト祝祭管弦楽団、ストラヴィンスキー「春の祭典」「火の鳥」etcを聴く。

・JRMC17とUSB DUAL AUDIO基板で、DoPによるDSDネイティブ再生とする。が、その後USB DUAL AUDIO基板がPCM変換した信号をS/PDIFで我がNo−196DACに繋いでいるので、まぁ、半分DSDネイティブ再生。(爆)
・音はT氏の言うとおりで、レンジは生のように広大でしかもその音は透明、瑞々しく刺激感がなく、とても鮮度が高い。

・が、これをアナログ的な音としたのでは正しくないだろう。

・金管楽器の重厚な響き、金属系パーカッションの色濃く豊かな倍音、音場に浮き上がるような厚みのある弦パート、背後まで響く大太鼓の一撃などなど、正にそのとおりで、こんな音はデジタル的でもアナログ的でもなく、生音的な音と言うしかない。

・のが、今の金田式電流伝送の音である。



(2012年6月9日)







(その後の6)



ローパスフィルター&レベルコントローラー付DSCの回路をちょっと変更した。

・一つは、一段目のローパスフィルターを3,300pF+220Ωとしてそのカットオフ周波数を110kHzに上げた。のは先生に倣ったもの。

・今一つは
、レベルコントロールのためのVRを500Ωと更に小さくした。のは、そもそも10kΩは私の環境では全く論外なので、これを1kΩと20dBも下げていたのだが、それでもまだ音が大きくて使い勝手がいまひとつなので500Ωに変更したもの。

・要するに信号電流の大部分はアースに捨てる。かつてのK式ならやってはいけないことだったが、まぁ、電流伝送なのでOKなのだろうて。(爆)

・なお、2連で10kΩ未満の抵抗値ではBカーブしか手に入らない。是非もなし。




(2012年7月8日)