2017年9月3日(日曜) 聖霊降臨節第14主日 北千住教会 持田嗣生牧師 「主イエスへのあなたの信仰」 聖書 マルコ5章25−34節 ------------------------------------------------ さて、ここに十二年間も出血の止まらない女がいた。多 くの医者にかかって、ひどく苦しめられ、全財産を使え果た しても何の役にも立たず、ますます悪くなるだけであった。 イエスのことを聞いて、群衆の中に紛れ込み、後ろからイエ スの服に触れた。「この方の服にでも触れればいやしていた だける」と思ったからである。すると、出血が全く止まって 病気がいやされたことを体に感じた。イエスは、自分の内か ら力が出て行ったことに気づいて、群衆の中で振り返り、「 わたしの服に触れたのはだれか」と言われた。そこで弟子た ちは言った。「群衆があなたに押し迫っているのかお分かり でしょう。それなのに『だれがわたしに触れたのか』とおっ しゃるのですか。」しかし、イエスは、触れた者をみつけよ うと辺りを見回しておられた。女は自分の身に起こったこと を知って恐ろしくなり、震えながら進み出てひれ伏し、すべ てをありのまま話した。イエスは言われた。「娘よ、あなた の信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もう病気に かかわらず、元気に暮らしなさい。」 マルコ5章25−34節 聖書・新共同訳 ------------------------------------------------------
25節に「さて、ここに12年間も出血の止まらない女がいた」とあります。出血の継続は大変なことです。しかもレビ記12章、15章には、その病気の人が触れる物はすべて汚れるとされており、神殿へ行くことも禁じられていました。日毎の生活もまた社会的にも宗教的も制約をもたらしました。 そうした中で「イエスのことを聞いた」とあります。主イエスが汚れた霊を追放し(1:25,58)、シモンの姑の熱病を癒し(1:31)、さまざまな病気を癒し(1:34)、重い皮膚病を癒し(2:5)、罪人の罪を赦し(2:16)、片手の萎えた人を癒し(3:5)、ガリラヤ湖の風と波を鎮められた(4:39)ことなどを聞いたのでしょう。このお方に助けを求める以外にはないと考え、主イエスの所へ行きました。 それにしても自分がイエスに触れると、汚れが感染するかもしれません。群衆に紛れ、気づかれないように主イエスの後ろから、服に触れました。すると病気が癒されたことを体に感じたとあります。驚くべきことであります。 他方、主イエスは力が抜けたことを感じ、誰が触れたのかとその人を捜されました。弟子たちは人が押し迫っている中で、そんなことは不可能だと言いました。しかし主イエスはなおも触れた人を探されたのであります。 この女は、主イエスに汚れを感染させたのではないか、この病気が再発しないか等、不安と恐れに捕えられている中で、自分を捜しておられる主イエスに応答して、御前に出てひれ伏し、すべてをありのままに話しました。 するとイエスは「あなたの信仰があなたを救った」と告げられました。この女はこれまで、病気のためにすべてを失い、また何もできず、絶望的な状態にありました。しかし主イエスは言われました。「わたしへのあなたの信仰が、病気の癒しをもたらし救いを来らせたのだ。あなたは何を持っていなくても、何が出来なくても『わたしへのあなたの信仰』が一切をもたらすのだ。『わたしへのあなたの信仰』こそは、一切の始まりなのだ」と言われたのであります。 そして更に『安心して行きなさい』と言われました。この語は直訳すれば「平和に入りなさい』となります。「平和」は恵みに満ちた神の統治の中で与えられるものです。イエスは、「神の国に入り、そこにおいて恵みとして与えられる平和に生かされなさい」と言われたのであります。 わたしたちは今、主の晩餐に与ろうとしています。主イエスの贖いの御業に与り、神の恵みに満ちた国に入れられ、恵みによる平和に生きる者としていただきましょう。 |