1.概略
パイプ喫煙で必ずカーボンという言葉がでます。
パイプがブライヤーの場合は必要であり役割は、
@吸湿性により煙をドライにし煙草を美味くする。
A木部の火皿の保護
と考えています。
ここではカーボンについていろいろと考えてみました。
2.カーボンはどのような物
1)パイプについたカーボンと呼ばれる物は何物?
これは、私がパイプを始めてから常に思っていた事です。
本当にすす(炭素)なのか?それとも違う化合物なのか?「カーボン」と呼んでもいい物なのか?
だれもそれを確信して答えれるわけがないと思っていました。
それを分析した事がないのだから 証拠がないのだから
それでは私の置かれている境遇を最大限活かしてみようと思いました。
もしかしてこんなバカな事をしたの私が世界初でしたら嬉しいです。
「こんな事して何になるの?」と言われると「別にーー 証明したかっただけ」と答えます。
2)サンプルについて
パイプに付けたカーボンは、2種類用意しました。
パイプA・Bはやや硬めカーボン・・・・・・喫煙後すぐに灰など綺麗にふき取る事でできたカーボン
パイプCは、軟らかいカーボン・・・・・・・喫煙後そのままで軟らかい
どちらのサンプルもカーボンを削るのではなく表面状態を観察するため切り取りました。
カーボンに段差ができました。(涙)
3)使用機器について
SEM(Scanning Electron Microscope)について簡単に説明します。
SEMは、電子ビームを材料にあてて2次電子と呼ばれる電子を主として用います。
2次電子は材料に電子ビームを当てた時 飛び出してくる電子の事で材料別にエネルギーが異なるので
どのような元素がふくまれるかわかるのです。また画像も光学顕微鏡が500倍が限度に対し
もっと高倍率にみれます。今回私が使用したSEMは、3000倍まで見られます。
メーカは伏せておきます。 ばれますから(汗)
又走査線の性能から表面から深さ5ミクロン未満の元素を検出できます。
4.分析結果
1)まずは2つのパイプから取ったサンプルに含まれている元素データーです。
パイプA(硬いカーボン)
パイプAのサンプルの各元素濃度を数字化したものが下記になります。
パイプB硬いカーボン
パイプC軟らかいカーボン
2)採取したカーボン3000倍の拡大画像
パイプA硬いカーボン
注)画像下に見える棒はスケールを表しこの棒の長さは7ミクロン
パイプC軟らかいカーボン
3)元素毎の分布
これは、上記写真の場所で各元素がどのように分布しているかを調査した結果になります。
黒い画面に白い斑点がありますが そこにその元素の反応がある事をしめします。
元素 | パイプA | パイプC | 備考 |
---|---|---|---|
走査箇所写真 | |||
C | |||
O | |||
Mg | |||
Al | |||
Si | |||
P | |||
S | |||
Cl | |||
K | |||
Ca | |||
I | ー 撮影忘れ |
ー 検出されず |
|
4)結果
1.軟らかいカーボン、硬めカーボン もほぼ同じ元素が見られた。
2.検出された元素は、炭素・酸素・マグネシウム・アルミナ・シリコン・リン・イオウ・塩素
・カリウム・カルシウムが著しく見られた。
3.硬めカーボンは、炭素が70%前後に対し軟らかいカーボンでは50%前後であった。
4.硬めカーボンと比較した場合軟らかいカーボンでは、カリウム・カルシウムが多くみられる。
5.酸素は、ほぼ同じと見られる。
6.写真観察では、軟らかいカーボンの方が孔が少い。
7.元素分布を見ると塩素とカリウムの濃度分布がほぼ一致する。これは塩化カリウム(苦い塩)の可能性がある。
8.元素分布を観察すると蒸着されたような分布になる。
5)結論
パイプから採取した物はどちらも工業的にもカーボンと呼べると思われる。
6)まとめ
今回のサンプルはどれもクール&ドライスモーキングを心かけて
喫煙されたパイプから採取したものです。
喫煙後の処理により性状に差がある事とは別として諸先輩や本に
記載されているようにクール&ドライスモーキングを心かけ喫煙を行えば
カーボンと呼ばれる物が付くという事が解りました。
当り前とされてきた事を今回は証明したと考えています。
どうでしょうか自分のはカーボンなのだろうかと悩まず以下の点をまもれば
このようなカーボンが付くと考えられます。
大前提は、クール&ドライ
@パイプを熱くするような喫煙はしない
A適切な加湿をした煙草で楽しむ。これは水分が多い場合、ジュースが出易いからです。
B別に再着火は恥ではない。パイプが熱くなったら喫煙を止める。
冷めたらまた再着火して喫煙を開始すれば良い。