聖書のメッセージ


2018年6月3日(日曜)

聖霊降臨節第3主日
北千住教会 持田嗣生牧師

「主がご入用なのです」
聖書 マルコ11章1節−11節
------------------------------------------------
一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山のふもとにあるベトファゲとベタニアにさしかかったとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、言われた。「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、連れて来なさい。
もし、だれかが、『なぜ、そんなことをするのか』と言ったら、『主がお入り用なのです。すぐここにお返しになります』と言いなさい。」
二人は、出かけて行くと、表通りの戸口に子ろばのつないであるのを見つけたので、それをほどいた。
すると、そこに居合わせたある人々が、「その子ろばをほどいてどうするのか」と言った。
二人が、イエスの言われたとおり話すと、許してくれた。
二人が子ろばを連れてイエスのところに戻って来て、その上に自分の服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。
多くの人が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は野原から葉の付いた枝を切って来て道に敷いた。
そして、前を行く者も後に従う者も叫んだ。「ホサナ。主の名によって来られる方に、/祝福があるように。
我らの父ダビデの来るべき国に、/祝福があるように。いと高きところにホサナ。」
こうして、イエスはエルサレムに着いて、神殿の境内に入り、辺りの様子を見て回った後、もはや夕方になったので、十二人を連れてベタニアへ出て行かれた。
 マルコ11章1節−11節 聖書・新共同訳
------------------------------------------------------
ご自分のエルサレムでの受難と死を告げられたイエスは、弟子たち並びに従って来る人々を伴い終にオリーブ山のふもとまで来られました。当時、メシアはオリーブ山から出現すると考えられていました(ゼカリヤ14:4)。
オリーブ山に来るとイエスは二人の弟子を、子ロバを引いて来るように向こうの村に遣わし、誰かが『なぜそんなことをするのか』と尋ねたら、『主がお入用なのです』と言いなさいと言われました。彼らが行って、子ロバを引いて来ようとすると、人々が『なぜか』と尋ね、彼らが『主がお入用なのです』と言うと、この言葉だけで許可してくれたのでした。
弟子たちはそれまで、イエスを主なるお方、王なるお方として受け入れ、主イエスのために子ロバを用立ててくれる人がいるとは知らなかったでしょうし、想像もしていなかったでしょう。しかしすでにこのような人がいたのでありました。
かつて預言者エリヤは王妃イゼベルから命を狙われた時、主なる神に従う者は自分一人だと考えていました。しかし神はそう考えていたエリヤに向かって、ご自身に仕える7千人の人々を残していると告げられたのでした(列王上19:18)。わたしたちの全く知らないところでも、主の御業は進められ、主に従う人々が育てられているという、人知を超えた神の御業を覚え、自分の考えや思いによって神の御業を推し量ることのないように致しましょう。
最後に考えたいことがあります。「主がお入用なのです」と言うと、人々は子ロバを主イエスのために提供してくれたのですが、この主イエスご自身が、わたしたち全ての者を救おうとなさる、父なる神のお入用のためにご自分を献げておられるお方であるということであります。イエスは「主がお入用なのです」という父なる神からの要請に応答され、またこの人々は「主がお入用なのです」というイエスからの要請に喜んで応答したのでありました。「主がお入用なのです」という要請がどんなに意味深いことであるかを覚え、わたしたちも、「主が御入り用なのです」と聞いた時には、喜んで応答させて頂きましょう。
こうして提供された子ロバに乗って、イエスはエルサレムに入城されたのでありました。子ロバに乗ってエルサレムに入城する王については、ゼカリア書9章に「見よ、あなたの王が来る。彼は神に従い、勝利を与えられた者。高ぶることなく、ロバに乗って来る.雌ロバの子であるロバに乗って。わたしはエフライムから戦車を、エルサレムから軍馬を絶つ。戦いの弓は絶たれ、諸国の民に平和が告げられる。彼の支配は海から海へ、太河から地の果てにまで及ぶ」、と記されてありました。
こうしてこの記事は、イエスが、人々が期待していた力によって支配するこの世の王ではなく、神の御心に従って、全世界に神の恵みによる平和をもたらすお方であることを告げております。