食品の保存方法について
(栄養士科) 児玉裕士郎、戸沢幸徳、西山大樹、池森 恵、鵜飼真千子 奥田 素、小林由佳、杉本久美子、中西 瞳、鰐淵早紀 (指導教員) 北村新藏 【目的】 食品は声明を維持していくうえで、必要とするものであり、次の様なことが大切である。@美味しい事。A安全である事。 B栄養価がある事。C扱い易いこと。D安価であること。E嫌悪感がないこと。特に、AとBが生命維持という本質のために は重要である。この食品が、可食性を失って変質(腐敗)して、@、A、BやEが損なわれては重大な問題である。そこに食 品を「保存する」ということの意義がある。本研究は、食品の「保存」に焦点をあて、その原理からその対策としてどのよう な方法があるのかを調べることを目的とした。 【方法】 食品を変質させる主な原因は腐敗、変敗にあり、その主な原因は微生物にあるため、食品の保存法とは結局、微生物の活動 を止める方法となる。したがって、われわれは、主に食品衛生学関連の成書および関連報文等から「食品の保存」についての 項を中心にその内容をまとめた。 【結果及び考察】 変質は先にも述べたが、食品中の微生物、酵素、または酵素や光などの作用による。そして、食品衛生において実際的に最 重要な実務は微生物による変質の防止管理である。一般に、食品中に生菌数数が食品1g中107以上、揮発性塩基窒素量が30m g%以上になると初期腐敗段階に達したという。食品の変質を防止するための諸々の手段と原理を表-1に示した。表-1から食 品の変質を防止するためには、変質の原因となっている微生物の繁殖をできるだけ抑えることが重要であることがわかる。 そのために、微生物を食品に付着させないこと、付着してもその発育を阻止することが、その原理となっている。その具体 的な手段として、表-2に示したような物理的方法や化学的方法およびその併用用いられている。 表-1 腐敗の防止と保存の原理 表-2 食品の変質防止の方法
食品の保存、すなわち腐敗を防止する一番良い方策は、腐敗の原因の微生物が全く付着していないのが理想であるが、それは 不可能である。食品の水分活性の低下は、微生物の発育を遅らせ、または、ストップさせる働きをする。従って、食品の保存と は、微生物が少し付着していても、食品の水分活性を低下させることが重要である。 その水分活性(Aw)は、次式で与えられる。 Aw=P/P0 P : 食品の水蒸気圧 P0 : 純水の水蒸気圧 実用される変質防止法は、表-1、2にまとめたように、冷蔵、冷凍、脱水(加熱乾燥)、紫外線・放射線放射、塩蔵、糖蔵や真 空包装である。これらの諸方法は、水分活性、pH、浸透圧、ガス分圧、光線、放射線や化学物質の作用に基づくもので、これら を単独あるいはその複合作用によって、食品の変質が防止されていることがわかる。 以上述べたように食品を最良の状態で保存するために、その原理を充分に理解して、取り扱っていくことが重要であると思われ る。