積雪の中の坑口
雪の歌志内を望む。
市制を施行した昭和33年の翌年には、
世帯数8700を超えたが、現在はその半分以下となってしまった。
文珠から林道らしき道を登る。
スノーシューを準備してきたが
入口から即必要だとは思っていなかった。
ここしばらく誰も来ていない林道。
こういう道をのんびり歩くのも、
なかなかいい。
林道脇には凍結した池があった。
完全凍結すれば積雪で隠れるのに、
少し水温の高い池かもしれない。
鹿道に沿って歩く。
雪の降り始めの時期にもかかわらず、
積雪は50cm程度だ。
山中の森の隙間に何か建物が見えた。
文字も見える。
接近してみよう。
これは炭鉱跡の遺構だ。
コンクリート製の小さな小屋だ。
火薬庫か倉庫の一部らしい。
壁面には「安全第一」
その下部には「紋平炭坑」の文字が・・・。
裏面には小部屋が2個あり、
その内部には何もない。
森の中にひっそり残る廃祉。
確かにこの一帯に産業があった証だ。。
下部の道には森林軌道のような木橋がある。
さらに上流を目指そう。
さらに上流には大きな平場があった。
雪が無ければ遺構が見られたかもしれない。
平場をくまなく歩くとパイプの廃祉や、
トロッコのような残骸が見られる。
右岸にこの時期、珍しくはっきりとした沢があった。
水温が高く融雪しているのかもしれない。
渡渉して確認する。
手を着けると明らかにこの沢は水温が高い。
鉱泉が流れ込んでいるのかもしれない。
さらに上部を目指す。
最上流では染み出すように斜面から、
暖かい水が流れ出ている。
また硫黄臭が漂っている。
奥の足元には大きな穴がある。
これはどうやら埋没した坑口跡らしい。
今度は少し右岸の下流を目指す。
倒木と積雪の廃道を歩く。
大きなRCの遺構が現れた。
積雪でよく見えないが
これは崩れた坑口のようだ。
その奥には「本御坑口」と書かれた、
吸排気塔があった。
煙突の下部には大きなゲートバルブがある。
腐食激しく動かない。
近くには「副御坑口」との吸排気塔もある。
この積雪の下に、
密封された坑口が眠っているのであろう。
付近にはまだまだ遺構が残存しているかもしれない。
街の古老の話では、上砂川にまでおよぶ、
長大遺構が山中にあるらしい。
それらはまたの宿題となった。
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