聖書のメッセージ


2018年2月18日(日曜)

受難節第1主日
北千住教会 持田嗣生牧師

「あなたは救い主です」
聖書 マルコ8章27節−30節
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イエスは、弟子たちとフィリポ・カイサリア地方の方々の村にお出かけになった。その途中、弟子たちに、「人々は、わたしのことを何者だと言っているか」と言われた。弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言っています。ほかに、『エリヤだ』と言う人も、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」 そこでイエスがお尋ねになった。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」ペトロが答えた。「あなたは、メシアです。」 するとイエスは、御自分のことをだれにも話さないようにと弟子たちを戒められた。
 マルコ8章27節−30節 聖書・新共同訳
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 イエスは、フィリポ・カイザリア地方を旅しておられる時、「人々はわたしのことを何者だと言っているか」と尋ねられると、弟子たちは、洗礼者ヨハネだ、エリヤだ、預言者の一人だと言う人もありますと答えました。
洗礼者ヨハネは、イエスの先駆者として、悔い改めの洗礼を授け、来るべきお方は聖霊によって洗礼を授けるお方ですと言ってイエスのことを指し示した人でした。しかし当時のユダヤの領主であったヘロデアンテイパスが異母兄弟ヘロデフィリポの妻を自分の妻とすると、律法違反であることを指摘し、このことのために捕えられ、殺され人でした。
エリヤは前9世紀の北イスラエルの預言者であり、当時、農業神バールを信仰しでいたアハブ王と対決した人でした。
預言者の一人とありますが、多くの預言者はその時代の王や民の神への背きを指摘し、悔い改めを求めた為に迫害を受け殺されました。
イエスがこの預言者たちのように迫害を受ける人として見られていたということは、注目すべきことであります。
 イエスが弟子たちに「あなた方はわたしを何者だと言うのか」尋ねられると、弟子を代表してペトロが「あなたはメシア(救い主です)」と答えました。
 ヨルダン川の源流となる水が噴き出していて、自然への依存を促す場所であり、またローマ皇帝とヘロデ王の権力と支配をひしひしと感じさせるこの場所で、イエスを神から遣わされた救い主ですと告白することは驚くべきことであり、また意味深いことでありました。 しかしイエスは、「ご自分のことをだれにも話さないように」と戒められました。それは弟子たち並びに当時のユダヤ人のメシア像に問題があったからです。アッシリア、バビロニア、ペルシャ、ギリシャ、エジプト、更にローマの支配のもとに置かれて来たユダヤ人たちは、神がダビデの子孫からメシアを出現させ、このメシアが世界を治め、パレスチナに世界の中心地としての繁栄をもたらすという信仰でした。ユダヤ人の民族主義的色彩の強いメシア像でありました。 このメシア像は、イエスが果たそうとしておられた使命とは全く異なるものでした。もし弟子たちが彼らのメシア像によってイエスのことを人々に喧伝すれば、イエスは誤解を受けることになります。それで現時点ではだれにも言わないようにと戒められたのでありました。
神がアブラハムに約束されたことは、彼の子孫が、神の恵みを運び行く器とされることでありました。メシアであるイエスはご自分の民をそのように導くお方であります。
わたしたちも間違ったメシア像を持たないよう、主イエスと聖霊の導きを求めつつ歩みましょう。