本校学生におけるサプリメントの摂取状況 〜美容と健康の意識調査〜
(栄養士科) 斉藤 崇子、高良 聖幸 三好亜友美、橋倉亜佳根、森 紀恵 (担当教員) 北村新藏 【目的】 近年、「サプリメント」と呼ばれる栄養成分が注目され、私たちの日常生活において様々な形で流通している。 これらサプリメントが美容と健康のために、実際にはどのように摂取されているかを明らかにするための一端と して、本校学生におけるサプリメントに対する意識と摂取状況を解明することを目的とした。 【方法】 本校の管理栄養士科、栄養士科、医療秘書福祉科の学生を対象に2005年6月にサプリメントの利用実態に関する アンケート調査を実施した(男84人、女454人、計538人、回収率89%)。 サプリメントの種類には広義で医薬品・保健機能食品・健康食品が含まれるが、本調査では保健機能食品をサプ リメントとして定義し、現在または過去にサプリメントを摂取したことがある摂取経験者(全学生の67%)と摂取未 経験者(全学生の33%)に分けて調査した。 【結果】 摂取経験者においては、サプリメントの購入場所としてドラッグストア(58%)がコンビニエンスストア(25%) スーパー(8%)、を上回った。 また、1回あたりの購入金額は1000円未満が47%と最も多く、次いで1000〜2000円(28%)、2000〜4000円(14%) と低価格の商品が好まれていた。サプリメントを摂取する目的として多い順から、(1)健康のため、(2)美容と 健康の両方、(3)美容のため、となり、健康のためにサプリメントを摂取している者が多いという結果になった。 摂取したい形態としては錠剤(87%)、粉末(13%)、飲料水(12%)であり、主に錠剤で摂取していることが分 かった。摂取未経験者でサプリメントに興味がある者は30%と少なかったが、購入したい場所・購入したい金額につ いては、摂取経験者と同じ傾向が見られた。サプリメントを摂取してみたい目的としては、「健康のため」が最も多 く、摂取経験者・未経験者共に健康維持に興味がある場合にサプリメント摂取の意欲が見られることがわかった。 さらに、摂取したいと考えているサプリメントとして摂取経験者・摂取未経験者共にビタミンCと鉄が上位を占め ていた(図1、2参照)。
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【考察】 本調査により、サプリメントをスーパーやコンビニエンスストアで購入するより、ドラッグストアでの購入が多い という結果が出たことから、サプリメントを身近に購入できる食品としてよりも医薬品として意識しているのではな いかと考えられる。摂取の目的としては未摂取未経験者・摂取経験者共に「健康のためにサプリメントを摂りたい」 という回答が最も多く、美容目的よりは健康目的のためにサプリメントを摂取していることが分かった。しかし、摂 取経験者が次いで「健康と美容のため摂取している」とい言う理由が多かったのに比べて、摂取未経験者は「美容の ため摂取したい」が次いで多かった。これは、サプリメントを実際に摂取した経験のある人ている人は、健康維持・ 増進の手段の一つとしてサプリメントを利用摂取しているが、未摂取未経験者は美容効果もより強く望んでいると考 えられる。購入価格に関しては、1000円未満のサプリメントを購入・購入希望している人が多く、調査対象者が学生 であることから低価格性が選択時に重要な要因となっていることが考えられる。摂取経験者のサプリメントの効果に 対して認識度については、「わからない」と回答する人が多く、これが、摂取経験者の継続期間の短さ(半年未満が 50%)につながるのではないかと考えられる。以上のように、本校の学生にとってサプリメントは手軽に購入できる 医薬品に近い食品として認識されており、摂取したいという動機は美容よりも健康意識の強さがより重要となること がわかった。また、気軽に購入できる食品というよりは、薬局などで購入する医薬品としての捉え方が強い一方で、 学生としてはなるべく安価な商品を購入したいということが明らかとなった。このように、サプリメントが学生にと っても身近な購入商品として広く流通していく傾向にあるなかで、健康を維持するためにサプリメントの効果や正し い摂取量・過剰症についても説明できる知識と経験がさらに栄養士・管理栄養士に求められていくと思われる。