冷泉の噴き出す坑口
閉山からそろそろ40年近くが経過し、
炭住街はずいぶん少なくなってしまったが、
夕張は谷間に犇めき合う建物が印象的だ。
閉山後の「炭鉱から観光へ」。
街のこの一環の取り組みの一部が、
マウントレースイスキー場だ。
標高702.8mの冷水山の麓に広がるリゾートスキー場。
この時期は緑の野が広がる、
広大な山だ。
広大な秋のスキー場をハイクするのも面白い。
トレイルランを楽しんでいる方もいるが、
基本的に独占状態だ。
途中の緩やかな斜面には養蜂の箱が多数置かれている。
ミツバチが大量に飛んでおり、
近づかないように先に進む。
奥の斜面からは白濁した冷泉が、
流れている。
量が多くしかし温度は冷たい。
冷泉から草の刈られた小道を歩く。
ここで出くわした古老は当時を思い出すように、
最盛期の炭鉱の様子や、各所の坑口の話をして頂いた。
そしてやがて現れた密封された坑口跡。
橋立坑だ。
RCで完全密閉されている。
橋立坑から更に奥へ進むと小川と交差する。
渡って対岸を目指す。
この付近から硫黄臭がする。
土手には65A程度の配管が這っており、
内部には水の流れる音がある。
この配管を追うと・・・。
近代的な貯水施設に配管は接続している。
その脇には巨大な坑口が。
近づいてみよう。
格子状の木材で封鎖された松島坑。
坑口からは多量の水が流れ出る。
付近には配管や廃材が散乱する。
坑口から迸る水の正体は冷泉で、
古老の話によると、市街地まで引いているそうだ。
しかし配管の継手から夥しく漏れている。
それでは入坑してみよう。
冷たい冷泉を浴びつつ、
坑道内部に侵入する。
坑内はすぐに封鎖されており、
その奥から冷泉が引かれている。
外部よりは少しは気温が高いようだ。
最奥から眺めた坑口。
冷泉が誰かの役にたっているのなら、
本坑の存在価値も優位なものだろう。
一転して豪雪の厳島抗。
昭和27年に開坑した南区排気風洞である。
夕張の冬は長い。
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