聖書のメッセージ

2015年05月03日（日曜）

復活節第５主日礼拝
北千住教会　持田嗣生牧師

「新たな旅立ち」
聖書　ヨハネ２１章１５−１７節


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   彼らが食事を済ませたとき、イエスはシモン・ペ
 テロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたは、
 この人たち以上に、わたしを愛しますか。」ペテロ
 はイエスに言った。「はい。主よ。私があなたを愛
 することは、あなたがご存じです。」イエスは彼に
 言われた。「わたしの小羊を飼いなさい。」イエス
 は再び彼に言われた。「ヨハネの子シモン。あなた
 はわたしを愛しますか。」ペテロはイエスに言った。
 「はい。主よ。私があなたを愛することは、あなた
   がご存じです。」イエスは彼に言われた。「わた
 しの羊を牧しなさい。」イエスは三度ペテロに言わ
 れた。「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛し
 ますか。」ペテロは、イエスが三度「あなたはわた
 しを愛しますか」と言われたので、心を痛めてイエ
 スに言った。「主よ。あなたはいっさいのことをご
 存じです。あなたは、私があなたを愛することを知
 っておいでになります。」イエスは彼に言われた。
 「わたしの羊を飼いなさい。
         ヨハネ２１章１５−１７節　聖書・新改訳
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　先週私たちは、弟子たちが徒労に終わった一晩中の漁の後、
主の言葉に従って漁をし、おびただしい魚を得、復活された
主と共に喜びに満ちた食事に与ったことを聞きました。
　食事の後、主イエスはヘテロに『ヨハネの子シモン。あな
たは、この人たち以上に、わたしを愛するか』と問われまし
た。ヘテロは『はい。主よ。わたしがあなたを愛することは、
あなたがご存知です』と答えました。すると主は『わたしの
羊を飼いなさい』と言われました。そして主が三度も同じよ
うに問われたので、ヘテロは心を痛め、『主よ、あなたは、
一切のことをご存知です。あなたは私があなたを愛すること
を知っておられます』と答えます。すると主は『私の羊を飼
いなさい』と言い、この遣り取りは終わっています。この遣
り取りが何を告げているのか、聞きたいと思います。
　第一のことは、主イエスが、一度目二度目は愛するか「ア
ガパオー」(一方的な神の愛を示す語)と問い、三度目は「フ
ィレオー」(愛されて愛するという友愛を示す語)と問うてお
られること。また、ヘテロは三度とも「フィレオー」を使っ
ていることから、ヘテロが主イエスを一方的に自分から愛す
るのではなく、主イエスから愛されることの中で主を愛しま
す、と終始告白しているということであります。
　第二のことは、ヘテロが『わたしがあなたを愛することは、
あなたがご存知です』と言っていることです。『あなたがご
存知です』という語は旧約聖書エゼキエル書３７章で使われ
ています。エゼキエルは一つの幻の中で、多くの干からびた
骨のある谷に導かれました。神はエゼキエルに、この干から
びた骨は生き返るかと問われます。エゼキエルは、『それは
あなたがご存知です』と答えます。神の言葉がこの骨に向か
って告げられると、この骨に肉と皮膚が付き、主の霊が吹き
かけられると、生きた人となりました。このことを通し、神
は、今バビロニアに捕囚となっているイスラエルをもう一度
生かし、パレスチナに戻すと告げられました。
　この幻に示されているように、ヘテロは、主を否む以外に
ない、死んだものでした。しかし主イエスがご自身の言葉と、
ご自身の霊なる聖霊をヘテロに授与することの中で、ヘテロ
は主を愛し、主に従う者とされていることを告白していたの
です。主はこのようなヘテロに向かって、『わたしの羊を飼
いなさい』と言い、大切な務めをヘテロに託されました。こ
うしてヘテロは新たな旅立ちをすることになりました。
　私たちも自分の命によって主を愛することは出来ません。
しかし主は私たちを、『わたしがあなたを愛することは、あ
なたがご存知です』と告白しつつ生きる者にされるのです。