食育基本法の研究

             (栄養士科) 一瀬 有希、岩城  望、篠田  舞                     西田 尚加、古坂奈美江              (担当教員) 北村新藏 【目的】   近年における国民の食生活状況は、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志  向、食の安全、食料自給率の低下、伝統的食文化の喪失などの様々な問題が生じている。このような現状を  背景に平成17年6月に「食育基本法」が制定された。本研究はこの「食育基本法」の内容を検証し、その認  知度についてもアンケート等で調査研究を行った。 【方法】   「食育基本法」の概要を把握し、各企業や地方地域が行なっている食育の活動やその内容をインターネッ  トで検索する等どういった食育の活動が増えてきているのかを調査した。また、本校の学生に食育に対する  認知度や食育活動への興味、食を取り巻く問題への関心等を中心に、管理栄養士科154名、栄養士科233名、  医療秘書福祉科152名、合計539名を対象に、食育に関するアンケートを実施した。 【結果および考察】   「食育基本法」は21世紀における我が国の発展のため、子どもたちが健全な心と身体を培い未来や国際社会  に向かって羽ばたくとともに、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らすことが  できるようにすることを主眼としている。子どもたちが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていくため  には何よりも「食」が重要である。食育について基本理念を明らかにしてその方向性を示し、国、地方公共団  体及び国民の食育の推進に関する取組を総合的かつ計画的に推進するために「食育基本法」は制定された。そ  の構成を図1に示した。最近の全国における食育活動は、自ら体験して学ぶという内容の食育方針が増加傾向に  ある。例えば、三重県立水産高等学校では小学生や親子を対象に、自分達が普段口にする魚介類の調理や衛生  面を指導したりするなど、衛生的に魚介類等の生ものを調理することを親と子が一緒に学んでもらえるイベン  トが行われている。食について楽しく解りやすく学べるように、高校生がクイズを出題し、親子からの質問に  答えられるように自ら学ぶこともしている。そのほか、食育に力をいれている福井県小浜市では、地元の海産  物や野菜を使用した料理教室及び食文化フェスタ、食育王選手権等多彩な催しを開催している。また、全国的  に学校敷地内にて野菜を栽培し、自らの手で調理して食すことで「自然の恵み」を学ぶといった取り組みも行  われている。関東地方では、食育を盛り込んだ農業体験ツアーも活発化している。そして、フード関連企業  「KAGOME」では工場内見学により食品の製造工程、安全性及び原材料の栄養効果をミュージカル形式で学んで  もらう体験を随時開催している。このことから「食」に対しての関心を一般の方々にも持って頂けられるよう  な食育活動が増えてきていることが伺えた。アンケートの結果、管理栄養士科・栄養士科と医療秘書福祉科の  間で、「食育」という言葉の認知度に大きな差が見られた(図2)。このことから、「食育」という言葉は一般  にまだまだ認知度が低いことが判った。      食育基本法図1   食育基本法図2   そのため食育基本法の果たす役割が重要になる。これからの栄養士は今以上に国民の関心を高め、且つ自発的  に食育イベントに参加してもらえるような企画を考えるべきだと思われる。例えば、地産地消をテーマにした親  子体験型料理教室や、クイズ形式で学ぶ食文化フェスタ等、楽しく食育を学べる企画を持って、私たち栄養士は  「食育基本法」に基づき食育の推進を図っていくべきだと考えられる。

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