聖書のメッセージ


2015年08月23日(日曜)

聖霊降臨節第14主日礼拝
北千住教会 持田嗣生牧師

「主イエスの権威」
聖書 ヨハネ7章40−53節


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   彼らの中の一人で、以前イエスを訪ねたことのあ
 るニコデモが言った。「我々の律法によれば、まず
 本人から事情を聞き、何をしたかを確かめたうえで
 なければ、判決を下してはならないことになってい
 るではないか。」彼らは答えて言った。「あなたも
 ガリラヤ出身なのか。よく調べてみなさい。ガリラ
 ヤからは預言者の出ないことが分かる。」
         ヨハネ7章50−52節 聖書・新共同訳
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 祭司長、ファリサイ派の人たちによって、イエスを捉え連
行するために派遣された下役の人たちは、イエスを捉え連行
することが出来ずに戻って来ました。祭司長、ファリサイ派
の人々がその事を指摘すると、彼らは『今まで、あの人のよ
うに話した人はいません』と言ったとあります。
 下役の人たちはユダヤ人の最高法院の構成員から派遣され
たのですから、国の使者としての権威を持っていました。彼
らは今までにも何度も人を逮捕し連行するために派遣された
ことでしょう。そして彼らの権威はすべての人に対して有効
だったでしょう。しかしイエスが語られる言葉には未だかつ
て経験しことのない権威があり、自分たちの権威が行使出来
なかった、と告げたのであります。祭司長、ファリサイ派の
人々には理解できなかったかもしれませんが、遣わされた人
々は文字通りそのような経験をしたのであります。最高法院
の権威も、イエスの言葉の前では通用しませんでした。
 どういうことが起こっていたのでしょうか。先ず第1には、
彼らはイエスを殺すために捉えようとしておりました。しか
しイエスは『今しばらく、私はあなたたちと共にいる。それ
から、自分を遣わされた方のもとへ戻る。あなたたちは、わ
たしを捜しても見つけることがない。わたしのいる所に、あ
なたたちは来ることが出来ない。』と言い、殺されてもご自
身を遣わされた父なる神の所に戻るのだと告げ、彼ら自身が
イエスを捜すようになると言われたのであります。彼らは今
イエスを捉えて死に追いやろうと企図していました。しかし
イエスは彼らの目論見とは全く異なる歩みをすることになる
と告げられました。彼らはイエスを自分たちの意向のままに
扱うことが出来ると考えていましたが、全く別の事態が展開
すると聞き驚き逮捕出来なかったのであります。
 第2には、神は、世の終わりの時、全ての人にご自身の霊
を注ぐと約束しておられましたが(エゼキエル11:19、ヨエル
書3:1-2)、イエスは、このことはイエスご自身において成就
すると告げられました。彼らはイエスにおいて神の恵みの御
業が成就されると聞いたのであります。このイエスにおいて
歴史を貫いた神の目食いのご計画が成就することを聞き、主
イエスこそ歴史の主であり、世界の主であることを聞いたの
であります。かくて彼らはイエスを捉えて連行することが出
来なくなるという経験をしたのであります。
 わたしたちも今日、当時の人々のように、一切の権威はこ
の世の力にあると思い込みがちであります。しかし究極の権
威は、わたしたち全ての者の贖いのためにご自身を献げられ
た主イエス・キリストにあること、また歴史の主、世界の主
はイエス・キリストであることを信じ、主の言葉に聞き従う
歩みに勤しみましょう。