野ネズミと
昭和49年に廃坑となった本鉱山の、
鉱種は銅、鉛、亜鉛であった。
水質は現在沈静化しているが、
一時は鉱水の対策が取られた。
冬のアタックは豪雪。
道も斜面もわからない。
スノーシューでしっかり歩く。
遭難だけには注意し、
GPSとマーキングに頼りつつ進む。
雪の中に小さな動くものが見えた。
野ねずみだ。珍しい。
雪の中、ちょろちょろと動く。
小さな脚と尻尾。
やがて雪の穴に入っていった。
いよいよ、鉱山跡に到達したようだ。
緑のプラントは鉱水処理施設。
稼動中でこの上流に坑道があるはずだ。
上流は沢も見えづらく、
まるで遺構どころではない。
冬のアタックはここで撤退した。
変わって春。
リベンジで到着した鉱水処理施設。
緑のプラントには電源が来ており、
定期で整備点検されているようだ。
付近には沈殿池がある。
現在は流れは無い。
更に上流を目指す。
沈殿池から続くパイプを追う。
水の流れるパイプの橋梁がある。
立派なH鋼にパイプが抱き合わせてある。
沢沿いに外されたであろうレイルがある。
曲がっているのは、
取り外す再に湾曲したのだろうか・・・
上流に坑口が現れた。
大木の下に眠る「0M坑」だ。
そのすぐ上部には「5M坑」があった。
こちらも厳重に蓋がされている。
非常に狭そうな坑口だ。
「5M坑」は「0M坑」からの標高だろう。
坑口の名前にしては、
近代的で合理的だ。
付近には様々な鉱石が落ちている。
あと数箇所の坑口を探してみよう。
更に上流へ歩く。
黒いパイプは地形を無視して斜面を走る。
パイプを追えば次の坑口に遭遇するはず。
しかしながら、次の坑口は「70M坑」。
相当登ることとなる。
パイプはまだまだ続く。
深い山中に黒いパイプが這う姿は、
一種異様な光景だ。
鉱石の散らばる斜面を登る。
相当な急角度だ。
鉱水が導かれ、
河床が赤くなっている。
水は澄んでいて綺麗だ。
登りきると坑口があった。
コンクリートの覆工で覆われている。
これが「70M坑」だ。
最近に工事が施工されたようだ。
奥からは冷気がひんやりと来る。
0、5M坑よりは幾分、高さがある。
引き寄せられた鉱水が、
枡の中で処理されている。
この上流にきっと坑口がある。
但しその名称は「140M坑」。
ここからの登りはきつい。
付近にはいかにもの鉱石が多数ある。
石英かチャートがキラキラ光る。
上部坑はお預けとし、
探索を終了した。
冬にはめぐり合えなかった坑口たちに会えた。
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