坑道 最奥
地底川を下る。
水中はゴツゴツしており、滑らない。
水深のかなり深いところもある。
喫水線が今よりも上のほうにあり、
もっと深くなることもあるようだ。
川岸に登る。
崩れそうな天井が見える。
洞窟のような穴を登る。
川から急激に上部へ続く。
ひたすら登る。
手を使わないと登れない急坂だ。
足元が崩れ、遥か下部の川に落石の音が聞こえる。
天井にはポツポツとこうもりが現れ始めた。
これでたぶん酸欠の心配は無い。
よく見るとこうもりたちの密度は高い。
かなりの数がいる。
近づいてみる。
ときどき震えるが、
こうもり達は近づいても、照らしてもまったく逃げない。
大きさは10cm足らずで、ほのかに暖かい。
びっしり毛が生えている。
ここだけはなぜか鈴なり。
10匹ぐらいが固まっているようだ。
穴の最上部には靴の破片が・・・。
安全靴と云うより長靴が劣化したもののようだ。
かつての坑員のものだろうか。不思議な光景だ。
今度は続く横穴に進む。
上部には崩れそうな、巨石がある。
気温は上昇し、真冬だというのに過ごしやすい適温だ
上部には立派な支保坑が現れた。
しかし固定はされず、斜面に潜っている。
起伏がだんだん激しくなり、
水蒸気も飽和してきた。
「ザァザァ」と水流が聞こえる。
上部に向って支保坑が現れた。
支保坑を見る
LEDライト便りで奥へ進む。
破壊の跡著しい。
坑道は突然、中空の大ホールに出た。
ホールの両側には2本の滝がある。
このあたりは更にこうもりの密度が高い。
おびただしい数になってきた。
滝壺に向かって下る。
坑道面は粗く、いかにも掘削した跡がある。
こうもりたちが飛び始めた。
坑道は複雑に入り組んできた。
縦横に入り乱れ、迷いそうだ。
これぞ坑道と思えるような、立派な支保坑が現れた。
太い坑木。
釘の跡も所々にある。
片方の滝の落下地点に出た。
滝壺は轟々と音がし、
その飛沫も凄い。
滝壺の奥には、崩れた坑木が
さながら十字架のような様を晒している