化身する支保工

土砂が崩れ、原型を留めない
小さな坑口から入坑する。
汚泥が流れ込んだような様相だ。 坑口


入坑してすぐの壁面は、
びっしりと層状に堆積した貝殻の帯だ。
かつては海の底だったのかもしれない。 貝殻


入坑した先には白いコンクリート製の支保工が続く。
かつては13615両の鉱車が往来していたという。
架線やレールに注意しながら入坑してみよう。 支保工


80m程度進むが、支保工は連続している。
支保工左右はRC構造、上部はIビームだ。
フランジに傾斜があり、これはH鋼ではないようだ。 坑道


支保工の隙間から、埋没寸前まで土砂が流入している箇所もある。
合理化前は本斜坑を複胴コース巻きのトロッコを用いて運搬。
その後、バッテリーロコ、 「エンドレス」周回ロープによるトロッコ巻上 を併用し選鉱所まで鉱送していた。 埋没


非常に判りにくいが左手方向への坑内分岐だ。
合理化後はベルト斜坑終端に150tの坑内鉱石ポケットを設け、
選鉱所手前の坑外鉱石ポケットまで電気機関車3台を用いて運搬を行った。 坑内分岐


坑内分岐は50m程度で崖から地上に接続する。
恐らく機関車の退避坑に使用されたのかも知れない。
複線坑道であったとの資料もある。 分岐


支保工上部に渡って大きく崩れている。
坑内の運転効率の向上と、
安全性を図るために、各電車には搬送電話機が設置されていた。 支保工


所々でコンクリート製支保工も崩れている。
搬送電話機の効果は高く、
エンドレス時代に比較し79名の人員削減に貢献した。 支保工



恐らく50年以上経過した電球も残る。
坑道は約400m、
更に続いている。 電球



支保工に文字が書かれている。
解読は困難だが、
『入口』『四』『五』の文字が見える。 落書き


あたかもこれ以上の入坑を拒むような、
崩れた支保工による×印。
しかしその奥でRC製支保工は終焉を迎える。 支保工


その先ではIビーム製のアーチ型支保工に急遽変化する。
腐食激しい鋼材のトンネルは、
巨大生物の体内に滞在しているかのごとく錯覚を起こす。 支保工


やがて500m程度でコウモリが群れを成している。
騒ぐこともなく、
音のない世界だ。 コウモリ


アーチ式支保工区間が終わり、
振り返ると再び坑内分岐がある。
こちらはすぐに埋没している。 坑内分岐


メイン坑道もその先50m程度で埋没している。
意図的に埋められたのかもしれない。
若返り、巻上能力増強、延命を目指した片盤坑道の成れの果てだ。 埋没







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廃坑道
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