間食摂取による三食とのバランス状況についてU

             (栄養士科) 川分亜沙美、 藤本 雅也、 古屋さやか                    堀  瑞穂、 山本 真友              (担当教員) 北村新藏 【目的】   現在、コンビニエンスストアが至るところに出現し、食生活において手軽に自由な時間に好きなものを手に入れる  ことが出来る環境にある。その中で、三食(朝昼夕の食事)と間食とのバランスが崩れてきていることが懸念されて  いる。2005年度は本校学生の間食の内容、時間及び三食に及ぼしている影響とその関係について調査研究を行った。   2006年度は、昨年度に引き続き間食摂取による三食とのバランス状況について、一般の中学生・高校生(「食物・  栄養」の知識を持っていない者)を対象に昨年度との比較を行い、加えて、部活動の有無による間食摂取の違い等に  ついて調査研究を行った。 【方法】   2006年6月に京都・滋賀の中学生、高校生を対象に三食における間食摂取の影響に関するアンケートを実施した。   アンケートの内容は、部活動の有無、三食を規則正しく摂っているかどうかを、『三食きちんと食べている、朝食  は食べない、昼食は食べない、夕食は食べない、三食ともに食べない』の5項目で調査した。また、間食の有無、間食  の頻度や摂取する時間帯、間食内容、そして、間食摂取による影響の有無について、自分自身では栄養のバランスが  とれているかどうかについて自由記入欄を設け、意識調査した。アンケートの回答率については以下の通りであった。  (中学生:合計375名、男子126名、女子249名、回収率100%、有効回答率96.7%、高校生:合計508名、男子228名、  女子277名、無効回答3名、回収率100%、有効回答率97.4%) 【結果及び考察】   間食摂取と三食の関係についての状況を図1に示した。図1より、間食をしている人は全体の92%、間食していない  人は8%であった。表1より、間食をしている人のうち、毎日間食をする人は38%、週5〜6回間食をする人は15%、週  3〜4回間食する人は29%、週1〜2回間食をする人は18%であった。三食摂取については三食規則正しく摂っている人  は91%、朝食を抜くことがある人7%、昼食を抜くことがある人は0%、夕食を抜くことがある人は1%、全く食べない  人は0%であった。χ2検定を行った結果、有意水準5%で高校生では有意差が認められたが、中学生では有意差が認め  られなかった。このことより、高校生は三食の摂取状況と間食の摂り方の間には関連性があることが分かった。一方、  中学生で有意差が認められなかった要因として、中学生は比較的親の目の届く所で普段生活をしているため食事を家庭  で摂ることが多く、一定の生活リズムが確立されているためではないかと考えられる。また、部活動の有無による有意  な関連性もあまり認められなかった。この要因として、間食摂取は、一時的な欲求やその日の気分に基づくものではな  いかと考えられる。昨年度のデータでは三食摂取状況と間食の摂り方について有意な関連性が見られたが、本年度はそ  の関連性にバラツキがみられた。これは、栄養に関する知識を学んでいる学生と、中・高校生の栄養の知識の違いによ  るものと考えられた。近年、間食摂取の習慣が定着しつつあり、三食と間食の区別がつかなくなり、好きなものが自由  な時間に手に入れることが出来る環境にある現代、空腹感が常態化し、その結果、間食を摂ってしまうのではないかと  考えられる。このようなことが、現代人の食生活が乱れる原因となっていると考えられる。   さらに年齢層が下がると、その乱れが深刻化しつつある。食べ物が溢れている現代、生活を営むための栄養摂取とし  ての食事だけでなく、食べたいものを食べようとし、ただ、空腹感を満たすための食事となってきている。その要因の  一つが間食摂取である。間食を食事の一部として考え、1日のうちにリズムよく取り入れバランスの取れた間食を考え  ることが食生活の乱れを改善するカギとなっていくと思われる。食育の広がりと共に間食のあり方を見直し、今後の栄  養士活動に活かしていきたい。
間食図 間食表

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